「キャビンアテンダント転職物語」は、航空会社の客室乗務員(CA)に転職した女性の笑いあり涙ありの物語です。驚きの採用決定からワクワクの初出社、地獄の訓練を経て、大空に飛び立ち、一人前のキャビンアテンダントに成長していくまでが描かれています。
前回の第10話ではついに独り立ち!新人専門部署へ配属された様子が描かれました。
今回の第11話はいよいよ憧れの国際線へ!国際線乗務の訓練開始!です。それではどうぞ!
憧れの国際線へ!国際線乗務の訓練開始!
そもそも、海外を飛び回りたくて、この会社入った私。約1年半の修行期間を経てやっと国際線乗務の訓練に入ることとなりました。
国際線訓練は、新人訓練のように長くはなく、約1か月の訓練となります。国内線と違って、国際線は仕事内容が増えますし、国によって法律などが違うので全てをマスターして訓練所を卒業となります。
まずは英語力のブラッシュアップ!
国内線はほとんど日本人のお客様なので、それほど英語を使うことはありません。ですが、国際線はほとんどが外国人のお客様の時もありますし、様々な場面で英語で対処しなければなりません。たとえば、お食事の際、ビーフとフィッシュのうちビーフがなくなってしまった時、外国人のお客様がビーフをどうしても食べたいと言っている場合。日本人のお客様でも苦慮する対応となりますが、この対応を英語ですることになりますので、それなりの英語力が必要となります。
ですので、この訓練では英語に割く時間がかなり多く、訓練中に英語のテキストを一冊暗記しなければ訓練を卒業することはできません。しかも、本番のテストはただ空で英語を言うだけではなく、実際お食事を出す動作や上着を預かる動作などをつけながらデモンストレーションを完璧にこなさなければなりません。発音、間の取り方、しゃべる速度などもしっかりとみられています。しかも、外国人役の教官はアドリブで様々な質問をぶつけてくるので、臨機応変に対応できる英語力を持ち合わせていないといけないのです。大変だったのは、日本の珍味の説明。例えば『塩辛って何?』という質問に答えなくてはならないのですが、小さいころから塩辛は当たり前に食べていたので、塩辛ってどんなものかちゃんと日本語で説明するのも難しいですね。ですが、日本を旅行する外国人のお客様のほとんどは日本が大好き。日本食にもとても興味があり、一つ一つ質問を受けることが多いです。ホタルイカの沖付けやどら焼きなどは本当によく説明を求められました。
私は帰国子女ではないし、英語力が著しく高いわけでもありません。ですが、単語をいくつも暗記したり、組み合わせたり、普段から英語を発するようにすることで意外と対応できるものです。CAを目指している人は英語力がないからといってあきらめず、自分の英語力をブラッシュアップすることが大切です。毎日英語を使っていないと英語力はすぐに落ちてしまいますし、毎日使うことで口からすぐに英語が出てくるものです。毎日の積み重ねが大切ですね。
各国のルールを覚える
国内線と違って、国際線は各国に入国する際、入国審査や税関申告、健康状態が悪い場合の申し出など、ルールが違います。また、同じ国でも州によって違うこともありますので、とても複雑です。これを全て熟知していないと、お客様の質問にも答えられませんし、間違った対応をすると私たちもその国から注意を受けることになりますので絶対に覚えなくてはなりません。
入国書類の書き方も各国で違いますし、ビザが必要か、免除される場合はどのような場合かを覚えます。
特にオーストラリアは食品持ち込みにうるさい国です。私たちクルーでもチョコレート一つから申告をしないといけませんし、黙って持ちこむと罰金が科せられます。スーツケースを開けられなければ大丈夫と思う方もいらっしゃると思いますが、スーツケース、結構な頻度で開けられますのでご注意を。私も何度も開けられたことがあります。
また、アメリカも肉製品は持ち込み不可ですが、肉エキスの持ち込みも不可です。なので、カップラーメンに入っている肉エキスも持ち込み不可なので、カップラーメンも持ち込み禁止です。
面白いのはシンガポール。街をきれいに保つため、チューイングガムを街中で噛みながら歩くことが禁止されています。ですので、チューイングガムを持ち込む際は、申告しなくてはいけないのです。意外と知られていない事実ですね。
訓練でのテストに合格後はOJTへ。
さて、厳しい訓練は私たちは新人の時にびっちり鍛えられていますので、今回の訓練は勉強にしっかり専念して訓練を受けることになりました。お食事、機内免税品販売、着陸前の保税品の管理などをしっかり学び、全てのデモンストレーションをこなすことで、合格となります。
そして、ついに次回は最終回。憧れの国際線へはばたきます!次回もお楽しみに!