生産工程職(製品製造・組立・検査)に転職-仕事内容や平均年収・給与、向いている人を解説

生産工程職に転職

製品製造や機械組立、製品検査などの「生産工程職」で働く人は全国で約900万人。ものづくり日本を支える製造業で働く人が中心です。今回は「生産工程職」に転職を考えている人向けに、仕事内容、平均年収・給与、この仕事に向いている人、向いていない人について解説いたします。ぜひ転職活動の参考にしてください。

「生産工程職」とは

「生産工程職」とは、生産設備の制御・監視や製品製造や機械組立、製品検査など、生産工程での知識、機械・装置の操作能力、器用さ、肉体的労働などが必要となる仕事です。主に製造業の工場や研究所で働くことが多くなります。
総務省の「日本標準職業分類」によると、金属、化学、食料品、飲料、紡織・衣服・繊維などの「生産設備制御・監視職」「製品製造・加工処理」「製品検査職」、自動車や電気機械器、輸送機械、計量計測機器・光学機械器などの「機械組立設備制御・監視職」や「機械組立職」「機械整備・修理職」「機械検査職」などになります。

高度成長の波に乗って、日本が大きく経済発展したのは、トヨタ、日産などの自動車メーカー、ソニー、パナソニックなどの家電メーカー、そして関連するさまざまな部品製造など製造業の躍進によるところが「大」です。近年では中国や韓国などのアジア勢、イノベーション部分では欧米勢に押され気味ではありますが、まだまだ高品質=日本ブランドは健在です。今後はさらに付加価値のある製品づくりが求められるはずです。

「生産工程職」の分類

「生産工程職」には下記の仕事があります。

中分類 職業
生産設備制御・監視職 金属、化学、食品、飲料、紡織・衣服・繊維などのオペレーター
金属材料製造加工、溶接職 製銑工、製鋼工、非鉄金属製錬工、鋳物製造工、金属プレス工、板金工、金属製品製造工、金属溶接・溶断工など
製品製造・加工処理職 金属製造、化学製造、めん類やパン・菓子製造、弁当惣菜類、水産物加工、乳・乳製品、保存食品・冷凍加工食品、食肉加工品などの食品製造、製茶、清酒製造作業員、杜氏、 ビール製造工、みりん製造、ワイン製造などの飲料製造、紡織・衣服・繊維などの製品製造・加工処理
機械組立職 一般機械、電気機械、電気通信機械、半導体、衣服・繊維、木製製品、パルプ・紙などの機械組立
機械整備・修理職 各種機械整備、自動車整備、輸送用機械器具整備・修理、計量計測機器・光学機械器具修理
機械・製品検査職 金属材料金属加工、各種機械、製品の検査
生産関連・生産類似職 塗装工、画工、看板制作工、製図工、パタンナー、写真工、映写技師

「生産工程職」で働く人

「生産工程職」を仕事としている人はどれくらいいるのでしょうか。
「平成24年就業構造基本調査結果」(総務省統計局)によると、「生産工程職」に従事している人は、全国で約915万人となっており、男女の割合では男性が約654万人、女性が261万人と圧倒的に男性の方が多くなっています。
この数字はすべての職種職業の中では、「事務職」の約1,240万人、2番目の「専門的・技術的職」についで3番目に多い人数で全体の割合では約14.2%を占めています。ちなみに以降は4番目が「販売職・営業職」、5番目が「サービス職」となっています。

就労者増減数は、前々回(平成19年)の統計と比べると、就労者数は約94万人減少と、すべての職業の中でもっとも大きく減っています。主な原因は生産設備のオートメーション化、生産拠点の海外移転などで、一部精密機械製品はメイドインジャパンをアピールポイントに国内での生産回帰も見られますが、グローバル化の波は止められず、今後も雇用数が大きく改善することは期待できないでしょう。

生産工程職で働く男女比

男性が約654万人、女性が261万人と圧倒的に男性の方が多い。
「生産工程職」で働く人

   男性 女性 合計
生産工程職で働く人 約654万人 約261万人 約915万人

「生産工程職」の平均年収・給与

それでは次に「生産工程職」の平均給与、平均年収をみてみましょう。
「平成24年就業構造基本調査結果」(総務省統計局)をもとにみると、以下の通りになっています。
(下記表の中で)比較的、高給なのは男性の場合で「自動車組立工」で平均年収が37.9歳で約541万円、「一般化学工」が38.7歳で約492万円となっています。いずれも大手企業の給与体系に準じているのだと考えられます。女性の場合は恐らくパートタイマー(非正規雇用)の割合が高いために賃金が低めになっていると思われます。

男性の場合の平均年収・給与

男性の場合 年齢 月額賃金、手当含む 年間賞与
その他特別給与額
一般化学工 38.7 32.6万円 100.8万円
旋盤工 40.3 29.9万円 53.9万円
金属プレス工 39.3 30.0万円 72.5万円
鉄工 41.1 28.8万円 56.5万円
板金工 40.9 30.4万円 57.1万円
溶接工 40.6 29.4万円 59.2万円
機械組立工 40.0 31.7万円 86.2万円
機械検査工 40.6 32.0万円 85.8万円
機械修理工 39.6 32.1万円 94.5万円
自動車組立工 37.9 35.8万円 111.8万円
自動車整備工 36.7 29.0万円 72.6万円
パン・洋生菓子製造工 40.3 25.5万円 33.0万円
オフセット印刷工 40.8 32.8万円 62.4万円
合成樹脂製品成形工 39.8 29.9万円 62.9万円
機械製図工 41.4 34.9万円 88.4万円

