栄養士・管理栄養士に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人を解説

栄養士・管理栄養士に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人を解説

「栄養士」は、学校や病院、福祉施設などで、栄養に関する指導・助言や食事の管理をおこなう仕事です。今回は「栄養士」に転職する人向けに、「栄養士」の仕事内容、平均年収・給与、また現在働いている人から「栄養士」に向いている人向いていない人について解説いたします。ぜひ転職活動の参考にしてください。

「栄養士」とは

栄養士「栄養士」は、学校や病院、福祉施設などで、栄養に関する指導・助言や食事の管理をおこなう仕事です。勤務先によって学校栄養士、病院栄養士、福祉施設栄養士と呼ばれます。
学校であれば生徒、学生、病院であれば患者の健康や栄養状態、材料の種類、予算を考えながら献立を作ります。小学校6年生向けのメニュー、糖尿病患者向けのメニューなど年齢層や病状に応じてきめ細かく考えるほか、味気ないものにならないように季節感や彩りを取り入れ、食べる楽しみも考慮します。そのほかにもカロリー計算などの栄養価の計算をしたり、材料の発注などもおこなう職場もあります。近年は「食育」をスローガンに「食事をおいしく、バランスよく」摂ることの重要性が再評価されていることから、「栄養士」の仕事もいっそう重要になってきています。
「栄養士」の仕事は、ハローワークなどでの職業分類は、高度な技術、専門的な技術を要する「専門的・技術的職業」の中の、中分類「その他の保健医療の職業」に属しています。

「栄養士」の就業者数

現在「栄養士」として働く人はどれくらいいるのでしょうか。
「平成27年国勢調査」(総務省)によると、「栄養士」として働いている人は全国で約11.8万人で、男女の割合は男性が約3,800人、女性が約113,800人となっています。大部分が女性で、とくに若年層が多くなっています。
また雇用形態については、正規雇用(正社員)は約9.2万人、パートアルバイトなどの非正規雇用が約2.4万人となっています。

全就業者数 性別 人数
栄養士全体で 11.8万人 女性 約11.4万人
男性 約4千人

栄養士の男女の割合

「栄養士」の就業場所

栄養士厚労省の市町村保健活動に関するデータによると、「栄養士」の就業場所としてもっとも多いのは病院の約32,000人、次いで学校給食施設の約13,000人、3番目が老人福祉施設の約12,000人、4番目5番目が児童福祉施設と個人開業、そのあとは介護老人保健施設、事業所、社会福祉施設、栄養士養成施設・研究所となっています。
栄養士・管理栄養士の配置は、学校給食法、医療法施行規則、児童福祉法などによって定められており、1日何食以上の食事を提供する施設に何人、病床100以上の病院で1人と明確に決まっています。各事業者や施設が任意で雇用しているわけではないのです。
高齢化社会を迎え社会福祉施設は増えていくことが予想されますので、今後も一定のニーズがある仕事だといえます。
またこの資格の特徴として、「食」という生活する上で欠かせない分野であることから、栄養コンサルタントや料理教室のオーナー、フードコンサルタントなど独立開業する道も開けています。

「栄養士」「管理栄養士」になるには

「栄養士」になるには、厚生労働大臣指定の大学や短大の栄養専攻、栄養系専門学校(2年制)の卒業が必要です(卒業と同時になれます)。厚生労働大臣指定の学校は現在、全国に約170校あります。
またキャリアップとして、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格である「管理栄養士」になるには、栄養士免許を取得した後に「管理栄養士国家試験」に合格する必要があります。受験資格は4年生大学(管理栄養士養成課程)卒業の場合はすぐに、短大や専門学校の場合は現場(条件あり)で3年以上の実務経験を経て、受験資格が得られます。
「管理栄養士国家試験」は毎年2、3月に実施され、試験科目は、社会・環境と健康、人体の構造と機能及び疾病の成り立ち、食べ物と健康、基礎栄養学、応用栄養学、栄養教育論、臨床栄養学、公衆栄養学、給食経営管理論(詳細は必ず厚労省の管理栄養士国家試験を確認のこと)を受けます。
気になる受験者数と合格率は平成28年の場合で、出願者数約20,000人、受験者数約19,000人、合格者数約8,500人、合格率は44.7%となっています。 約半数しか合格できない、比較的ハードルの高い国家資格です。

「栄養士」の有効求人倍率は1.55倍

「栄養士」の転職状況、働きやすさはどうでしょうか。最近の有効求人倍率を見るとその他の保健医療の職業の有効求人倍率は1.55倍となっています。 特に3大都市圏(東京、大阪、名古屋)は、学校、病院、保育園などからそれなりの求人があるようです。

