20代の転職ポイントを考える [転職のノウハウ]

20代の転職ポイントを考える [転職のノウハウ]

20代の転職ポイント、20代ならではの課題、悩みについて詳しく解説するコーナーです。終身雇用の崩壊、中途採用の通年募集などによって、人材の流動化がいっそう進み、転職のハードルは確実に下がってきています。
特に20代は、第二新卒という言葉にもみられるように、新卒と違って初歩的な教育が必要無い上に、今後の大きな成長が見込まれ、会社に新しい息吹を吹き込んでくれる年代として多くの企業から引っ張りだこです。今回はさまざまな角度から20代の転職について考えてみたいと思います。

20~24歳女性の離職率は約3割

20代で転職をする人の数まず最初は20代で転職をする人の数はどれ位いるのか調べてみましょう。
厚労省の平成27年雇用動向調査によると、20~29歳の離職者数は男女合計で約186万人で、離職率割合でいうと20~24歳男性は24.9%、25~29歳男性は16.8%、20~24歳女性は29.2%、25~29歳女性は22.5%となっています。男女とも25歳を過ぎると若干落ち着いてくるものの、20~24歳女性の場合だと離職率は約3割にものぼります。

この割合を多いとみるか、少ないとみるかは意見の分かれるところですが、「新規学卒者の離職状況」調査結果(厚労省)によると、大学新卒者が3年以内に退職する人の割合は32.3%で、やはり約3人に1人が3年以内に退職をしているというデータもあります。20代~60代の全年齢層の中で20代の転職は一番多くなっています。

20代というのは、スポーツ選手をみてもわかるように、一生のうちで最もアクティブで心身ともに充実した時期です。一方で、家族や住宅ローンなど行動を縛られるものも少ないため、「違うことがやりたい」と思えば、身軽に動ける年代なのです。離職割合データにもそのことが表れています。

20代の退職理由 一番多いのは労働時間・休日休暇の条件がよくなかった

では20代のいわゆる若年層はどのような理由で退職しているのでしょうか。
今度は厚労省が全国16,607の事業所に対しておこなった「若年者雇用実態調査」を参考にしてみます。それによると、もっとも多かったのは、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」の 22.2%でした。
下記の表の青いグラフが最近(平成25年)のものなのですが、次いで多いのが、「人間関係がよくなかった」が 19.6%、3番目が「仕事が自分に合わない」18.8%、4番目が「賃金の条件がよくなかった」 18.0%の順になっています。仕事と同じくらい余暇やプライベートを大事にする近年の若年層の傾向が読み取れます。
若年者雇用実態調査

大きな生活環境の変化で壁にぶつかりやすい20代

転職で注意すべきこと多くの20代は、お金を払う立場だった学生から、働いてお金をもらう立場の会社員になって、生活環境も180度変化します。学生時代には自分一人で自由に決められていたことが、組織の一員として上司や同僚と連携を取りながら行動していくことを求められるようになります。
特に入社して日の浅い20代は、仕事も補助的なことや基本的なことが多く、自分の裁量で決められることはほとんどありませんので、「仕事がつまらない」と感じてしまう人が出て来ます。学生時代とのギャップが激しすぎて、虚無感に襲われてしまうのです。
本来はこれらの基礎的な仕事を経験をしていきながら、立派な中堅社員となっていくのですが、これらの20代で誰もが経験する壁にぶつかった時に、上司や先輩からのフォロー、会社からのバックアップ体制などが無いと、「転職をしたい」と考えるようになるのです。

20代の退職理由として多い「仕事が自分に合わない」「会社に将来性がない」「ノルマや責任が重すぎた」などは、本人が描く仕事のイメージと企業側が提供する実際の環境のギャップが大きすぎることが原因です。転職にあたっては、自分はなぜ退職をするのかを明確にしましょう。

