「保健師」は、乳幼児健診・育児相談、生活習慣病予防の健診や保健指導をおこなう仕事です。今回は「保健師」に転職する人向けに、「保健師」の仕事内容、平均年収・給与、また現在働いている人から「保健師」に向いている人向いていない人について解説いたします。ぜひ転職活動の参考にしてください。
「保健師」とは
「保健師」は、保健所や市町村の健康福祉部門などで乳幼児健診・育児相談、生活習慣病予防の健診や保健指導をおこなう仕事です。必要の応じて時には家庭訪問をおこなったり、目的に合わせた教室も開催します。近年では虐待や認知症、自殺者の増加や、災害などの健康危機対応やその後の支援など、「保健師」の役割は広がっており、人々の健康を守る重要な仕事になっています。
地域の保健所や保健センターで働く「行政保健師」、企業従業員の健康管理や健康障害を防ぐ「産業保健師」などがあります。
「保健師」のハローワークなどでの職業分類は、高度な技術、専門的な技術を要する「専門的・技術的職業」の中の、中分類「保健師、助産師、看護師」に属しています。
「保健師」の就業者数
現在「保健師」として働く人はどれくらいいるのでしょうか。
「平成27年国勢調査」(総務省)によると、「保健師」として働いている人は全国で59,156人で、男女の割合は女性が58,220人、男性が936人とほとんどが女性となっています。
全就業者数 | 性別 | 人数 |
---|---|---|
保健師全体で 59,156人 | 女性 | 約58,220人 |
男性 | 約936人 |
年々増加する「保健師」
「保健師」として働く人は年々増えています。2005年は46,764人だったものが、2014年には59,156人と約13,000人も増加しています。高齢者増加にともない、福祉施設が増えていることなどもあり、今後も保健師は増えていくものと想像されます。
「保健師」の就業場所 60%弱が公務員
「保健師」はどのようなところで働いているのでしょうか。日本看護協会の「平成27年 看護関係統計資料集」によると、もっとも多いのは「各市町村」で27,234人が働いています。次いで多いのは「診療所」の10,074人、3番目が「保健所」の7,266人となっています。「各市町村」と「保健所」を合わせると58%、60%弱が公務員ということがわかります。
具体的には、市町村が設置する「保健センター」や「地域包括支援センター」、都道府県・特別区・指定都市などが設置する「保健所」、「企業・事業所」、また「社会福祉施設」「訪問看護ステーション」ほか、学校・大学等研究機関、特定非営利活動法人などが主なところです。
保健師の勤務先 | 就業者数(約) |
---|---|
市町村 | 27,234人 |
診療所 | 10,074人 |
保健所 | 7,266人 |
病院 | 5,462人 |
事業所 | 4,037人 |
学校養成所・研究機関 | 1,210人 |
社会福祉施設など | 1,225人 |
その他 | 2,648人 |
合計 | 59,156人 |
「保健師」になるには
「保健師」になるには、看護師免許の取得が前提になります。さらに全国に約190校ある大学や短大、専門学校などの保健師養成学校で1年以上学んだ上で、毎年1回実施される「保健師国家試験」に合格する必要があります。
平成28年の試験の受験者数と合格率は、受験者数 8,799人、合格者数7,901人、合格率は89.8%となっています。 「保健師」と「看護師」の両方の国家資格が必要になるため、就業者の年齢は看護師などと比べて比較的高めになっています。
「保健師」の有効求人倍率は2.36倍
保健師は転職しやすいのでしょうか。最近の有効求人倍率を見ると、保健師の有効求人倍率は(保健師、助産師、看護師を含めてですが)2.36倍と高くなっています。
これは企業2.36社が求人を出しても、そのうち採用できるのは1社のみという、売り手市場(求職者有利)になっており、各社とも優秀な人材を確保しようと、給料のアップや手当の充実など雇用環境の向上にしのぎを削っています。
ただ保健師の半数以上は勤務先が市町村や保健所などの地方公務員になりますので、採用条件はすべて公務員ルールに基づきます。
現在、保健師として働いている人で、雇用条件に不満を持っている人は、条件の良いうちに転職を考えてみてもいいかもしれませんね。
「保健師」の平均年収・給与
「保健師」の平均給与、平均年収はバラバラです。半数以上は勤務先が市町村や保健所などの地方公務員になりますので、給与は各自治体によって異なります。参考までに同じ業種の「看護師」の場合の給与は、人事院の「平成27年職種別民間給与実態調査」によると、
20~24歳で293,161円、24~28歳で318,167円、28~32歳で333,213円、32~36歳で345,624円となっています。
「業界別の平均年収」や「年齢別・男女別の平均年収」も合わせて参考にして下さい。自分の立ち位置がおおよそ理解出来ると思います。
医療技術職と医業関連職の分類
「医療技術職」は、医師、歯科医師、獣医師のほかにも、多くの職業があります。人の生命に直接関わる医療の仕事は、高度な技術と専門性が求められるため、そのほとんどは国家資格が必要となります。
中分類 | 小分類 |
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医療技術職 | 診療放射線技師 |
臨床工学技士 | |
臨床検査技師 | |
理学療法士 | |
作業療法士 | |
視能訓練士、言語聴覚士 | |
歯科衛生士 | |
歯科技工士 |
中分類 | 小分類 |
---|---|
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 | 医師 |
歯科医師 | |
獣医師 | |
薬剤師 | |
保健師、助産師、看護師 | 看護師、准看護師 |
保健師 | |
助産師 | |
保健医療職 | 栄養士、管理栄養士 |
あん摩指圧師、はり・きゅう師 | |
柔道整復師 | |
その他の保健医療職 |
「保健師」に転職を考えている人へ
保健師は看護師と保健師両方の国家資格が必要なことから、看護師から保健師に転職をするケースが多いようです。
病院や企業、福祉施設の民間への転職を考えている人は、医療系転職サイトや地域求人情報、ハローワークインターネットサービスをこまめにチェックしましょう。保健所や市町村などの行政保健師を考えている場合は、各自治体の公式ホームページで社会人募集を探していくしかありません。
「保健師」は、看護師など他の医療系技術職と違って、土曜日曜が休みのところが多く、夜勤や残業もあまり無いことから、安定した労働条件を求める人に人気があります。好条件求人を見逃さないように日頃からチェックをして、いざという時にすぐ動ける心構えを持っておくことが重要です。