「キャビンアテンダント転職物語」は、航空会社の客室乗務員(CA)に転職した女性の笑いあり涙ありの物語です。驚きの採用決定からワクワクの初出社、地獄の訓練を経て、大空に飛び立ち、一人前のキャビンアテンダントに成長していくまでが描かれています。第3話は「とっても厳しい訓練がスタート!」です。それではどうぞ!
いよいよ憧れの訓練スタート!
前回の第2話でのとおり無事に航空会社の入社式も終えて、あの厳しいと言われる訓練に突入していきます。初日から前職の保険業との違いにびっくりさせられっぱなしの毎日がはじまりました。
まず、最初に言われたこと。それは、座っているときは必ず足を閉じて座ることです。皆の足がちゃんと閉じているか(股が開いていないか)チェックするため、敢えて机の下の足が見える机が用意されています。これは訓練が終わるまでずっとです。もちろん姿勢が悪くなってくると注意されます。これは基礎中の基礎。
さらに、驚いたのは、ペットボトルのガブ飲み禁止ということ。ペットボトルは直接口を付けて飲むものだと思っていましたが、お客様から見て不快な行動は慎むという意味で、ペットボトル飲料を飲むときはストローを指して飲む、あるいは紙コップなどに移して飲まなくてはなりません。とりあえず、帰り道にストローと紙コップを大量買いしました。
今までとてもガサツで、上品と全く真逆だった私。普段の生活態度は、気を許すとすぐに出てしまいます。なかなか立ち居振る舞いを直すことが出来ず、怒られっぱなしでした。気を許すとうっかりペットボトルをガブ飲みしたり、立ったまま飲んだりして、すごく怒られました。普段からの生活態度はとっても大切なのですね…。
身だしなみは高校時代よりもはるかに厳しいです
また、身だしなみについてとても厳しいです。毎日朝は身だしなみチェックから始まります。
こんなに注意されたのは高校生以来。いや、高校時代よりもはるかに厳しいです。前髪の長さはまゆげの上は絶対、アップスタイルにした時には一本も後れ毛を出すことは許されません。ですので、ハードスプレーは必ず持ち歩かないとなりません。爪の長さも指先から2ミリ、必ず何らかのマニキュアを塗っていること。(色も決められています)メイクも薄すぎても、濃すぎても怒られます。身だしなみチェックは今思い出してもとても恐ろしいです…。
また、訓練の前半は制服を着ることを許されません。制服は中間テストを合格しないと着る資格をえられないのです。ですので、最初は皆黒スーツで訓練を受けていました。まずは制服を着ることが目標なのです。
言葉遣いもとっても厳しいです
身だしなみや所作についてもかなり厳しいですが、やはり言葉遣いはとりわけ厳しいです。お客様と常に接する職業なので、間違った日本語や敬語を使うと、その航空会社の品格を問われます。それだけでクレームが来るくらい、シビアなのです。
例えば、「とんでもないです。」は敬語としてよく使うのではないでしょうか。前職でも普通に使っていましたし、注意もされなかったので正しい敬語として使っていました。ですが、厳密にいうと、「とんでもないことでございます。」という言い方をしなさいと教えられました。なんだか、くどくて、最初はくすぐったい感じがしましたが、今では全く違和感なく使えるようになりました。「そうですね。」は「さようでございますね。」など、正しいと思っていた敬語を修正していくことになりました。もちろん当たり前ですが、「でかい」なんて絶対に言ってはいけません。「大きい」と言わないと怒られ、かなり細かいところまで見られています。私は、「でかい」「ちっさい」「超○○」「すごい」など、普段は綺麗とは言えない言葉遣いばかりしていたので、これもかなり苦労しました。
同期も背景がバラバラなので、別の業界から来た同期は皆カルチャーショックと、敬語を正すことにとても苦労していました。しかし、この訓練を乗り越え美しい所作と言葉遣いを取得すると、いつかお嫁に行ったとき絶対に困らないと言われています。
今はこの丁寧すぎる敬語や所作に慣れてしまったので、外出して自分が接客を受ける際、日本語の使い方や表情、指の動きなどの所作、全てをチェックしてしまいます。これはCA全員に共通する職業病です。怖いですね…。
いきなり衝撃を受けた訓練初日。ですが、これはほんの序の口。さらなる試練と、睡眠不足の日々がやってきます。
次回の第4話は「ついに始まった本格的な訓練」です。お楽しみに!