理学療法士に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人を解説

理学療法士に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人を解説

「理学療法士」は、ケガや病気などで身体に障害のある人などに対し、座る、立つ、歩くなどの基本動作能力の改善を目指す仕事です。今回は「理学療法士」に転職する人向けに、「理学療法士」の仕事内容、平均年収・給与、また現在働いている人から「理学療法士」に向いている人向いていない人について解説いたします。ぜひ転職活動の参考にしてください。

「理学療法士」とは

理学療法士「理学療法士」は、病気やけが、高齢、障害などによって運動機能が低下した患者に対し、基本的動作能力の回復を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて治療をおこなう医学的リハビリテーションの専門職で、PT(Physical Therapist)とも呼ばれています。対象は脳卒中や脊髄損傷などの中枢神経疾患や手足、脊椎の骨折、腰痛などの整形外科疾患から糖尿病内科的疾患、高齢や手術などによる体力低下まで幅広い症状を取り扱います。
「臨床検査技師」の仕事は、ハローワークなどでの職業分類は、高度な技術、専門的な技術を要する「専門的・技術的職業」の中の、中分類「医療技術職」に属しています。

「理学療法士」で働く人

「理学療法士」を仕事としている人はどれくらいいるのでしょうか。
「平成27年国勢調査」(総務省)によると、「理学療法士」または「作業療法士」に従事している人は全国で約14.1万人と、他の医療技術職の中でも比較的大勢の人が働いています。男女の割合では男性が約7.6万人、女性が約6.5万人となっており男女の割合はほぼ半々です。
 
なお、雇用形態については、正規雇用は約13.3万人、パートアルバイトなどの非正規雇用が約8,000人となっています。ほとんどが正規雇用です。

全就業者数 性別 人数

理学療法士・作業療法士全体で 14.1万人

女性 約6.5万人
男性 約7.6万人

理学療法士・作業療法士

「理学療法士」として働くには

201944-1理学療法士になるためには、4年制大学、短期大学(3年制)、専門学校(3年制、4年制)、特別支援学校(視覚障害者が対象)などの養成校で3年以上学び、必要な知識と技術を身につけた上で、毎年おこなわれる「理学療法士国家試験」に合格する必要があります。
理学療法士国家試験の試験科目は、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要及び理学療法の一般問題と、運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要及び理学療法の実地問題、口述試験及び実技試験です。
試験は平成28年度の場合で、受験者数が約12,000人、合格者数が約9,200人、合格率は74.1%となっています。
勤務先として多いのは、病院やリハビリテーションセンターのほか、高齢の増加にともない、老人ホームなど社会福祉施設で働いている人も多くいます。
また国家資格取得後のキャリアアップとして、専門性を高め、良質なサービスを提供する臨床能力を習得することで、「認定理学療法士」「専門理学療法士」の制度を設けられています。

なお同日実施される「作業療法士国家試験」には、受験者数は約半分の約6,100人、合格者数が約5,300人、合格率は87.6%となっています。

「理学療法士」の平均年収・給与

それでは次に「理学療法士」の平均給与、平均年収をみてみましょう。
「平成24年就業構造基本調査結果」(総務省統計局)をもとにみると、男性が31.9歳の場合で給与が29.2万円、ボーナスが65.5万円、女性は31.1歳の場合で給与が27.4万円、ボーナスが62.1万円となっています。他の医療技術職と比べても、平均的な金額になっています。

理学療法士の平均年収・給与
性別 年齢 月額賃金(手当含む) 年間賞与、その他特別給与額
男性 31.9 29.2万円 65.5万円
女性 31.1 27.4万円 62.1万円

※データは「平成24年就業構造基本調査結果」(総務省統計局)をもとに作成
※企業規模計(10人以上)

「業界別の平均年収」「年齢別・男女別の平均年収」も合わせて参考にして下さい。自分の立ち位置がおおよそ理解出来ると思います。

「理学療法士」に向いている人、向いてない人

では「理学療法士」はどのような人が向いているのでしょうか。実際に「理学療法士」で働いている人に「求められる資質、向いている人、向いてないと思う人」を尋ねてみました。転職に当たっての参考にしていただければと思います。

「理学療法士」に向いている人
私たち理学療法士は障害を持った高齢者やスポーツで怪我をした人、脳性麻痺の小児など様々な方と接する機会があり、身体と心に触れて治療を実施していきます。必要な能力とはこのような多種多様な人達とのコミュニケーションにやりがいを見出せるかどうかが非常に重要だと思われます。
治療を実施する際、心ない言葉を浴びせられたり、今日はやる気がないからまた今度なんて言われることもしょっちゅうです。患者も辛いリハビリをすることが嫌になり自暴自棄になることだってあります。そんな人達に対してどうやって接していこうかと日々考え、患者をよりよくしていこうと頑張れる人がこの職業には向いているかと思います。