「栄養士」の平均年収・給与

それでは次に「栄養士」の平均給与、平均年収をみてみましょう。
「平成24年就業構造基本調査結果」(総務省統計局)をもとにみると、女性は34.7歳の場合で給与が23.4万円、ボーナスが57.6万円、平均年収は約338万円。男性が35.6歳の場合で給与が25.2万円、ボーナスが58.2万円なので平均年収は約360万円となっています。

栄養士の平均年収・給与
性別 年齢 月額賃金(手当含む) 年間賞与、その他特別給与額
女性 34.7 23.4万円 57.6万円
男性 35.6 25.2万円 58.2万円

※データは「平成24年就業構造基本調査結果」(総務省統計局)をもとに作成
※企業規模計(10人以上)

「業界別の平均年収」「年齢別・男女別の平均年収」も合わせて参考にして下さい。自分の立ち位置がおおよそ理解出来ると思います。

「栄養士」に向いている人、向いてない人

では「栄養士」はどのような人が向いているのでしょうか。実際に「栄養士」で働いている人に「求められる資質、向いている人、向いてないと思う人」を尋ねてみました。転職に当たっての参考にしていただければと思います。

「栄養士」に向いている人
栄養士栄養士は働く現場によって向いてる能力の違いはあります。栄養士でも、臨床の現場に携わる人は、対象者に対しての栄養の知識と知識を高めたいと思う積極性をを要します。また、他部署との連携も必要になってくるため、誰とでの積極的にコミュニケーションをとれる人材が向いていると思います。
給食業務に携わる人は、まず現場をまとめる統率力が必要になってきます。現場の雰囲気は、提供する料理にも表れてくるし、おいしいもの提供したいという気持ちがない、ただ食事を出すだけの機械的な作業しかできない現場になってくるからです。
どの職種でも、同じになってしまうかもしれませんが、人間関係が上手に築ける人材と向上心のある人材が向いていると思います。

反対に向いていない人は
もちろん、栄養の知識はとても大切ですが、一人でしか仕事のできないような人材は向いていないと思います。対象者のために栄養状態の向上や食生活の改善に努めることが優先されてきます。そのためには、一人ではなく、他職種を巻き込んで業務を行っていかないと仕事になりません。コミュニケーション能力は必要不可欠です。
また、相手に安心感を与えられる印象も大切です。栄養というのは、即効性のあるものではありません。時間をかけて、ゆっくりと指導を行っていくものなので、指導したことを実行してもらわなければ意味がありません。説得力をもって、誠実に対象者に向き合えることも重要になってきます。
(女性 33歳 奈良県 現在管理栄養士)

「栄養士」に向いている人
栄養士献立作成から発注、納品確認、給食の提供など常に時間との戦いなので、スケジュールをきちんと立てられる人でないと勤まりません。締め切りに間に合わないことは許されません。栄養指導をするときには患者さんもインターネットで調べられるので知識を持っていることをふまえて、さらに勉強していないと患者さんの役に立つ栄養指導はできません。勉強をすることが苦にならない人に向いている仕事だと思います。また病院ではチーム医療の一員として医師や看護師、薬剤師などとコミュニケーションを取らないといけないので、コミュニケーション能力があるほうが仕事がしやすいです。食材など重いものを持つことが意外と多いので体力がないときついかもしれないです。

反対に向いていない人は
医師や看護師、薬剤師、調理師など様々な職種の人と関わる仕事なのでコミュニケーションが苦手な人には向かないかもしれません。栄養士は一人でできる仕事ではないからです。献立作成にしても周りの意見を聞かないといい献立はできません。例えいい献立ができたとしても現場で調理ができないと意味がないので現場の調理師とのコミュニケーションは特に大切です。
また覚えなくてはいけないことがたくさんあるので常に勉強をしなくてはいけません。勉強をしたくないという人には向いていません。また栄養士は地味な作業が多くて裏方というイメージがあるので仕事で目立ちたいというかたには向いていないと思います。
(女性 37才 京都府 専業主婦(以前栄養士))