転職にあたって

企業が20代に求めていること次に、20代はどのように転職活動を進めていくべきかを考えていきます。
転職(中途)と新卒の絶対的な違いは、当然のことながら「社会を経験していること」です。新卒採用は全員がほぼ同じ条件で「よ~いドン」でいっせいにスタートするのに対して、中途は年齢や社会の経験年数、業務経験も人によってさまざま。採用側も同じ尺度で求職者を比較することが困難なため、これまで以上に「個人のスキル、資質、性格」などが重要視されます。

自分の特徴、強みを把握する

そのためにはまず「自分のスキル、資質、性格」など強みを把握しておく必要があります。これまでの経験などをもとに自分の強い点、弱い点、得意な点、苦手な点を書き出してみましょう。
ただ自分の強みや特徴をはっきりと答えられる人はそれほど多くありませんし、ましてや自分では客観的に把握しづらいものです。
民間転職サイトの適性・適職診断等を受けるといいでしょう。例えば「@type(アット・タイプ)」適性診断はこれまでに40万人以上が受けた診断テストで、10分で「自己分析力」「将来ビジョン策定能力」「タイミング把握力」など転職に必要な6つの分野別結果がわかります。無料なので後でやっておいてください。

どの業界で働くのか、どんな職種に就きたいのか

「業種(業界)」「職種(職業)」を定めましょう。
前職と同じ業界で働きたいのか、それとも異業種へ飛び込んでみるのか。転職活動の面接合否の成り行きによってフラフラするのはおすすめ出来ません。もし異業種にチャレンジするならおそらく20代が最後のチャンスです。30代で異業種への転職はかなり難しくなってしまいます(出来ますがたぶん「年齢経験不問誰でも大歓迎」みたいな仕事が多くなります)。転職先の業界研究を参考にしてください。

また「職種(職業)」も、前回と同じ職業を希望するのか、例えば「販売職」から「事務職」ジョブチェンジするのか。なぜジョブチェンジしたいのかを他人が聞いても納得できるように明確にしておく必要があります。
未経験の業界、職種に転職するのには、これまで積み重ねた技術やノウハウが通用しなくなるため勇気が要るでしょう。だからと言って自分に合わない、辛いと考えている職種をずっと続ける必要もありません。単に新卒時には知識も経験も無かったためにわからなかっただけです。むしろ、一度経験したからこそ、未経験であっても自分の本当にしたい仕事に挑戦すべきだと考えます。

採用が企業が20代に求めていること

次に採用側の企業が求めていることを理解しましょう。
転職(就職)とは、お互いの希望・ニーズが合致した時に成立するもの。いわば相思相愛でなければ成り立ちません。求職者は企業側が「どんな20代を欲しがっているか」を事前に理解しておきましょう。
「正社員の採用選考にあたり重視した点」例えば、厚労省調査「正社員の採用選考にあたり重視した点」によると、企業が正社員の採用選考にあたり重視した点で、最も多かったのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」の74.7%でした。実に10人中7人以上が重視しています。

転職面接であなたの「職業意識」 を問われたら答えられますか?この会社で絶対に働きたいと思う「勤労意欲」をアピールできますか? 企業が若者に求めている「チャレンジ精神」はどうやって説明しますか?これらのことについては、面接で突っ込んで聞かれることが多いので、必ず自分の言葉にしてすぐに回答できるようにおきましょう。
ちなみに、2番目は「マナー・社会常識」、3番目が「コミュニケーション能力」、4番目が「組織への適応性」です。詳しくは「正社員の採用選考にあたり重視した点」に載せていますので、ご覧下さい。

面接官が20代に期待していること

多くの面接官は40代~50代のはず。彼らが20代の皆さんに求めているものは、仕事の感度や将来性です。「この人は当社に入って、5年10年すれば大黒柱になりそうな人だ」と思われる人が欲しいのです。

