薬剤師に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人を解説

薬剤師に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人を解説

「薬剤師」は、薬の専門家として調剤、医薬品の供給その他薬事衛生を通して、人々の健康な生活の一助を担う仕事です。今回は「薬剤師」に転職する人向けに、「薬剤師」の仕事内容、平均年収・給与、また現在働いている人から「薬剤師」に向いている人向いていない人について解説いたします。ぜひ転職活動の参考にしてください。

「薬剤師」とは

薬剤師「薬剤師」は、医師、歯科医師とともに「医療の担い手」として、そして薬の専門家として、薬の調合や供給、患者からの相談業務、服薬指導をおこなう仕事です。
「薬の調剤」では、医師の出した処方箋に基づき、薬を調合するほか、薬の副作用や併用が患者の体質やアレルギーに影響を及ぼさないか確認します。また「相談・服薬指導」では、患者に対し、服薬方法や効果についてのアドバイスをおこないます。
就業場所は、病院や診療所の中にある「病院調剤所」や「調剤薬局」、ドラッグストアや薬局などでの「医薬品販売員(薬剤師)」のほか、医薬品卸売業での「医薬品管理薬剤師」、治験コーディネーター(CRC:薬剤師であるもの)などがあります。場所によって、薬の管理や病床での臨床業務、新しい薬の開発や営業や販売活動をおこなうケースもあります。
「薬剤師」の仕事は、ハローワークなどでの職業分類は、高度な技術、専門的な技術を要する「専門的・技術的職業」の中の、中分類「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」に属しています。

「薬剤師」の就業者数

薬剤師現在「薬剤師」として働く人はどれくらいいるのでしょうか。
「平成27年国勢調査」(総務省)によると、「薬剤師」として働いている人は全国で約23.3万人で、男女の割合は男性が約80,100人、女性が約153,000人となっています。3分の2が女性ということになります。 約23.3万人という数字は保健医療従事者の中でも多い方で、看護師、医師に次いで3番目となっています。
また雇用形態については、正規雇用(正社員)は約11.5万人、パートアルバイトなどの非正規雇用が約6万人となっています。

全就業者数 性別 人数
薬剤師全体で 23.3万人 女性 約15.3万人
男性 約8万人

薬剤師の男女の割合
男女の割合は男性が約80,100人、女性が約153,000人となっています。3分の2が女性ということになります。

就業者数の推移 右肩上がりで増加

「薬剤師」の就業者数は右肩上がりで増えています。厚労省「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によると、1982年には124,390人だったものが、1992年には162,021人、2002年には229,744人、2014年には288,151人とほぼ倍増しています。遠くないうちに30万人を突破すると予想されます。
昭和30年から現在までの詳しい薬剤指数の推移はこちらをご覧下さい。
就業者数の推移 右肩上がりで増加

「薬剤師」の就業場所

「薬剤師」の就業場所は、厚労省の「平成26年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によると、「薬局」が約16万人と全体の半数以上を占めています。前回2年前の調査と比べ約5%増加しています。「薬局」といっても、従来の個人事業型の町の薬局ではなく、大型ドラッグストアや大手調剤薬局が増えています。
また2番目の多かったのは、病院やクリニックの約5.5万人でした。調剤・病棟業務や治験、検査等の仕事に就いています。
3番目に多かったのは「医薬品関係企業の従事者」で約4.3万人です。製薬メーカーの研究・開発、営業部門や薬の卸売企業、配置薬メーカーなどです。
薬局・医療施設で働く薬剤師の数はこちらをご覧下さい。
500

薬剤師の勤務先 就業者数(約)
薬局勤務(経営・自営含む) 1位 161,000人
病院勤務 2位 49,000人
診療所勤務 6,000人
大学勤務(研究・教育) 4,600人
大学院生又は研究生 460人
医薬品製造販売業・製造業 3位 30,000人
医薬品販売業 13,000人
行政機関・保健衛生施設 6,600人
その他の業務 6,300人
無職 10,000人

