転職を考える時に「どんな会社、業種を選ぶのか」はとても重要なことです。仕事というのは人生の中でかなりのウェイトを占めるもので、嫌だからといって何度も変えられるものでもありません。気持ちよく働けるかどうかによって自身の生活も大きな影響を受けてしまいます。誰だって失敗はしたくないものです。
企業を選ぶ際に、上場企業であればある程度の開示義務がありますので「公式ホームページ」や「会社四季報」や「日経会社情報」などで細かく調べることが出来ますが、中小企業やベンチャー企業の場合はそもそも公になっている情報が少ないため、事前に把握出来るデータは限られてしまいます。
ここでは、転職グッド編集部がこれまで数多くの企業とやりとりをした経験をもとに、企業公式ホームページやインターネット上の情報から、求人応募しない方がいい会社、入社しない方がいい会社の傾向を探ってみたいと思います。
企業の公式ホームページが無い会社
これは今の時代論外ではないでしょうか。中にはキラリと光る小粒な中小企業もあるのかもしれませんが、企業は社会の公器という考え方に立つと、まったく情報開示をする気のない会社は唯我独尊的な雰囲気、閉鎖的なイメージすら感じてしまいます。あるいはホームページの有用性を理解していない年輩者が実権を持ち続けている、前時代的な会社かもしれません。
代表者名が載っていない会社
企業の役割というのは、取引先や仕入れ先、また雇用する社員やその家族、親族、さらに周辺の地域住民や地域自治体などのステークホルダー対して、誠実に向き合う義務というか努力をする必要があります。その時に最終責任者である代表者の名前をホームページに載せていない会社というのは、経営者自身が何らかの疑念を持たれても致し方ありません。例えば責任を負いたくない、表に出たくない、または出ることが出来ない、世の信用を大切にしていない、社会と向き合う度量が無い、何か後ろめたいことをやっているなどです。
いずれにしても自社の公式ホームページに代表者名を載せていない会社は、あまり周囲から尊敬されることはないように思えます。本来は代表者名はもちろん、顔写真もしっかり出して社会と真摯に向き合うことを求められるからです。
会社概要を画像で作成している会社
これは少しわかりにくいのですが、会社概要や代表者名を画像で作成して、マウスでコピーペーストが出来なくしている会社のことです。
たとえば、下記のトヨタ自動車は一見、テキストで作られていて、企業名や代表者名をコピペ出来そうに見えますが、実際にやってみると、表や項目がすべて画像で作られているので、マウスで選択して反転させることができないのです。(実際のトヨタ公式サイトはちゃんとテキストで作られていますが、今回は参考資料として、弊社の方であえて画像で作っています)
これは些細なことのように思えますが、わざわざ画像でテキストのように見せかけているのは、コピペしにくくしているためで、会社として後ろ向きな意図を感じます。会社名や代表者名を検索してほしくない、ブログやSNS、クチコミに載せられたくない、または過去に炎上や叩かれた経験があって、インターネット上に評判が出回ってしまっているので調べて欲しくない、といった防御手段としてやっていることが多いのです。
世の中と誠実に向き合っているまっとうな企業でこのような「小細工」をやっている会社はほとんどありません。もしご自身が面接を受けようと思っている会社がこのようなことをやっていたら、もう一度きちんと調べてみることをおすすめいたします。
お知らせ情報が古すぎる会社
企業のホームページにはよくお知らせやプレスリリースなど、外部に向けて発信してるコーナーがあります。この情報が1年前、2年前など、古すぎる場合は注意が必要です。(そもそも「お知らせ欄」を設けていない会社はさらに要注意です)
外部に対して何かをピーアールしたい、告知したい、いう気持ちは、事業を営んでいる会社にとってごく自然なことです。さまざまな利害関係者が見る自社のホームページのお知らせを1年も2年も放置しておくというのは、企業としての姿勢がいかがなものかという感じがします。たしかにBtoBのビジネスであまり告知することがない会社や業種もありますが、その気になれば、新商品や新サービス、改善内容や社内行事など素材はいくらでもあります。むしろここを放置しているというのは、事業があまり成長していない、社内の雰囲気が停滞している、新しいことに取り組む土壌がない傾向があるのではないでしょうか。
公式サイトがわかりにくい会社
これは自分が見たときに、直感で「この会社のホームページは見やすいな、わかりやすいな」と思うか、「デザインがダサイな、わかりにくいな」と思うかです。
見やすいサイトの会社は、自社のことを深く理解してもらうために、ホームページの細部まで改善を重ね、努力しているはずです。外部に対して誠実に向き合うことのできる会社といえるでしょう。
一方のわかりにくいサイト、ダサイデザインをそのままにしている会社というのは、常に改善を重ねていくことを苦手とする会社、日常業務に追われすぎて広報活動ができない会社、企業ホームページが重要なことを理解していない会社なのかもしれません。
企業のクチコミやネット上の情報を収集
最後にこれは公式ホームページの見方ではなくインターネットの活用についてです。
皆さんも転職活動、就職活動でよくやっていると思いますが、インターネット上からその企業の雰囲気や実際の姿などをリサーチしてみることです。
企業名で検索して、Googleの10ページ目くらいまで念入りにチェックをしてみるのもいいでしょうし、下記のリブセンス運営の企業クチコミサイト「転職会議」やGoogleマップのクチコミなどで、企業の様子を把握してみるのもいいでしょう。
下記の画像は、ヤマダ電機の品川大井町店を、Googleマップで検索した時に出てくる、企業のクチコミ情報です。★が2.8で39件のクチコミがされていますね。このように自分が受けようと思っている会社を調べてみてください。
ネットで調べても何も出てこない会社
どんな会社なのだろうと思って、Googleで検索してみたけど、地図のマップルやタウンページなどの情報しか出てこない会社というのも時々あります。悪評がずらりと出回っている会社も問題ですが、何も出てこない会社というのも少し問題です。なぜなら社会に対してほとんど関わりを持っていないと思われる会社だからです。
普通、企業が何十年も事業活動を営んでいれば、行政や地域諸団体との付き合いでサイトに企業名が載ったり、取引先のサイトに紹介されたり、お客さんがブログで書いたり、新商品やサービスがマスコミに取り上げられたり、事業の足跡がしっかりと残っていくはずです。ところが何も出てこない会社というのは、地域社会と付き合いが無い、取引先もごくわずか、インターネットを活用して仕事もしない、誰も話題にしないし、興味も持たれないということです。
少なくともこれをご覧の有能な皆さんが転職をするにしては、あまりにもリスキーな会社のような気がします。
最後に
冒頭でも書きましたが、仕事というのは私たちの人生の中でかなりの時間を占める重要なものです。人によっては人生の2/3くらいを費やしているかもしれません。また転職には精神的、体力的にパワーを使います。誰だって一度入った会社は出来るだけ長く、安定して働きたいはずです。転職を繰り返したい人などいる訳がないのです。
でも悲しいかな、世の中には自分とどうしても合わない、もしくは企業が雇用するだけの素養を持っていなかった、といったことが多々あります。せめて企業の公式ホームページやインターネットをフル活用して、事前に調べることで、取捨選択をしたいものです。どんなにアナログでネットが苦手な人も、決してハローワークの書類上の情報だけを鵜呑みにすることなく、自分の力でインターネットでその会社の特徴や雰囲気を調べた方がいいと思います。その努力は結果的に、自分自身の人生の豊かさとなって返ってくるはずです。健闘を祈っております。
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