社会福祉・介護業界の国家資格「3福祉士」とは?登録者数、平均年収、就業場所について

社会福祉・介護業界の「3福祉士」とは?障害者を支える国家資格

「3福祉士」は福祉・介護業界の国家資格

福祉・介護業界には「3福祉士」と呼ばれる「社会福祉士」「介護福祉士」「精神保健福祉士」の3種の国家資格があります。
「介護福祉士」「社会福祉士」は1987年に「社会福祉士及び介護福祉士法」、「精神保健福祉士」は1997年に「精神保健福祉士法」によって定められた資格です。
「3福祉士」はそれぞれ目的や仕事内容は異なるものの、「社会福祉」という点では理念を同一にしており、専門的な知識と技術を生かし、身体や精神の障害がある人や高齢者、生活困窮者などの日常生活が困難な人に対して、自立した生活を送るための支援やアドバイスなど社会的支援をおこないます。他の専門的職、技術的職と比べると新しい資格ですが、国として社会全体の福祉向上に取り組めるのは、社会が成熟してきた証でもあります。

国家資格「介護福祉士」とは

介護福祉士に転職「介護福祉士」は、特別養護老人ホーム、身体障害者施設等の社会福祉施設の介護職員や訪問介護員として、身に付けた専門的な知識と技術を生かし、身体や精神の障害がある人に対して状況に応じた介護や指導、相談業務などをおこなう仕事です。
これからの日本は4人に1人が65歳以上となる本格的な高齢化社会を迎えます。利用者が自立して生活するための適切な介護方法はどのようなものなのか、現場での豊富な経験と体系的なスキルを身に付けた「介護福祉士」は介護職の中核を担う職種として期待されています。
●「介護福祉士」の仕事内容や資格取得、平均年収・給与などの詳細はこちらのページをご覧下さい。

国家資格「社会福祉士」とは

社会福祉士に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人を解説「社会福祉士」は社会福祉分野の国家資格で、ソーシャルワーカー(SW)とも呼ばれています。身体や精神の障害や日常生活に支障がある人に対して、福祉に関する相談に乗り、アドバイスや指導のほか、福祉サービス業者などとの連絡、調整などをおこなう仕事です。
「介護福祉士」が利用者に対し直接、対面して介助作業などをおこなうのに対して、「社会福祉士」は相談業務を通して、利用者が最適なサービスが受けられるように医師、看護師、各療法士やなどサービス業者との間を調整したり、指導をおこなったりします。
おもな就業場所は、社会福祉施設のほか、行政機関、保健機関・医療機関、教育機関、地域包括支援センターなど多岐に渡るのも特徴です。
●「社会福祉士」の仕事内容や資格取得、平均年収・給与などの詳細はこちらのページをご覧下さい。

国家資格「精神保健福祉士」とは

精神保健福祉士に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人を解説「精神保健福祉士」は、精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)と呼ばれる精神保健福祉分野のソーシャルワーカーの国家資格で、1997年の「精神保健福祉士法」ともに誕生、精神障害者の社会復帰や円滑な日常生活をおくるための支援、相談をおこなう仕事です。長期の入院で社会から離脱してしまった精神障害者やストレス社会の中でうつ病になってしまった人などの社会復帰を促進することが命題となっています。
おもな就業場所は、社会福祉施設や医療機関、福祉行政機関のほか、近年では司法施設や教育施設、企業などにも活躍の場が広がっています。
●「精神保健福祉士」の仕事内容や資格取得、平均年収・給与などの詳細はこちらのページをご覧下さい。

3福祉士で登録者数がもっとも多いのは「介護福祉士」

介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士の登録数推移
最初に全国でどのくらいの人が「3福祉士」として従事しているのかをみてみましょう。
国家試験を実施している公益財団法人社会福祉振興・試験センターの発表によると、2016年(平成28年)現在で、「介護福祉士」の登録者が1,494,881人、「社会福祉士」が201,486人、比較的新しい「精神保健福祉士」が73,723人となっています。
伸び率、登録者数とも圧倒的になのは「介護福祉士」で、これはそもそもの就業場所が他の2資格と比べて多いこと、また厚労省指定の養成学校を卒業していなくても、一定の現場経験があれば国家試験の受験資格が得られることなどが要因だと考えられます。

