総務省「労働力調査」によると現在、パートアルバイト、派遣社員、契約社員などの非正規雇用者数は約2,000万人と言われています。その数は平成2年には881万人だったものが、平成7年には1,000万人を突破、平成17年には1,634万人と年々増え続けています。

このことにはいくつかの側面があるのですが、一つは働く女性が増えたことでパートやアルバイトが増えたこと。二つ目はライフスタイルの変化で正社員に囚われない自由な働き方を選ぶ人が増えたこと。そして三つ目が課題点なのですが、正規雇用を望んでいるのに正規雇用の仕事に就くことができない人が多くいることです。

「より多くの収入を得たいから」が1位

厚労省がまとめた「平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査」というデータがあります。5人以上の常用労働者を雇用する事業所約 17,000 カ所と、そこで働く労働者約 53,000 人を対象に実施した大がかりな調査です。前回は平成22年に実施され、おおよそ4年に1度実施されています。

この調査で、正社員に変わりたいと回答した正社員以外の労働者について、「正社員になりたい理由」を複数回答3つまで答えてもらったところ、もっとも多かったのは「より多くの収入を得たいから」で78.1％（前回 72.2％）、次いで「正社員の方が雇用が安定しているから」が 76.9％（前回 77.0％）となりました。

以降はぐんと少なくなるのですが、3番目が「より経験を深め、視野を広げたいから」の24.4%、4番目が「自分の意欲と能力を十分に活かしたいから」の22.1%、5番目が「キャリアを高めたいから」の14.9%、そして「専門的な資格・技能を活かしたいから」「家庭の事情（家事・育児・介護等）の制約がなくなる（なくなった）から」「その他」「不明」と続いています。

前回4年前の調査では、「より多くの収入を得たいから」よりも「正社員の方が雇用が安定しているから」と答えた人の方が多かったことをみると、自由な働き方を望む人が増えたことが伺えますが、それでも正社員になりたくてもなれない人が数多くいることは決して望ましいことではありません。

国も正規雇用化を積極的に支援

非正規雇用は、正規雇用と比べて、雇用が不安定、賃金が低い、能力開発の機会が少ないといった課題があります。

現在、正規雇用（正社員）として働きたいけど、やむを得ず非正規で働いている人、いわゆる「不本意非正規雇用」の立場に置かれている人が約315万人もいると言われています。

雇用の安定は結果的に日本経済の成長につながるため、国では、非正規雇用の労働者を雇用する事業主に対して、有期契約社員、パート、派遣労働者等の正規雇用化を図る「キャリアアップ助成金」、ニート・フリーターの常用雇用を促す「トライアル雇用奨励金」などを実施し、非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善を強力に押し進めていく計画です。