「薬剤師」になるには

薬剤師「薬剤師」になるには、原則として6年制学部・学科の薬学課程を卒業した上で、1年に1回、2月~3月に実施される「薬剤師国家試験」に合格することが必要です。
試験科目は、必須問題試験が物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務、一般問題試験として薬学理論問題試験と薬学実践問題試験があります。
平成28年の試験の受験者数と合格率は、受験者数 約15,000名、合格者数11,500名、合格率は76.85%となっています。合格率は6年制卒業者の新卒者が86.24%、既卒者が67.92%、そしてその他(旧4年制卒業者・受験資格認定者)がもっとも低く34.29%となっています。なおもっとも合格者数が多いのは東京薬科大学です。
なお働き出してからも安泰という訳ではなく、医薬の世界は新製品の開発や技術進歩のスピードが速いため、常に最新の情報を収集し、身につけることが重要です。

「薬剤師」の有効求人倍率は5.77倍

薬剤師は転職しやすいのでしょうか。最近の有効求人倍率を見ると薬剤師の有効求人倍率は(医師、歯科医師、獣医師を含めてですが)5.77倍ととても高くなっています。
これは世の中のすべての職業の中で3本の指に入る倍率です。企業5.7社が求人を出しても、そのうち採用できるのは1社のみという、完全な売り手市場になっており、各社とも優秀な人材を確保しようと、給料のアップや手当の充実など雇用環境の向上にしのぎを削っています。
現在、薬剤師として働いている人で、雇用条件に不満を持っている人は、条件の良いうちに転職を考えてみてもいいかもしれませんね。

「薬剤師」の平均年収・給与

それでは次に「薬剤師」の平均給与、平均年収をみてみましょう。
「平成24年就業構造基本調査結果」(総務省統計局)をもとにみると、男性が38.8歳の場合で給与が42.7万円、ボーナスが74.4万円なので平均年収は約586万円。女性は38.7歳の場合で給与が35.5万円、ボーナスが76.2万円、平均年収は約502万円となっています。
他の医療技術職と比べると、比較的高いことがわかります。

薬剤師の平均年収・給与
性別 年齢 月額賃金(手当含む) 年間賞与、その他特別給与額
男性 38.8 42.7万円 74.4万円
女性 38.7 35.5万円 76.2万円

※データは「平成24年就業構造基本調査結果」(総務省統計局)をもとに作成
※企業規模計(10人以上)
さらに薬剤師の詳しい給与と年収を知りたい場合は、「全国の薬剤師の平均給与・ボーナス・年収の年齢別・男女別調査」をご覧下さい。自分の立ち位置がおおよそ理解出来ると思います。

「薬剤師」に向いている人、向いてない人

では「薬剤師」はどのような人が向いているのでしょうか。実際に「薬剤師」で働いている人に「求められる資質、向いている人、向いてないと思う人」を尋ねてみました。転職に当たっての参考にしていただければと思います。

「薬剤師」に向いている人
薬剤師医療の現場は日々進歩しているので勉強が好きな人、努力を惜しまない人。 また高齢化、医療の進歩によりお年寄りが増え、患者さんも増えています。若い方であれば薬の管理は比較的自分で行えますが歳をとるにつれ理解力が低下します。治療薬が増えたり、セカンドオピニオンなどにより重複して薬をもらってしまったり、ジェネリックにより同じ薬だけど名前が変わっているので違う薬と思って飲んでしまっているなど様々な要因が重なり、薬の自己管理が難しくなっています。薬を仕分けたりなど細かい作業ができる方が向いています。例えば10mg、0.25錠、1.75錠など細かい処方もあるので大変です。患者さんが重複して内服等をしないように見て見ぬフリではなくしっかりアドバイスができる方です。

反対に向いていない人は
薬剤師は薬の説明だけでなく内服薬の調剤だけでなく点滴の調剤や劇薬、毒薬など様々な薬の管理なども行うので大雑把な人は向いてないと思います。
小さな声でごにょごにょ話す人も向いてないと思います。自分は話したから大丈夫ではいけません。相手に伝わっていなければ意味がないからです。特に薬局等では薬を渡すときにしっかり説明しなければ患者さんはそのまま帰ってしまいます。
大きな病院ではひたすら調剤で患者さんと接する機会は少ないのかもしれませんが、基本的にどの職場でも人と接する機会が多いと思いますので、人と接することが苦手な方は不向きかもしれません。
(女性 23歳 山口県 看護師)

