転職活動で会社を決めるにあたって選択条件となるものは「業種」「仕事内容」「給料」など基本的な項目以外にも、「休日や残業が多いか少ないか」「離職率は高いか低いか」など、人によって優先するポイントはさまざまです。
企業の公式サイトに載っているデータなどは、良い点を大きく打ち出しているケースが多く、転職に慣れていない人には、良い点悪い点、注意すべき点がわかりにくいことも多々あります。
転職グッドでは国や民間がおこなった調査やアンケートを、転職者に見やすく記事として載せています。ここでは各種データやランキングをまとめてみました。良いと思っていた業界が実は長時間労働体質だったり、意外に平均年収が高かったり、新たな発見もあるでしょう。ぜひ転職活動の参考にしてください。
どんな業種で働きたいのか(業種一覧表)
「業種」とは、事業の種類のことで、大きく分類したものが「産業」、さらに細分化したものが「業種」になります。例えば「製造業」の中の「ゴム製品製造業」、「情報通信業」の中の「放送業」、「卸売・小売業」の中の百貨店などを指します。
あなたがどの業界に転職したいか、働きたいかはとても大事なことです。転職の場合、これまでの経験や実績を生かして「同じ業界に転職する」、または(特に20代は)思い切って興味のある「他業種に転職する」ことになります。特に他業種への転職は「なぜこの業界を希望したのか」を必ず問われますので、しっかりと業界の特徴や歴史、現状を理解しておきましょう。
●こちらの「産業・業種の分類一覧表」をご覧下さい。
どんな職業に就きたいのか(職業分類表)
「職業」とは、私たちが日頃従事する仕事のことで、製造技術者や情報処理、薬剤師、保健師などの「専門・技術職」、一般事務、会計事務などの「事務職」、商品販売職や営業職の「販売職」、介護サービスや保健医療、飲食物調理職、接客などの「サービス職」など、日本標準職業分類では合計12種類に分かれています。なお民間の転職サイトなどでは独自の職業分けを用いていることもあります。
国家資格を取って「専門・技術職」に転職する場合もあれば、現在の職業と同じ転職もあるでしょう。「販売職」から「事務職」、「サービス職」から「販売職」など前職と異なる職業への転職を考えている人は、上記同様、「なぜこれまでの経験を捨てて、新しい職業に就こうとしているのか?」をしっかり考える必要があります。
●こちらの「日本の職業分類一覧表」をご覧下さい。
業界ごとの平均年収を調べる(業種別平均給与ランキング)
あなたが転職しようとしている業界(製造業や小売業など)は給与は高い方ですか低い方ですか?
平均年収とは、文字通りその業種に携わっている人の平均賃金です。正社員の平均年齢は男女ともだいたい43歳くらいですから、業界の平均年収とはその業界で働く43歳の人がもらっている金額ということになります。(もちろん役職やスキル、勤務年数によっても大きく増減します)
もし「給与の高さ」が転職の第一優先事項であれば、そもそも平均年収の低い業界への転職はおすすめできません。業界の構造的にどうしても低くなってしまう理由があるからです。
●こちらの「業種別平均給与ランキング」をご覧下さい。
年齢・男女別の平均給与を調べる(平均給与ランキング)
年齢別・男女別の平均給与データは、あなたが同じ年代の中で給与が高いのか、低いのか、同じくらいなのかを、確認するのに役立つものです。
新卒での就職活動は業界や会社によって多少の差異はあるものの、おおよそ同じくらいの給与でスタートしますが、20代後半~40歳くらいが中心の中途採用での転職となると、少しシビアなのですが、徐々に差が付き始める年代なのです。給与にこだわらない人は気にしなくてもいいかもしれません。でも一方で「給与の低さが不満で転職する」人が多いのも事実です。このデータでは、男性の25~29歳の平均年収がいくら、女性で年間給与が301万円~400万円の人は世の中に何人位いて、どの程度の割合なのかを出しています。
●こちらの「年齢別・男女別の「平均年収」」をご覧下さい。
過去50年間の平均ボーナス額を調べる
民間主要企業の過去50年間の夏のボーナス平均妥結額をまとめています。
今から約50年前、昭和45年の民間主要企業の夏のボーナスは138,892円でした。ちなみにこの年の国家公務員 Ⅰ種の初任給は 31,510円でした。現在の約7分の1の金額です。
●こちらの「過去50年間の夏のボーナスを比較」をご覧下さい。
労働時間の多い・少ない業界を調べる(平均労働時間ランキング)
前の職場での長時間労働が嫌になって転職するという人は多いでしょう。基本的に労働時間の多さとは、その会社の体質や制度によるところが大きいのですが、業界的にみて「建設業」「運輸業」などは常に労働時間が多い傾向にあります。つまり慢性的な人手不足や非効率な仕事の進め方を理由に労働環境があまり良くないということです。
もしあなたが転職後は、なるべく早く帰社して趣味や習い事にチャレンジしたい、家族と一緒に過ごしたいと考えている場合は、そもそも平均労働時間の多い業界(長時間労働が前提の業界)は避けた方が無難でしょう。
●こちらの「産業別 総実労働時間数ランキング」 や 「日本の長時間労働はなぜ改善されないのか?」 「勤務間インターバルとはいったいどんな制度なの?」をご覧下さい。
残業や休日出勤時間の多い・少ない業界を調べる
日本の企業の労働時間は、「労働基準法」によって1週間40時間、1日8時間と決まっていますが、時間外労働・休日労働についてはいわゆる36協定の特別条項を締結し、労基署に届け出ることで認めています。つまり各企業に任されていることになります。