反対に向いていない人は
理学療法士は技術職であり自身の身体ひとつで患者を治療していきます。繊細な指先の感覚や筋肉、関節の触診技術、そして解剖、運動、生理学など幅広い医療知識が要求されるため、一流の技術者になろうと思うと一生勉強していくしかありません。そのため生涯を通じて勉強していくという気構えや自己犠牲の気持ちがない方には向いていないと言えます。
また働く以前に専門学校での実習や国家試験など臨床に出るまでには様々な難関を突破しないといけません。そこでふるいをかけられ辞めていく人も多々見てきました。そのため継続する力がない方、つよい意志、努力していく気持ちが無い人には難しいかと思います。
(男性 28歳 奈良県 現在理学療法士)

「理学療法士」に向いている人
まず一番は人とのコミニュケーション能力が必要です。理学療法は少なからず痛みや苦痛が伴います、しかし必ず成果も出します。そのためには患者さんとの信頼関係がなくては成り立ちません。また自分に厳しく、時として人にも厳しくなれるような強い心を持つ事が出来る人が向いていると思います。
なぜなら、診療の場面では患者さん側からの拒否というものが多く見られます。理学療法士が行うリハビリは患者さんにとって辛い時期もあるからです。しかしそこで立ち止まっては良くならない事を、理解し場合によっては患者さんを叱咤激励することも必要で、嫌われる覚悟も必要だからです。

反対に向いていない人は
人との関わりが苦手な人は向いていないと思います。患者さんだけでなく、患者さんの家族との関わりも密に必要であり、また患者さんの今後の生活を考えて行く上で他職種とのスタッフ間での関わりも密に必要であるからです。
また体を動かすことが嫌いな人は向いていないと思います。患者さんと一緒になって、歩いたり時にはキャッチボールなど体を動かしリハビリを行なったり、病気や怪我で動かしつらくなった手足を持ち上げたり、動かしてあげたりと体力的にも大変なこともあるからです。また辛抱弱い人も向いていないと思います。患者さんに何を言われても、辛抱強く話を聞き、理解してあげる事が必要だからです。
(女性 30歳 岐阜県 医療関係者)

「理学療法士」に向いている人
理学療法士は、病気や怪我などの理由で本来の動きができなくなってしまった身体の機能を元に戻したり補強したりするサポートをするお仕事です。怪我をして試合に出られずに気持ちが落ち込んでいる人を励ましたり、今までやったことのない辛いトレーニングをしたり、医学的な見地から支援をします。出来るだけ楽しく前向きに取り組んでもらう為に、理学療法士自身が明るく前向きな性格であることが重要だと思います。
例えば怪我した方がこれから、日常生活に復帰するために、辛いトレーニングをしている横で、理学療法士がため息をついて暗い顔をしていたら嫌だと思います。明るく忍耐強く鼓舞してくださるような方が向いていると思います。

反対に向いていない人は
反対に向いていないと思う人は、来院される患者さんに対して不満を露にしてしまう人です。患者さんの中には、周りから見ていてもあきらかに不快に感じる態度をされる方もいらっしゃいます。
しかし患者さんの方がよほど辛い状況であり、患者さん自身もこれから元の生活に戻れるのかどうか不安で自暴自棄になっている可能性もあります。
私たち理学療法士は、身体の機能を改善させることが主な仕事ではありますが、患者さんの気持ちに寄り添ってメンタルの面でもサポートすることも大事な仕事の1つだと考えます。自分の気持ちだけを押し付けて態度に出してしまう人は、向いていないと思います。
(男性 27歳 福岡県 現在理学療法士)

医療技術職と医業関連職の分類

「医療技術職」は、医師、歯科医師、獣医師のほかにも、多くの職業があります。人の生命に直接関わる医療の仕事は、高度な技術と専門性が求められるため、そのほとんどは国家資格が必要となります。

中分類 小分類
医療技術職 診療放射線技師
臨床工学技士
臨床検査技師
理学療法士
作業療法士
視能訓練士、言語聴覚士
歯科衛生士
歯科技工士
中分類 小分類
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 医師
歯科医師
獣医師
薬剤師
保健師、助産師、看護師 看護師、准看護師
保健師
助産師
保健医療職 栄養士、管理栄養士
あん摩指圧師、はり・きゅう師
柔道整復師
その他の保健医療職

「理学療法士」に転職を考えている人へ

転職アドバイス高齢者の増加、核家族化による一人暮らしの増加により、医学的リハビリテーションの専門職である「理学療法士」の仕事は増えており、就業場所も従来の病院やリハビリテーションセンターのほかにも、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションや障害者福祉センターなどの社会福祉施設など多岐に渡ります。とてもニーズの高い職業です。
近年の介護職の人材不足を受けて、例えば東京都では若手の理学療法士及び作業療法士の人材育成を目的に、受講料無料でリハビリを学ぶ実践形式の研修を開始するなど、積極的に支援をしています。
転職にあたっては大学病院・総合病院・小児病院・クリニックなどの医療施設、老人保健施設や訪問リハビリなどの社会福祉施設、さらにスポーツ・フィットネスなどでも募集しています。医療系転職サイトや各都道府県の理学療法士協会、ハローワークに情報が集まっていますので見逃さないように随時チェックすることが重要です。

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