「薬剤師」に向いている人
薬剤師として社会で働くには、第一に継続して勉強をすること、例えば勉強会に積極的に出たり専門紙を購読したり、ということが非常に重要だと思います。病院勤務でも調剤薬局勤務でも、日々新しい薬が登場してきます。患者さんやドクターに薬の専門家として説明できることが求められます。
また、明るく、人との関わりが好きという資質は調剤業務における服薬指導において、もってこいだと思います。
患者さんと一口に言っても多種多様な方がいて、初めからどんな方にもうまく対応ができるとは限りません。しかし、うまく出来なくても次はこうしてみよう、こんなアプローチをしてみようといった工夫をしたりスキルを向上させたりするには、まず人との関わりを好きでないと出来ませんし、場合によっては苦痛に感じてしまうからです。

反対に向いていない人は
薬剤師に向かない資質として、想像力がない、思いやりがない、意思の強さがない、などがあると思います。
なぜなら、例えば調剤業務を例に挙げると、薬剤師は処方せんと患者さんからのヒアリングで得た情報だけで的確な服薬指導を行うことが要求されます。しかし、患者さんの背景や心配事などとてもすべてを把握することは困難です。そのようなときに、思いやりや想像力を使って少しでも心に添うような指導を行うことが出来れば、服薬コンプライアンスを上げたり、不要な薬を減らせたり、ときっと双方のメリットにつながります。
また、薬に対しての疑義は決してうやむやにせず、あるときは強い意思をもってドクターに掛け合うこともあるかもしれません。
ですので、薬剤師には優しさだけでなく強さも必要と考えます。
(女性 37歳 埼玉県 薬剤師)

「薬剤師」に向いている人
薬剤師薬剤師と言えど、病院、調剤薬局、企業のMR、その他など働く場面を細かく選択する必要があります。例えば病院薬剤師なら、上下関係をしっかり考えられ、学ぶ姿勢が特に必要になります。さらに看護師や医師などに臆さない態度を示せる方が良いでしょう。調剤薬局ではひとり薬剤師の職場も多く、ある程度経験を積めば周りの薬剤師に気を遣うことなく、自分のルールで仕事をすることも可能です。この場合は周りを気遣う能力はそこまで必要ではありません。最後にMRですが、営業職も強いため、あらゆる職種の方にうまくコミュニケーションがとれることが望ましいです。その他、研究職もありますが、こちらももくもくと作業のできる方が良いでしょう。

反対に向いていない人は
安定を求めていない方には向かないかもしれません。例えば、薬局で管理薬剤師となれば、その薬局以外では働くことができません。同じ薬局に数十年ひたすら毎日同じ作業をする‥。と考えて苦痛に思うのであれば調剤薬局では働けません。また、コミニケーション能力がない方、苦手な方には、病院やMRなど(もちろん接客対応はどの職場でも同じですが)、他の方と触れ合わなければならない職場ではとても苦痛です。さらに病院では学ぶ気持ちがなければ厳しいです。朝は早く、調べ物も多く、勉強会もあり、帰りも遅い場合があります。ただ、それこそが薬剤師としての天職なのでしょうが。
(男性 29歳 山梨県 薬剤師)

「薬剤師」に向いている人
eye52細かい分量測定や一包化のためにすばやく錠剤を外すなど、まずは手先の細かな作業が苦にならないことが挙げられます。また、高齢の薬剤師さんでは視力が悪くなり、そのような作業がしづらい様子を見てきました。患者さんは色々な世代の方がいるので、話をじっくり聞いてくれる辛抱強さがある人が好ましく、誰にでも臆することなく声かけできること。話下手よりは話し好きであり、会話のきっかけを多くもっていることも大切です。薬剤師さんは専門職でもありますが、サービス業的な一面も持っています。愛想がないよりはあったほうが良いし、患者さんから可愛がられます。そうすることで信頼が生まれます。