「栄養士」に向いている人
栄養士栄養士(管理栄養士)には現場(調理場)をまとめる能力・リーダーシップが必要です。それは一番年下として入っても、管理職である事が多いからです。親よりも年上の、栄養学的な知識がない、所謂おばちゃんたちをまとめて行くのは大変です。現場との良いコミュニケーションと的確な指示がなければ仕事が回りません。
そして、料理が好きである事から目指す人が多いですが、医療現場においては全く違う役割です。栄養学だけではなく、医療的な知識もなければなりません。医療はチームとして行う事も多く、他職種と対等である為にも日々の勉強と向上心が必要だと思います。
調理現場と医療現場どちらとものバランスが必要です。

反対に向いていない人は
知識はあっても現場(調理場)とうまくいかない人、現場は良くても知識がない人など、どちらか片方でもできない人は栄養士は向かないと思います。調理現場と医療現場は仕事内容のギャップが大きいので大変ですが。
あと、衛生面や栄養学的数値などきっちりできない人は論外です。どちらも命にかかわってくるので、その辺がずぼらな人は向いていません。料理が好き程度の人は医療現場は無理だと思います。
学ぶ場が女子大であることが多い為女性が多い職種ですが、仕事内容での男女の差は無いと思います。調理現場は経験だと思いますが、医療現場では年齢が若いほど最新の知識を学んでいるので良いと思います。
(女性 38才 福岡県 管理栄養士非常勤)

「栄養士」に向いている人
栄養士栄養士として働くには、常に向上心が大切です。栄養士の世界は医療の世界と同じく終わりがありません。医学や研究の進歩で様々な組み合わせの食材が人間に有益だと認められるものが増えたり、逆に自分で追及して発見することもあります。人の栄養や健康を考えて働き、常に新しい知識を獲得していき研究していかなければならない。同時に、その人にあった提案の引き出しをたくさん作らなければならない。また、「知らない」ということが許されずそれが時としてその人の回復を阻害してしまい害になることもあるため、この職種には責任感ある熱いタイプの人が向いていると私は常日頃感じています。

反対に向いていない人は
諦めがはやい人や、想像力の無い人だと考えます。看護師などとは異なり常に問題を抱えている人のそばに入れる職種ではありません。もっと言ってしまえば、資料だけを渡されて、あったことのない人の栄養問題や今後の回復に向けての計画を立てていかなければならないときもあります。そう言ったときには、限られた資料を基にどこまでその人のことを想像してプランを立てれるかが勝負になります。諦めがはやい人は、この職業は地道に継続していき効果が出るといった時間のかかることをしている職業です。時には一回目で建てたプランが成功せず、何度も再考して挑戦を続けます。その中で諦めの速い人は、続かない傾向にあります。
(男性 22歳 北海道 栄養士(非常勤))

医療技術職と医業関連職の分類

「医療技術職」は、医師、歯科医師、獣医師のほかにも、多くの職業があります。人の生命に直接関わる医療の仕事は、高度な技術と専門性が求められるため、そのほとんどは国家資格が必要となります。

中分類 小分類
医療技術職 診療放射線技師
臨床工学技士
臨床検査技師
理学療法士
作業療法士
視能訓練士、言語聴覚士
歯科衛生士
歯科技工士
中分類 小分類
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 医師
歯科医師
獣医師
薬剤師
保健師、助産師、看護師 看護師、准看護師
保健師
助産師
保健医療職 栄養士、管理栄養士
あん摩指圧師、はり・きゅう師
柔道整復師
その他の保健医療職

「栄養士」に転職を考えている人へ

転職アドバイス「栄養士」は料理を作るのが好きな人におすすめの職業です。国が推進する「食育」は、食事や食物に関する知識と選択力を身につけ、健全な食生活が送れるようにするための教育であり、そのなかで「栄養士」の仕事は重要なポジションを占めています。また老人ホームや介護施設は増えて来ており、今後も栄養士のニーズは高くなっていくでしょう。
ただポイントは、法令により各施設に栄養士、管理栄養士の配置を義務づけられていいるものの、それほど求人数が多くないことです。
今後新たに栄養士を目指す方は学校経由の就職、また転職を考えている人は、医療系の転職サイトや各都道府県の栄養士協会のホームページこまめに確認しておきましょう。いずれにしても好条件求人を見逃さないように日頃からチェックをして、いざという時にすぐ動ける心構えを持っておくことが重要です。

転職体験談(成功・失敗)

  1. 食品専門商社へ転職
  2. [転職体験談] クレジットカード会社に転職したY.Sさん(男性)のケース (内定辞退の話も)
  3. [転職体験談] 美容卸業界から飲料卸会社に転職を決めた愛知県のS.Nさん(男性)
  4. [転職体験談] 実務翻訳者から南の島で念願の広告代理店に転職(沖縄県R.Nさん女性)