「3福祉士」の登録者数 推移

  介護福祉士 社会福祉士 精神保健福祉士
平成12年 210,732 24,006 4,169
平成13年 255,953 29,979 6,655
平成14年 300,627 38,157 9,332
平成15年 351,267 48,409 12,666
平成16年 409,369 58,952 18,321
平成17年 467,701 70,968 21,911
平成18年 547,711 83,355 25,950
平成19年 639,354 95,216 30,326
平成20年 729,101 108,877 34,768
  介護福祉士 社会福祉士 精神保健福祉士
平成21年 811,440 122,138 39,131
平成22年 898,429 134,066 46,002
平成23年 984,466 146,220 49,545
平成24年 1,085,994 157,463 55,394
平成25年 1,183,979 165,494 58,770
平成26年 1,293,486 177,896 62,883
平成27年 1,408,533 195,336 67,896
平成28年 1,494,881 201,486 73,723

3福祉士の平均年収を比較

3福祉士の平均年収を比較
次に3福祉士の介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士の平均年収を見てみます。国家試験を実施機関「公益財団法人 社会福祉振興・試験センター」による調査です。
それによると、男性でもっとも平均年収が高いのは、社会福祉士の439万円、次いで精神保健福祉士の403万円、介護福祉士の328万円でした。
女性の場合も同様に社会福祉士がもっとも高く339万円、次に精神保健福祉士の321万円、最後が介護福祉士の240万円となっています。

正規社員やパートなどの雇用形態別、20代30代の年齢別の詳しい平均年収は各福祉士のページで紹介していますので、下記リンクから移動してください。

男女別 平均年収比較
回答 男性 女性
介護福祉士 328万円 240万円
社会福祉士 439万円 339万円
精神保健福祉士 403万円 321万円

3福祉士の就労分野

介護福祉資格を活かして就労している人の就労分野をみると、「介護福祉士」は「高齢者福祉関係」の割合が最も高く、約84%でした。大半の人が高齢者福祉施設で働いていることがわかります。
「社会福祉士」も同様に「高齢者福祉関係」が43.7%と多いのですが、「障害者福祉関係」、「医療関係」も17.3%、14.7%と多くの人が働いています。
「精神保健福祉士」の場合は、「医療関係」「障害者福祉関係」がともに30%以上で多くなっています。ただ他の2つの資格と比べて、就業分野が幅広いのが特徴です。

介護福祉士 社会福祉士 精神保健福祉士
高齢者福祉施設 84.0% 43.7% 9.5%
障害者福祉関係 7.7% 17.3% 30.8%
医療関係 6.3% 14.7% 32.4%
児童福祉関係 4.8% 2.4%
生活保護関係 0.8% 1.4%
行政関係 3.4% 11.3%
地域福祉関係 7.4% 2.5%
教育関係   3.5%

※合計が100%にならないのは、不明や無回答を除いているため

3福祉士が他に所有している資格は?

社会福祉、介護分野は仕事内容が多岐に渡るため、他の資格を所有している人が多くいます。
介護福祉士」は、6割近くが「ホームヘルパー(訪問介護員) 」の資格を所有していました。
社会福祉士」は、6割近くの人が「社会福祉主事」を所有し、4割以上の人が介護支援専門員(ケアマネージャー) の資格を所有しています。
精神保健福祉士」は、6割近くの人が「社会福祉士」の資格を所有、約4割の人が「社会福祉主事」を所有しています。

3福祉士 他に保有している資格は?
↓他に保有している資格 介護福祉士 社会福祉士 精神保健福祉士
介護福祉士 33.0% 15.5%
社会福祉士 5.0% 57.8%
精神保健福祉士
介護支援専門員(ケアマネージャー)
27.4% 44.7% 30.0%
ホームヘルパー(訪問介護員) 58.2% 33.5% 22.9%
保健師 0.1% 0.6% 8.5%
看護師 0.7% 3.1% 11.5%
准看護師 1.0% 0.9% 1.5%
助産師 0.0% 0.2% 0.8%
理学療法士 0.1% 0.3% 0.2%
作業療法士 0.1% 0.2% 0.8%
言語聴覚士 0.0% 0.2% 0.1%
臨床心理士 0.0% 0.3% 1.6%
相談支援専門員 1.9% 9.4% 15.3%
社会福祉主事 14.6% 59.6% 40.0%
保育士 6.9% 9.0% 5.0%
教科「福祉」の高等学校教育免許 0.3% 2.1% 1.3%
弁護士 0.4% 0.0% 0.0%
司法書士 0.0% 0.0% 0.0%
この中に保有する資格はない 21.3% 12.1% 23.8%
無回答 3.0% 0.9% 4.0%

データ出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター http://www.sssc.or.jp/

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