「キャビンアテンダント転職物語」は、航空会社の客室乗務員(CA)に転職した女性の笑いあり涙ありの物語です。驚きの採用決定からワクワクの初出社、地獄の訓練を経て、大空に飛び立ち、一人前のキャビンアテンダントに成長していくまでが描かれています。
第4話は「ついに始まった本格的な訓練」です。それではどうぞ!
ついに始まった訓練 – まず飛行機の構造を覚える
第3話でのいきなり衝撃を受けた訓練初日を終え、ついに本格的な訓練が始まりました。
まず、最初に習うこと。それは飛行機の構造についてです。操縦したり、整備したりするわけではないのでそこまで深く勉強しませんが、エンジンの場所や名前は知っておかなければなりません。地上待機中や航行中にエンジンから火を噴いていていた場合、パイロット席からはエンジンが見えないので、私たちCAしか気づくことができません。その時に、CAはその出火したエンジンがどのエンジンなのかすぐに報告できるよう、熟知しておかないとならないのです。飛行機の機種によってエンジンの数や形、名前などが違うので、全ての機種について学びます。
他にも機種ごとにトイレはいくつあるか、お客様の座席やコールボタンの位置などを学んでいきます。
もちろん、毎日テストがあります。合格点を切ったら再テストです。ですが、基本的に合格点を切ることは許されません。あくまで一発合格が基本。私たちは毎日勉強し、誰一人として不合格点を取る人はいませんでした。それだけみんな毎日遅くまで勉強していました。
憧れのサービス訓練 – 教官が厳しくチェック!
その次は、サービスの訓練です。これは毎日毎日繰り返し、訓練所を卒業するまで続きます。実際にこの訓練はモックアップという、実際の飛行機の中を再現した場所で行われます。通路の幅も実際の飛行機と同じで、CAが座るCAシートや上の収納棚も同じものを使っています。
最初に目にしたときは、アテンションプリーズで上戸彩さんが、訓練していたところと全く同じだ!なんてミーハーな浮ついた感動すら覚えました。初めてCAシートに座った時も感動してしまいました。が、実はあのシート、直角の椅子なので、とても座り心地が悪いのですよ。
しかしこの訓練、本当に細かいところまで見られています!たとえば、お客様にお手洗いの場所を尋ねられた時、「お手洗いはこちらでございます。」と指し示した指がそろっていないと…。「指がそろっていない!」と怒られます。それまで優しかった教官が突然鬼教官に。それはそれは、とても恐ろしいです!
また、お客様にお手洗いをご案内するときは、手で指し示すだけでなく、お客様をその場所までお連れすることは基本中の基本です。ただ、口頭で説明するだけだとまた怒られます。最初のうちは怒られっぱなしです。イメージで言うと姑にずっと注意されているような感じです。
さすがに同期と、どの教官が一番豹変するか、どの教官が一番怖いかなどの話出盛り上がるようになりました。ですが、教官として配属されるCAは普段の仕事ぶりを評価されている人たちばかりです。厳しいのは当たり前ですね。
また、サービスは実技なので、いくら机の上で勉強しても上達することはありません。技量は普段の生活の中でどのくらい他人に気遣いができているかに直結しているのです。今まで金融系で働いていた私は対等の関係でのお仕事が多く、対お客様への気遣いが分からず、こちらも本当に苦労しました。
私たちのランチタイム
さて、余談ですが訓練中の昼食の時間帯についてお話しします。
第3話でお話ししましたが、訓練中は私たちのお給料はとても低く、一人暮らしの人は毎日自炊を余儀なくされていました。うちに帰ってもその日の課題やテスト勉強は山ほどあってとても忙しいのですが、コンビニで買ったり外食したりする余裕はありません。ですので、夕食は基本的に自炊となり、お昼ごはんはお弁当持参という訓練生がほとんどでした。そもそも睡眠時間が少ないのに、毎朝お弁当を作るのはつらいですが、みんな慢性的な金欠なので、しっかりと作ってきていました。
食堂もありますが、整備士さんや地上職員の方など様々な方が利用し混み合うので、昼食を食べるまで時間がかかり、休み時間も勉強しなくてはならない私たちは食堂を断念していました。前職では同期同士で楽しく食堂に行って昼食をとっていましたが、そんなことは考えられませんでした…。
また、温かいお茶をもらおうと給湯室に行くと、国際線移行やファーストクラスの訓練中の先輩たちが陣取っていて私たち新人はとても入ることが出来ませんでした。上下関係がとても厳しい世界ですので、新人のうちから目立つ行動はできず、ズカズカと給湯室に入ることもできず、つつましく過ごすのは新人の基本中の基本!
そんな大変な生活はまだまだ続きます。次回、第5話は「怒涛の実践的なサービス訓練」へ入ります。お楽しみに!