転職者は、転職するに当たってどのような準備活動をしているのでしょうか。基本的に、現在の会社より条件良い会社、給与の高い会社、福利厚生が充実している会社などの優良企業に転職をしたい場合、絶対に事前の準備をすべきなのですが、全く準備せずのノーガード戦法でいく人も見受けられます。
ここでは厚労省がまとめた「平成27年転職者実態調査」をもとに、転職者は、転職するに当たってどのような準備活動をしているのか(複数回答)を解説してみたいと思います。なお前回の「転職活動の方法- みんなはどうやって仕事を探しているのか」もぜひあわせて参考にしてみてください。
転職するに当たって準備活動をしたか、しなかったか
まず最初に、転職者が転職するに当たってどのような準備活動をしたかをみると、「特に何もしていない」が 61.6%、「転職準備活動を行った」が 31.2%となっています。
なんとも嘆かわしい数字ですが、現実的には約6割の人が、特に何かを調べたり、勉強したりせず、ただ単に求人募集だけを探していることになります。
確かに、何も準備をせずとも、転職は出来るのかもしれませんが、採用側としては、ほぼ同じレベルの求職者が来た場合、質問なりディスカッションをおこない、本人の職業意識や就業意欲を確認した上で、勉強や準備をして来ている人を間違いなく採用します。準備をしていない事がわかった人を採用することはまずありません。
それは転職という人生の大きな転機の時に、事前の準備や勉強をしない人というのは、入社してからも会社の発展や自己の成長のために勉強することはないからです。そのような人を採用してしまっては(使い捨てのブラック企業であれば別ですが)、会社の雰囲気が悪くなってしまい、結果的に業績が停滞してしまうからです。
準備活動を行ったか、否か | 割合(%) |
---|---|
転職準備活動を行った | 31.2% |
特に何もしていない | 61.6% |
次に活動を行った人に「何をやったか?」を質問したところ
次に、準備活動をした31.2%の人に、具体的に何をおこなったのかを聞いたところ、
一番多かったのは「産業・職業に関する情報等の収集をした」の38.5%、次に多かったのが「就職ガイダンスや適性・適職診断等を受けた」と「今の会社で役立つ資格・免許を取得した」の同率16.4%、そして「キャリアコンサルティングを受けた」の15.5%でした。
転職先の企業の業界や職業の情報収集をおこなうのは当然のことといえます。面接においても「この業界、職業を志望した理由は何か?」「この業界の将来性をどう考えているか?」「同業他社と比べて当社のセールスポイントは何か?」など、業界に関する質問はほぼ100%の確率で出題されます。その時に面接官が納得できる回答ができるのと、何となくピントがはずれた答えやあいまいにごまかすような回答をしてしまうのでは大違いです。転職にあたっては、必ず業界の成り立ちや現況、将来性などを把握しておきましょう。
また「就職ガイダンスや適性・適職診断等を受けた」も有効な手段です。自分の特徴や強み、アピールポイントなどは、自分ではなかなかわからないものです。ましてや採用面接という、限られた時間と物々しい雰囲気の中で、的確に自分の特徴を答えられる人などそうそういません。ハローワークやリクルートやインテリジェンスなどの民間企業では、応募者の採用率を高めるための方法として、就職ガイダンスや適性・適職診断などを、(大体や無料で)実施しています。一度受けてみることをおすすめいたします。
また「今の会社で役立つ資格・免許を取得した」もおすすめする方法です。中途採用は、いくら20代、第二新卒とはいっても完全な新卒ではないため、ある程度の即戦力を求められます。その時に転職しようとしている会社や業界で働くに当たって役立つ資格・免許を取得していることは、採用側にとっても本人のやる気(就労意欲)を感じ取れる上に、即戦力としての働きを期待できます。何より、個人の時間を割いて、前向きに勉強している人、目標に向かって自己努力を惜しまない態度に、採用感は人として好感を持ってくれるでしょう。
準備した内容(複数回答) | 割合(%) |
---|---|
職業能力を向上させるため公共の施設を利用した | 11.7% |
資格、知識 不明等を取得するため学校等に通った | 12.8% |
資格、知識等を取得するため通信教育等で勉強した | 8.3% |
今の会社で役立つ資格・免許を取得した | 16.4% |
就職ガイダンスや適性・適職診断等を受けた | 16.4% |
キャリアコンサルティングを受けた | 15.5% |
産業・職業に関する情報等の収集をした | 38.5% |
その他 | 18.8% |
最終学歴別に準備したことを比べてみると
なおここでの表には載せていませんが、最終学歴別でも調査をおこなっており、
それを比べてみると
おおむね、学歴が高くなるほど、何らかの「転職準備活動を行った」転職者割合が高くなっていました。高校卒業の人が23.4%なのに対して、大学卒業の人が42.5%、大学院卒にいたっては51.9%と、高校卒業者の倍以上の開きがあります。特に大学院では「職業能力を向上させるため公共の施設を利用した」と「キャリアコンサルティングを受けた」が高くなっていました。
学歴が高い人ほど、事前準備や勉強の重要性を理解している結果となっています。
最終学歴別-職準備活動を行った人の割合
中学校 | 21.3% |
高等学校 | 23.4% |
専修学校(専門課程) | 29.5% |
高専・短大 | 26.3% |
大学 | 42.5% |
大学院 | 51.9% |
最後に
今回参考にした「転職者実態調査」は、厚労省が5~6年に一度まとめている大がかりな調査で、平成27年は全国約17,000 事業所と約 11,000人の個人を対象にしたものです。
転職グッド編集部では、以前にも「転職をして給料が増えた人、減った人、変わらなかった人」、 「転職活動の方法- みんなどうやって仕事を探しているのか」で解説をしています。
転職の際の準備活動は実はとても重要なことで、物事は段取り八分という言葉があるように、事前にどれだけ準備をするかによって、成功率が高くなると言っても過言ではありません。たしかに準備をしなくても受かる会社は多数ありますし、面接に落ちたからといって不採用理由を教えてもらえるわけではありません。
ただ準備を完璧にして来た人と、して来なかった人では、質問の回答の説得力に雲泥の差が出てしまいます。準備や勉強をしていない人は難しい質問に対してあいまいで取り繕うような回答をしがちなのですが、準備をみっちりしてきた人は無意識のうちに一本筋の通った信頼できる回答ができます。これまでに大勢の求職者と接している面接官にはお見通しなのですね。
今回の調査結果を参考に、転職活動の際には徹底的な準備をおこなうことをおすすめいたします。