このデータは残業の多い業種、少ない業種ランキングです。月間の所定外労働が一番多いのは「運輸業、郵便業」でした。特に20代~30代は、所定外労働(残業や休日出勤などの実労働時間)が多くなる傾向がはっきりと出ていますので、面接時に所定外労働の対応について質問することが大切です。
●こちらの「産業別 総実労働時間数ランキング」をご覧下さい。
若者正社員の採用選考で重視される点ランキングを調べる
全国の事業所16,607社を対象に、企業側が「若者の採用選考で重視した点は何か?」について答えてもらった調査です。最も多かったのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」の74.7%でした。実に10人中7人以上が重要視しています。ちなみにこの答えは新卒採用の場合でも1位となっていますので、中途採用、新卒採用ともに求められている資質であることがわかります。
●こちらの「正社員の採用選考にあたり重視した点」ランキングをご覧下さい。
過去30年間の高校生の求人数、求職者数、求人倍率を調べる
過去30年間の高校生の求人数、求職者数、求人倍率をまとめたデータです。就職氷河期の過去最低だった平成15年春卒業の時には、求人倍率が0.50倍(一人あたり0.5社の求人しかない。数字上の計算では2人に1人しか就職出来ない)に比べると、近年は景気の回復が鮮明になっています。この傾向は東京オリンピックが開催される2020年頃までは続くとみられています。
●こちらの「過去30年間の高校生の求人数、求職者数、求人倍率」データをご覧下さい。
離職率の高い・低い業界を調べる
特にこれから転職を考えている人は、その業界の離職率が高いか低いかは気になるはず。やはり離職率が高いということは、労働条件があまり良くない、労働環境が厳しいなどの傾向があります。ここでは「新規学卒者の離職状況」をもとに、3年以内に辞めてしまう人の割合を出しています。
もちろん企業にとって(ブラック企業を除けば)離職率が高いことは望ましいことではありませんので、チーム制による責任負荷分散、手当や教育制度の充実、社内の風通しの改善など、さまざま企業努力をしているところも多くあります。でも、なるべく長く働きたいという方は、最初から離職率の高い業界には飛び込まないのも一つの手です。
●こちらの「業種別 新卒3年以内の離職率ランキング」をご覧下さい。
正社員の雇用が増えている業界を調べる
転職後はどうしても正社員になりたい、業種は何でも良い(あまり望ましいことではありませんが)という人は、正社員の雇用が増えている業界を優先的に調べてみるのがいいでしょう。
正社員の雇用が増えているということは、景気の良い業種で、事業が伸びており、採用意欲が活発であることが想像できます。現在だと不動産業や情報通信業、医療・福祉などが多くの正社員を募集しています。
●こちらの「3年前と比べて正社員数が増えた業種ランキング」をご覧下さい。
女性の雇用数が多い業種を調べる
少子高齢化による労働力不足が懸念されている今、人口の半分を占める女性がいかに働きやすい環境を作るかは、とても重要なことです。非正規雇用が年々増えており、これまでのように家長(男性)一人で家族を養っていくことが難しくなっているからです。慢性的な長時間労働や所定外時間労働を大幅に減らすこと、保育園に迎えにいけるように時短制度をもうけることが、早急に解決すべき課題で、政府も本腰を入れて取り組み始めました。
ここでは「働く女性の実情 産業別雇用者数」をもとに、女性雇用者数を産業別にみることができます。
●こちらの「女性の雇用者数が多い業種ランキング」をご覧下さい。
転職入職者が前職を辞めた理由
転職のきっかけとなる理由は「給料が低い」「人間関係」「もっと良い会社があった」や個人的な「介護」「出産」などさまざま。「雇用動向調査結果の概況」によると、前職を辞めた理由の男性の1位は「定年・契約期間の満了」でした。
●こちらの「転職入職者が前職を辞めた理由ランキング」をご覧下さい。
若者の転職理由を調べる(若年者雇用実態調査)
新卒入社の20代の若者が3年、4年で辞めていくのは、本人はもちろん会社側にとっても大きな痛手です。ここでは「若年者雇用実態調査」をもとに、34歳までの若者が初めて勤務した会社(つまり新卒)を辞めた理由を調べてみました。1位は「労働時間・休日の条件がよくなかった」となっています。
●こちらの「若者が初めて勤務した会社をやめた理由ランキング」をご覧下さい。
自分の希望する職業・会社で働くために
いかがでしたでしょうか。一部ではありますが当サイトに掲載している各データやランキングをまとめてご紹介しました。
仕事は私たちの人生の中の時間の3分の1程度を占める、重要なものです。近年よく目にするようになった「ワーク・ライフ・バランス」とは、仕事と生活の調和のことで、仕事上の責任を果たしつつ、家庭での子育てや家事、介護、さらに趣味や習い事などの余暇活動をバランス良くすることで、人生のやりがいや充実を高めていこうというものです。
転職活動ひとつを例にとっても、男性と女性、年齢、独身または既婚、子どもの有無、さらに自分自身がどんな人生を送りたいかによって、希望する会社は変わってくるはずです。せっかく人生なのにブラック企業のような心身とも疲れ果ててしまうような会社に入ってしまったら、悔やんでも悔やみきれません。
今回、ご紹介したデータやランキングに目を通していきながら、自分自身の職業意識、仕事に対する意欲などを高めていただければと思います。
●こちらの「転職のノウハウ」コーナーでは編集部の独自体験に基づいた仕事の選び方や探し方を解説しています。転職の参考にしてください。