工場や建設工事現場、資材保管庫での事務職「生産関連事務職」はどのような人が向いているのでしょうか、またどのような人が向いていないと思われるのでしょうか。ここでは実際に「生産関連事務職」として働いている人、働いていた人に必要な能力や性格、適職性など現場の生の考えを聞いてみました。「生産関連事務職」へ転職を考えている人はぜひ参考にして、面接での質問回答の受け答えにお役立てください。
「生産関連事務職」
「生産関連事務職」は、工場などの生産現場や建設工事現場にて、生産・工程管理、工務、労務、資材などに関する事務仕事をおこなう「生産現場事務職」は、検収・検品、保管・管理、出荷・発送、クリーニングやカメラ店等受入に関する事務仕事をおこなう「出荷・受荷係事務」に大別されます。
一般的な事務職と異なり、(本社や営業所以外の)工場や建設現場などで、生産、資材に関する事務や、資材・製品などの納入場所での「検収・検品」、工場・倉庫などでの「保管・管理」などの職業になります。
「生産関連事務職」の就業者数は全国で52.5万人、全体での割合は約0.93%になっています。(平成27年国勢調査(総務省統計局))
「生産関連事務職」の分類
「生産関連事務職」には下記の仕事があります。
小分類 | 職業 |
---|---|
生産現場事務 | 工場などの生産現場および建設工事現場での、工程管理、資材仕入、生産管理、建設工事現場事務など「生産・工程管理」 |
出荷・受荷係事務 | 資材・製品などの納入場所での「検収・検品」、工場・倉庫などでの「保管・管理」「出荷・発送」、クリーニングやカメラ店での注文受入など「出荷・受荷係事務」 |
ちなみに「事務職」全体の分類は
ちなみに「事務職」全体では下記のように総務や庶務の「一般事務職」、経理や会計の「会計事務職」などいくつかの職種に分かれています。求職にあたっても、各事務職の内容を理解しておくことが必要です。
大分類 | 中分類 |
---|---|
事務職 「事務職」全体の平均年収や給与、解説はこちら |
一般事務職 |
会計事務職 | |
生産関連事務職 | |
営業・販売事務職 | |
運輸・郵便事務職 | |
事務用機器操作職 | |
外勤事務 |
比較的働きやすい「生産関連事務職」
今夏の「生産関連事務職」の有効求職倍率は1.44倍と、他の一般事務職や会計事務職の0.3倍~0.7倍などに比べると、1倍を超えており、多少高くなっています。
これは144件の求人案件に対して、100件の応募者がいるのと同じことで、事務職の中では比較的、採用されやすい職業だといえます。
なお「有効求人倍率から見る「採用されやすい職業、採用されにくい職業」もご覧下さい。
「生産関連事務職」に向いている人、向いてない人
「生産関連事務職」はどのような人が向いているのでしょうか。どのような資質や性格、能力が求められるのでしょうか。またどのような人が向いていないのでしょうか。ここでは実際に事務職として働いている人、働いていた人に考えを聞いてみました。現場の生の声をぜひご覧下さい。
※各事務職の職種と仕事内容はこちらをご覧下さい。
円滑に業務が流れるように気を配る
●「生産関連事務職」に向いている人
生産工場での事務職は、自社と取引会社の間を担うポジションなので、例えば、必要な部品を使用する順番などを考えて発注するなどどうすれば効率良く作業できるか、余剰在庫を減らしてコスト削減ができるか、如何にスムーズにクレーム対応を処理できるかなど、その場の判断力が重要になります。
また、お金が必ず絡んでくるので、明細や請求書などを作成する際でも、注意深く何度も見直しすることや、現場の人間が把握しきれていない締め切りなどにも気を配り、スケジュール管理がしっかりできる人に向いていると思います。
資材仕入などは種類が多く、部品毎の特徴を覚えておく必要があり、記憶力も重要なので年齢的に20~40歳くらいが向いていると思います。あまり高齢の方には適さないと思います。また、現場では多くの作業員がいろいろな要望を言ってきますので、とりまとめた上で、整理整頓をおこない、シンプルな事務処理をおこなう必要があります。
(女性 27歳 徳島県)
今も手書きや口頭で資材仕入をおこなう会社も
●「生産関連事務職」に向いている人
建設工事現場事務のなかでも主にお金からみの発注から請求までの管理を主な業務としています。この仕事を行うにあたって必要なスキルとしては、パソコンスキルで言えばエクセルです。大きな会社ではあれば必要な業務に応じて社内フォーマット等が用意されていると思いますが、そうではない中小企業にとってはその都度必要な書類に関しては自分でフォーマットの作成から行う必要があると思います。
建設現場はIT化が遅れており、今も手書きや口頭で資材仕入、生産管理をおこなっている会社が多くあります。もし勤めた会社もアナログなのであれば、データソフトやクラウドを使って、全員で仕入れや生産の管理への移行を提案してみると良いと思います。
(男性 35歳 東京都)
転職にあたって
「生産関連事務職」はあまり馴染みのない言葉ですが、工場などの生産現場や建築現場での生産・工程管理に関する事務職、検収・検品、保管・管理の関する仕事です。工場や生産現場には欠かせない仕事です。
転職についてですが、実はこの「生産関連事務職」、「事務職」で働きたいと思っている人には狙い目の仕事です。
「事務職」はもともと求人数が少ない上に、応募希望者が多いため、とにかく競争倍率が高く、総務などの「一般事務職」に至っては約0.3倍、経理などの「会計事務職」は約0.6倍、営業サポートなどの「営業・販売事務職」は約0.75倍と、いずれも1倍未満の数字です。100社の求人募集に300人、200人の応募がある状態なのですが、今回解説した「生産関連事務職」は約1.44倍と、数字の上では一応、希望者全員分の求人があることになっているのです。
もちろん、応募者本人、採用側企業の合否もありますので、あくまでも数字上だけの話ですが、それでも他の事務職と比べてハードルが多少低いことは事実です。
就業にあたって、必ず必要な資格やスキルはありませんが、他の事務職同様にPC作業が必須になります。特にエクセルは「普通に使える」ではなく「得意」と言えるように解説本などで習得しましょう。