人口が減少傾向にある日本が今後も成長して行くには、人口の半分を占める女性の活躍にかかっていると言っても過言ではありません。特に今後伸びていくであろう第三次産業、なかでも各種サービス業は男性よりも女性の経営職や管理職を増やしていく必要があるのではないでしょうか。
折しも、今春には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」も制定され、政府と民間が一体となった取り組みに大きな期待が集まっています。さまざまな統計から「働く女性」についてスポットを当ててみます。
現在、女性の就業者数は約2,700万人で過去最高に
現在日本ではどれくらいの女性が働いていて、どの業種の雇用数が多いのでしょうか。
総務省「労働力調査」によると、平成 26 年の女性の就業者数は 2,729 万人となり、前年に比べ 28 万人増加、昭和60年以降の統計で過去最高になりました。昭和60年には女性の就業者数は約2300万人でしたから、この30年で働く女性が400万人近くも増えていることになります。
なお就業率(15 歳以上人口に占める就業者の割合)は 47.6%で、前年に比べ 0.5 ポイント上昇、約半数の女性が働いていることになります。
ちなみに就業者(休業者も含む)と完全失業者を足したものが、労働力人口となります。完全失業者とは働く意思と能力をもつ人のことであり、自主的に働いていない主婦などは含まれません。
女性の雇用数が多い業種1位は「医療、福祉」
それでは次に厚生労働省が2015年秋に発表した「平成26年版 働く女性の実情 産業別雇用者数」を参考にさらに詳しくみてみましょう。
資料出所:厚生労働省「平成26年版働く女性の実情」
女性雇用者数を産業別にみると、もっとも多いのが「医療、福祉」で 559 万人。この数字は女性雇用者総数全体の22.9%を占めています。10人に2人以上が「医療、福祉」業界で働いていることになります。
2番目に多かったのが「卸売、小売業」で498 万人、3番目が「製造業」287 万人、4番目が「宿泊業,飲食サービス業」206 万人となっています。ちなみに男性の場合は、「製造業」が 700 万人と最も多く、2番目が「卸売業、小売業」の462 万人(同 14.6%)、「建設業」の345 万人と続きます。
前年と比べた増加率をみても、女性の「医療、福祉」は15万人増で前年比2.8%増、「卸売、小売業」が5万人増で前年比1.0%増となっています。高齢化社会を迎え、病院に通う人、介護施設に入る人が増えてきており、看護師や介護士などの人出が不足気味なのも頷けます。
実際、転職グッド編集部が集計した「医療、福祉業界の研究」アンケートでも、「人がとにかく足りない」「看護師や介護士は引っ張りだこで、すぐに就職できる」といった回答が多く見られました。
また、女性の比率が5割以上(会社の半分以上が女性)の産業は、「医療、福祉」の77.2%、「宿泊業,飲食サービス業」の63.8%、「生活関連サービス業,娯楽業」の59.2%、「金融業,保険業」の54.4%、「教育,学習支援業」の53.3%、「卸売業,小売業」の51.8%となっています。
女性の産業別雇用者数 | |
---|---|
D.建設業 | 65万人 |
E.製造業 | 287万人【3位】 |
F.電気・ガス・熱供給・水道業 | 4万人 |
G.情報通信業 | 50万人 |
H.運輸業、郵便業 | 62万人 |
I.卸売業、小売業 | 498万人【2位】 |
J.金融業、保険業 | 81万人 |
K.不動産業、物品賃貸業 | 37万人 |
L.学術研究、専門・技術サービス業 | 56万人 |
M.宿泊業、飲食サービス業 | 206万人 |
N.生活関連サービス業、娯楽業 | 106万人 |
O.教育、学習支援業 | 146万人 |
P.医療、福祉 | 559万人【1位】 |
Q.複合サービス事業 | 22万人 |
R.サービス業(他に分類されないもの) | 137万人 |
S.公務(他に分類されない) | 63万人 |
A.農業、林業 | 23万人 |
B.漁業 | 2万人 |
C.鉱業、採石業、砂利採取業 | 1万人 |
女性は「事務従事者」が一番多い
次に職業別でみてみましょう。
平成 26 年の女性の雇用者数を職業別にみると、「事務従事者」が 713 万人と最も多く、女性雇用者総数全体の29.3%を占めています。10人中約3名が従事していることになります。
2番目が「サービス職業従事者」467万人(同 19.2%)、3番目が「専門的・技術的職業従事者」436 万人(同 17.9%)、4番目が「販売従事者」333 万人(同 13.7%)の順となっています。
ただこの点については課題もあります。事務従事者とは、オンライン辞書のweblioによると「一般に課長(課長相当職を含む)以上の職務にあるものの監督を受けて、庶務・文書・人事・調査・企画・会計などの仕事、並びに生産関連・営業販売・外勤・運輸・通信に関する事務及び事務用機器の操作の仕事に従事するものをいう。」とあります。一般的に「事務従事者」は他の「専門的・技術的職業従事者」などと比べて、それほど給与が高くないことが多く、雇用形態もパートなどの非正規雇用であることが多くなります。
転職グッド編集部より
遅々として進まない管理職などへの女性登用を法で後押しをしていこうと、安倍政権肝いりの「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が制定され、世の中の気運が高まってきました。
それらに呼応するように女性の就業者数は過去最高を記録しています。世の中に男性と女性が半々である以上、特に一般消費者を対象としたビジネスをおこなっている会社自体の男女構成バランスがいびつだと、商売自体もうまくいくはずはありません。(人口の半分を占める女性の視点が欠けがちになるからです)
転職グッド編集部では今後も「働く女性」にスポットを当てた記事を定期的にお届けしています。ぜひ
「働く女性の実情」シリーズをご覧下さい。
女性向けの「女の転職@type(アット・タイプ)」がおすすめ
転職を検討中の女性の方はまず「女の転職@type(アット・タイプ)」をおすすめします。無料です。掲載されているのはいずれも女性歓迎(女性を採用したい)の企業ばかりなので、安心して(建前の募集ではなく)転職先を探すことができます。
「子どもが出来ても働ける会社」「女性管理職がいる会社」「残業が少ない会社」など、女性目線の絞り込みが出来るのも嬉しいところ。掲載企業は東証一部上場のキャリアデザインセンター運営とあって、大手企業からきらりと光るベンチャーまで多数あります。「女の転職@type(アット・タイプ)」を見る