●20代:若いからこそのアンテナや将来性
社会人としてはまだ若く、入社した途端に戦力になるかと言われると、業種や職種によっては難しいのが20代。
ですが20代だからこその体力があり、物事への吸収力もある。この間まで学生だったことを考えると、若い世代のトレンドに反応できて、新しいアンテナを張って動けるかも知れない。
つまり、20代に期待するのは伸びしろ。近い将来、会社にとって有益になるだろう人材です。経験を積んだら、こんな風に会社を盛り立ててくれそうだ…と思ってもらうことが大事。「学生時代、スポーツで精神を鍛えました。」などのフレーズが使える貴重な年代です。

このことは「企業が求めている人材(20~50代の年代別)」ページで解説しています。

20代の面接対策

20代の面接対策自分のアピールポイントと強み、そして企業側が20代に求めている主なポイントを理解しておくだけでも、面接での受け答えに自信がついて来るはずです。面接とは言葉のキャッチボール。相手の求めている答えを察知して、うまく対応するだけでもあなたの印象がぐっと良くなります。

答えにくい退職理由を聞かれたら

もし退職理由を聞かれたら、そのままネガティブに答えてしまうのは禁物です。必ずポジティブな内容に言い換えて、回答するようにしましょう。例えば、あなたが「給料が少なすぎることが理由」で辞めた場合は、「自分の仕事の実績がある程度反映される実力主義の会社で働きたいと考えるようになった。」などです。もちろんその質問の前後、文脈を読み取ることが重要になるのですが、詳しくは「ネガティブな退職理由をポジティブな理由に変換する」で解説していますので必ず目を通しておいてください。

面接の質問を読み込んでください

「受験勉強」で過去問題を徹底的に解いて、1,000本ノックのように身体に覚え込ませていくのと同じように、「転職面接」でも過去の質問事例を徹底的に読み込んで、想定外の質問が出てもドギマギして頭が真っ白になってしまうことの無いようにしましょう。
「私は口がうまいからその場で適当に乗り切る」などと考えてはいけません。面接官はあなたのような人を何十人何百人も面接していて、社会経験も人生経験もあなたよりはるかに上です。勉強不足、知識不足がわかると「×」や「△」を付けてしまうでしょう。
突飛な質問や少し厳しい質問には、あなたの地の性格、普段の態度を読み取りたい意図がありますが、かと言って本当の素の自分をさらけ出してしまうのはうまくありません。
「面接で聞かれた、タジタジになった鋭い質問、つい笑ってしまった質問、撃沈した質問の数々」が第15編までありますので、なるべく読み込んでおいてください。

最後に 転職グッド編集部コメント

1ページでは書ける文字数に限界がありますので、どこまで20代のみなさんの転職のご要望に応えられたかは疑問ですが、重要な転職ポイントについてまとめてみました。
中途採用でもっとも人気があるのは25歳~35歳の年代です。大学を卒業して新卒入社企業で3年以上勤めた後、退職をして次の企業を探すパターンです。体力、知力がもっとも充実していて、これから自社を背負っていってくれる可能性のある年代です。

第二新卒にあたる25歳くらいまでの人は、「社会人としての最低のマナーが身についている」「一方で新卒企業の色に染まっていないため自社で伸びしろがある」と言った強みがあります。もちろん「既卒」扱いですが、ほとんど新卒と同じような形で(転校生のようなかんじ)仕事が進んでいくことが多いようです。
25歳~30歳くらいであれば、社会人としてのマナーはもちろん、前職での経験もそれなりに武器になります。また未経験業種に転職ができる最後の年代です。30歳を過ぎての未経験業種への転職はあまりおすすめできません。
30歳~35歳くらいの年代であれば、前職での7年~の経験を生かして、即戦力として期待がされます。一方、まだまだ若いため、これから10年、20年に渡って、自社で活躍してくれることが期待されています。

20代のみなさんの転職が成功できることを祈っております。

●こちらもご覧下さい!「転職のノウハウ」コーナーでは編集部の独自体験に基づいた仕事の選び方や探し方を解説しています。転職の参考にしてください。

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