今回は厚労省の「平成27年賃金構造基本統計調査」をもとに、保育士男女の平均給与(月の給料)、ボーナス(年間賞与)、平均年収を算出いたしました。
月給与(手当含)は、基本給、職務手当、精皆勤手当、家族手当が含まれているほか、時間外勤務、休日出勤等超過労働給与を含んだ、税込みの金額です。手取り額ではありません。
また平均年収は「月給与(手当含)」に12ヶ月を掛け、年間賞与等を足した金額を載せています。
保育士 男女の平均給与、ボーナス、年収一覧表
女性の保育士全体の平均給与は218,200円、賞与(ボーナス)は602,900円、平均年収は約322万円でした。
この金額は他の社会福祉専門的職や看護師、薬剤師と比べてさほど高い訳ではありません。そのためなのか、経験年数が低い若い層の保育士が多く、7年以下の保育士が約半分を占めています。また離職率は10.3%、私営保育所においては12.0%となっています。
待機児童の増加ならびに近年の保育士不足などの状況も鑑みて、各自治体では保育士の家賃補助や養成学校の学費補助などの支援策を打ち出しています。
女性保育士(保母)の給与、ボーナス、年収 | |||
年齢 | 月給与 (手当含) |
年間賞与 | 平均年収 |
20~24歳 | 188,800円 | 369,100円 | 263万円 |
25~29歳 | 204,500円 | 592,800円 | 305万円 |
30~34歳 | 211,600円 | 590,300円 | 313万円 |
35~39歳 | 223,700円 | 661,800円 | 335万円 |
40~44歳 | 234,000円 | 713,200円 | 352万円 |
45~49歳 | 245,900円 | 710,500円 | 366万円 |
50~54歳 | 248,200円 | 760,200円 | 374万円 |
55~59歳 | 263,700円 | 900,800円 | 407万円 |
女全体平均 | 218,200円 | 602,900円 | 322万円 |
男性保育士(保父)の給与、ボーナス、年収 | |||
年齢 | 月給与 (手当含) |
年間賞与 | 平均年収 |
20~24歳 | 198,400円 | 270,100円 | 265万円 |
25~29歳 | 218,000円 | 524,700円 | 314万円 |
30~34歳 | 252,300円 | 744,800円 | 377万円 |
35~39歳 | 279,200円 | 956,500円 | 431万円 |
40~44歳 | 307,600円 | 1,110,400円 | 480万円 |
45~49歳 | 338,300円 | 829,600円 | 489万円 |
50~54歳 | データ無 | データ無 | データ無 |
55~59歳 | 327,800円 | 1,235,000円 | 517万円 |
男全体平均 | 238,200円 | 604,500円 | 346万円 |
給与や賞与の改善を望む保育士は約6割も
全国の待機児童数の3分の1をかかえる東京都では、「待機児童解消のために何が必要なのか」を明らかにするために、現在、保育士として働いている8,214人(正規職員4,702人、有期契約職員フルタイム886人、有期契約職員パートタイム2,536人)を対象に、「現在の職場に対して改善してほしいと思っている事」の調査をおこないました。
その「東京都保育士実態調査報告書」(平成26年3月)をみると、もっとも多かったのは「給与・賞与等の改善」で59.0%、約6割が「改善してほしいと思う」と回答しています。
各自治体が実施する保育士支援策などを活用すべき
国が2009年に実施した調査によると、2017年度末までに全国で約7万4千人の保育士が不足するといわれており、特に東京ではその3割、約2万2千人が不足すると予測されています。現在、東京ほか首都圏の都道府県では、待機児童の解消に取り組んでおり、保育士の確保に向けて様々な支援策に取り組んでいます。特に私営保育園の月額約8万円の家賃補助、修学資金の貸付(その後の勤務によって返済不要)が中心です。
「保育士に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人」でも解説いたしましたが、「保育士」として働く人の約9割は保育所勤務となっており、うち民間の保育所勤務は7割になります。20代、30代の一人暮らしをしている保育士にとって、月額約8万円の家賃補助は魅力的です。
これらの保育士確保制度を実際に利用するかどうかは別として、検討しておいて損はありません。あらたな勤務先選びの要素のひとつに組み入れるべきでしょう。