若者(15歳~34歳)が会社をやめた理由、1位は「労働時間・休日の条件がよくなかった」

若者(15歳~34歳)が会社をやめた理由、1位は「労働時間・休日の条件がよくなかった」

新卒入社の20代の若者が3年、4年で辞めていくのは、本人はもちろん会社側にとっても大きな痛手です。それまで人材にかけてきた時間と費用、そして少なからず社内に悪影響が出ることを考えると、経営陣は早期退職を極力防がなければなりません。「今の若い人は根性が無いね・・」などと言っている場合ではなく、退職してしまった理由を突き止め、今後の退職率の改善に努める必要があります。

今回は、厚生労働省が4、5年おきに不定期実施している「若年者雇用実態調査」の平成25年度版(平成26年9月25日発表)をもとに、15歳~34歳の若者が初めて勤務した会社(つまり新卒)を辞めた理由を調べてみました。この調査は全国16,607の事業所に対して無作為でおこない、有効回答数は10,283となっています。

1位は「労働時間・休日の条件がよくなかった」

それによると、「初めて勤務した会社をやめた理由」(3つまでの複数回答)でもっとも多かったのは、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」の 22.2%でした。
労働基準法によって、毎週少なくとも1回の休日を与えること、1日8時間、1週40時間労働を超えないことが定められていますが、長時間の残業や休日出勤を、社内での立場が弱く、体力に無理の利きやすい若者に強いる会社が少なくありません。
労働条件による退職理由は、前回の調査よりも大幅減っていますが、国でも長時間労働やブラック企業問題については、最重要課題として取り組みが進んでいます。
長時間労働の是正について

若年者雇用実態調査

2位は「人間関係がよくなかった」、3位は「仕事が自分に合わない」

次いで2番目に多かったのは、「人間関係がよくなかった」が 19.6%、3番目が「仕事が自分に合わない」18.8%、4番目が「賃金の条件がよくなかった」 18.0%の順になっています。
この結果から人間関係に悩む若者層の多さが読み取れます。転職グッドでも、転職経験者による「前の会社で転職を決意した理由と、新しい会社に入社できた理由」記事を定期的に掲載していますが、上司や経営者との人間関係、社内の雰囲気の悪さ、雇用条件の悪さを挙げる人がかなり多くを占めているのが現状です。

4番目が「賃金の条件がよくなかった」は年功序列が多数を占める日本では、仕方がない部分もありますが、年齢別・男女別の「平均年収」をみると、25~29歳男性の平均年収や378万円、同じく女性は297万円となっています。近年は正規雇用と非正規雇用の収入格差が広がっており不満が大きくなっています。

以降は、「その他」の16.9%、「会社に将来性がない」の12.4%、「ノルマや責任が重すぎた」の11.1%のほか、「不安定な雇用状態が嫌だった」「自分の技能・能力が活かせられなかった」「倒産、整理解雇又は希望退職に応じたため」「1つの会社に長く勤務する気がなかったため」などが続きます。

会社をやめた理由ランキング

次に退職理由をわかりやすいように、多い回答から順に並べてみました。3つまでの複数回答なので合計で100%を超えています。

退職理由 平成25年 平成21年
労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった 22.2% 23.8%
人間関係がよくなかった 19.6% 20.1%
仕事が自分に合わない 18.8% 24.5%
賃金の条件がよくなかった 18.0% 20.9%
その他 16.9% 18.9%
会社に将来性がない 12.4% 14.2%
ノルマや責任が重すぎた 11.1% 12.7%
不明 9.7% 5.7%
結婚、子育てのため 9.5% 10.3%
不安定な雇用状態が嫌だった 8.7% 7.0%
健康上の理由 8.2% 8.7%
自分の技能・能力が活かせられなかった 7.9% 10.2%
倒産、整理解雇又は希望退職に応じたため 4.4% 4.7%
雇用期間の満了・雇止め 4.4% 3.6%
1つの会社に長く勤務する気がなかったため 3.9% 4.1%
責任のある仕事を任されたかった 1.7% 2.4%
家業をつぐ又は手伝う 1.1% 2.1%
独立して事業を始める 1.0% 0.9%
介護、看護のため 0.9% 0.9%

男性と女性でも異なる退職理由

今回は表を用意しませんでしたが、これを性別にみると、男では「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が 22.7%、「賃金の条件がよくなかった」が 22.1%、「仕事が自分に合わない」が 22.0%となっており、
女では「人間関係がよくなかった」が 22.8%、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が 21.8%、「仕事が自分に合わない」が 16.1%の順となりました。

最後に

希望と現実のミスマッチによる若年層の退職の多さは今に始まったことではありませんが、少なくとも10数年前と比べても、企業側ではインターネット使った詳細な企業情報や採用情報の提供をおこない、求職者側では多数の企業訪問をおこない、就職活動に多くの時間、行政側ではハローワークでミスマッチを防ぐさまざまな取り組みをおこなっています。つまり年々改善されてきているはずなのですが、それにも関わらず、若年層(15歳~34歳)の離職率が大きく減らないところに、この問題の難しさがあります。

企業が人を一人採用する費用は50万円とも100万円とも言われています。またお金だけではなく担当部署の人間も多くの時間を割いて、募集から面接、採用手続き、入社後の段取りまでおこないます。それほどの時間とお金を掛けた社員が2年3年で辞めてしまっては、本人も会社側も大きな痛手となってしまうのです。

もちろん働く側にも入社にあたっての認識が甘かったり、離職へのハードルが低くなっていたり、することもあるでしょう。業績によっては満足のいく賃金を出せないこともあります。
でも「仕事が自分に合わない」「会社に将来性がない」「ノルマや責任が重すぎた」「結婚、子育てのため」などの理由は、企業側がもう少し退職者の意見を聞き入れて、改善していくことで、減らせそうな気がしてなりません。

「20代の転職」シリーズについてはこちらもご覧下さい。

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