反対に向いていない人は
患者さんの質問に対して、答えてもわからないだろうとか専門職だからと上から目線の人が時々見受けられます。患者さんの目線で物事を考えられないと親身に相談にのれず、ただお薬を出すだけの人になってしまいます。薬剤師さんはお薬だけでなく、患者さんの健康をトータル的にみることも求められます。時には家庭の事情を知ってしまう場合もあります。守秘義務をきちんと遂行できないのはもってのほかです。かといって、患者さんに対して興味がなさ過ぎる、一般的なことしか言わない人だと敏感に相手に伝わります。親身になってくれないと態度が薬局への信頼を損ねます。人嫌いな人にはつとまりません。短気な人も難しいでしょう。
(女性 40歳 新潟県 医療事務員)

「薬剤師」に向いている人
物事を瞬時に判断するスピード感を持ちながら、決してミスをしない正確さが必要だと思います。つまり慎重なタイプであると向いているのではないでしょうか。
また同時にいくつかのことを思考することが出来る柔軟さが必要です。ただ薬を合わせれば良いのではなく、常に他の薬との飲み合わせやアレルギーなどを繋げなくてはならないため、多くの情報から必要な情報を引き出す力が大切です。
薬は一つ間違えば命に関わる問題なので、例えミスをしても、それを繰り返さない学習能力や努力をし続ける力が大事です。最も現場でダブルチェックは必ず行うので、一つのミスが即座に患者さんに影響はしないのですが、命を預かっている医療者である自覚が何より大切な資質ではないでしょうか。

反対に向いていない人は
真面目で実直であっても、スピード感に欠ける人は向かないと思います。たくさんの知識を持っていても、マイペースすぎて、いざ必要な知識が出てこないとなると現場では困ってしまいます。
またマイペースの反対に他者からの圧力に負けて自分のペースを崩して他人に合わせるタイプの人も、急ぐあまりにミスをしがちになるので医療者としては致命的だと思います。
疲れやすい、ストレスを溜めがち、他者に必要以上に気遣いをしてしまうタイプは患者さんや医療機関からの圧力に負けたり、仕事がいい加減になりがちになってしまうので向かない。
医療現場はどこも命懸けで基本的には譲り合いがないので、その中で渡り合っていけない人物には無理だと思います。
(女性 26才 新潟県 保育業)

医療技術職と医業関連職の分類

「医療技術職」は、医師、歯科医師、獣医師のほかにも、多くの職業があります。人の生命に直接関わる医療の仕事は、高度な技術と専門性が求められるため、そのほとんどは国家資格が必要となります。

中分類 小分類
医療技術職 診療放射線技師
臨床工学技士
臨床検査技師
理学療法士
作業療法士
視能訓練士、言語聴覚士
歯科衛生士
歯科技工士
中分類 小分類
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 医師
歯科医師
獣医師
薬剤師
保健師、助産師、看護師 看護師、准看護師
保健師
助産師
保健医療職 栄養士、管理栄養士
あん摩指圧師、はり・きゅう師
柔道整復師
その他の保健医療職

「薬剤師」に転職を考えている人へ

転職アドバイス薬剤師が働く薬局やドラッグストア、病院調剤薬局などの医療機関はどこも人手不足で悩んでおり、転職を考えている人にとっては有利な状況が続いています。 どこの企業も優秀な薬剤師に来てもらうために、賃金や福利厚生などの労働条件を手厚くしているところが多いようです。
転職にあたっては、数社の面談で安易に決定せずに、自分が「勤務地」「給与」「労働時間」「休日」「やりがい」などの何を重要に考えているのか、しっかり考えて、妥協のない転職活動をおこなうべきです。
地元(通勤30分圏内)での転職を希望するなら、現住所のハローワークや、地元の求人誌などが良いでしょう。また「給与」「労働時間」「休日」「やりがい」などを重視している場合は、比較がしやすい医療系転職サイト、さらにあなたが20代~30代前半なら医療系の転職エージェントを活用するのも手です。
いずれにしても好条件求人を見逃さないように日頃からチェックをして、いざという時にすぐ動ける心構えを持っておくことが重要です。
薬剤師の平均給与、ボーナス、年収」 や 「過去60年の全国の薬剤師数の推移・薬局と医療施設で働く数」もぜひご覧下さい。

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