女性の場合の平均年収・給与

女性の場合

年齢 月額賃金、手当含む 年間賞与
その他特別給与額
機械組立工 41.4 20.5万円 37.1万円
機械検査工 38.3 20.8万円 40.5万円
通信機器組立工 44.0 20.0万円 49.1万円
プリント配線工 42.4 20.8万円 36.2万円
軽電機器検査工 42.3 18.2万円 19.0万円
パン・洋生菓子製造工 39.2 19.6万円 18.0万円
ミシン縫製工 44.8 15.3万円 14.4万円
合成樹脂製品成形工 44.1 19.8万円 39.6万円

※データは「平成24年就業構造基本調査結果」(総務省統計局)をもとに作成
※企業規模計(10人以上)

「業界別の平均年収」「年齢別・男女別の平均年収」も合わせて参考にして下さい。自分の立ち位置がおおよそ理解出来ると思います。

「生産工程職」に向いている人、向いてない人

では「生産工程職」はどのような人が向いているのでしょうか。実際に製品製造や機械組立、製品検査などで働いている人に「求められる資質、向いている人、向いてないと思う人」を尋ねてみました。

製造業(樹脂加工メーカー)の生産工程職の品質管理職の求められるもの、向いていないこと
製造業(樹脂加工メーカー)の生産工程職働くには、樹脂の知識はもちろんですが、加工技術(マシニング加工・旋盤加工)の知識が必要です。金属と樹脂は、要求される寸法精度や、加工後の歪みが全く違います。樹脂の特性を知りながら、加工技術が大切になってきます。
メーカーのお客様に関しても、加工については素人知識であり、無茶な図面を書く人もいます。そこで、加工知識をもって提案し、加工しやすい図面にしていくのも必要になります。

品質管理職に向いていないと思う人は
品質管理知識(QC検定・統計手法)が大事になります。一昔前と違って、大量生産から、多品種小ロットに移行しました。ただ作るだけではなく、品質を前段階でつくりこみ、不適合流出を図る事で顧客満足が必要となります。
また、品質保証(顧客対応)・品質管理(社内品質)にて協力する事で、設計へのフィードバックも必要になります。過去不具合が確実に対策に落とし込まれているかをチェックするのも大事になります。
(滋賀県 男性 31歳)

生産工程職(製品製造職)に求められる能力、向いている人は
生産工程職(製品製造職)集中力を持続させ冷静に判断できる能力を必要とします。ライン作業では特に、一つ一つの製品に細心の注意を払わなければ不適合品を流してしまう可能性があります。それぞれの作業工程によって、知識と技術が異なってくることがあるので頭を切り替えることが重要です。
生産工程職は物作りが好きな人はもちろん、アイディアに溢れた人、手先の器用な人、何か一つの事を時間も忘れて没頭できる人が向いているといえます。また不適合品を出さない為にも真面目で正直な人であることも求められます。

反対に製品製造職に向いていない人は
製品製造職では常に冷静さが求められる為、落ち着きのない人やおしゃべり好きな人は向いていないでしょう。また製品の品質上衛生面が厳しい所が大半です。
工場では大半が立ち作業です。女性は繊細な作業が得意な方が多く女性のみの工程も数多くあり、女性が活躍できる職種といえます。一方、男性は向上心が高く、一つの工程ならず幅広い分野を任されている人が多いようです。的確な状況判断やトラブルシューティングに強い方が多いようです。
年齢の面でいえば、一つは老眼がネックになるでしょう。生産工程職では目を酷使する作業が多いので辛いかもしれません。特に検査工程では品質にも関わってくるので注意が必要です。
(宮崎県 女性 26歳)

こちらのページではさらに生産工程職に向いている人、向いていない人をまとめています。このあとにご覧下さい。

最後に 「生産工程職」に転職を考えている方へ

製品製造や機械組立、製品検査などの「生産工程職」は、几帳面で真面目、改善と管理を得意とする日本人に実は一番向いている仕事だと感じることが多々あります。ソニーやパナソニックなど世界的なメーカーを多数輩出しているのも頷けます。
近年は工場のオートメーション化や生産拠点の海外移転で、求人数が減ってきていますが、世界GNPで2位にまで登りつめた技術や製造能力、品質管理力はまだまだ健在です。
この職業(仕事)の良い点は、40代以降の層や女性の求人も比較的多いこと、シフト制によって労働時間に融通が効きやすいこと、仕事が少ない地方での雇用安定に大きく貢献していることなどが挙げられます。

課題はやはり、中国や韓国、新興国との価格面での競争、アメリカほか欧米勢とのイノベーションでの競争、そして雇用面では人間の仕事をこなすロボットに取って替わられた人材をどう生かすかです。

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