結婚、出産など女性ならではの仕事の探し方を解説する「女性の転職ノウハウ」コーナー。今回は「探そう!女性が働きやすい企業」です。
『働く』ということにおいて、結婚、出産、育児、介護など、女性にはいくつもの転機があります。男性にも転機はありますし、女性が抱え込む必要はないはずだといっても、今の社会が、女性が働きやすいように機能している…とは言えない面が多いのが現状でしょう。もっと働きやすい社会になるまで待つよりも、今、女性が働きやすい企業や職場を探してみませんか?今回は女性が働きやすい企業を考えます。
女性が働きやすい企業の目安
働きやすい企業とは、何を目安にすればよいのでしょうか。基準は人それぞれかも知れませんが、多くの女性に共通する項目をご紹介します。
【女性の割合が多い】
性別という違いは、体調や思考の違いを生む大きな要素のひとつです。
女性ならではの体調不良や、妊娠による心や体の変化を、男性が察知・理解することは難しいもの。そのため、社内や就業する部署に女性が多いことは、仕事の面でも気持ちの面でも、心強いものです。
【女性管理職の割合が多い】
社内や部署に女性が少なくても、女性管理職がいれば安心という場合もあります。
仕事の分担を考える立場にある役職者が女性であれば、妊娠中の行動にどんな注意が必要なのかを検討して、仕事を割り振ることができますし、短時間勤務による退社時間にも、あらかじめ声をかけるなどの配慮がしやすいでしょう。
ただし、同性の方が厳しい…そんな側面もありますので、頼れる存在であっても、ただの甘えは厳禁です。事情があっても、配慮されていることを自覚して、効率良い労働の提供を心掛けましょう。
【育児休暇制度の運用率が高い】
女性従業員が、結婚や妊娠・出産を機に退職してしまい、育児休暇制度が形だけで、実際には運用できていない企業も存在します。
制度があっても、休職する前の配慮や、復職するための整備を考えていなければ意味はありません。育児休暇制度や短時間勤務制度などが運用できているかは、必ず確認したいところです。
(制度については『知ってる?ライフスタイルを守る法制度』参照)(「女性の育児休業取得実績がある企業は84%、課題は代替要員」という声も)
【男女の平均年齢や勤続年数の差が少ない】
企業全体の平均年齢が高ければ、若手の全体的な退職率が高いか、女性の退職率が平均年齢を引き上げている可能性があります。
更に、男女別の平均年齢や勤続年齢に差がある場合は、女性の退職率が高いと考えられます。
つまり、全体的な平均年齢が同業界で高くないこと、男女別の平均年齢差や勤続年数差が少なければ、女性の退職率が低く、就業しやすい環境だと言えます。
いずれも可能性の話ですが、目安となる数値ですので、※『女性の活躍推進企業データベース』などを参考にしてみましょう。
※厚生労働省委託事業『ポジティブ・アクション』より
【割合や運用状況はどうやって調べるの?】
これらについては、企業ウェブサイトや採用サイト、特に新卒採用サイトで探せることが多い情報です。
また、転職コンサルタントや紹介会社を利用している場合は、情報が掲載されていなくても調べてもらえる場合がありますので、確認してみましょう。
前述した『ポジティブ・アクション』のように、政府によるデータ収集・公開も始まっているため、参考となる数値もとりやすくなってきました。
訪問してわかることも
「女性の割合も制度の運用率も、調べてもわからない。調べてもらえる経由地もない。」そういう場合も考えられます。メールや電話で質問するというのもちょっと…という気持ちもありますよね。
それでも関心ある企業であれば、まず面接まで到達することを目標にして、面接時に直接確認してみましょう。面接時の質問方法については『聞きたいけれど聞きづらい?女性の「知りたい」を上手に質問する方法』をご覧下さい。
それに、実際にその企業を訪問することでわかる、貴重な情報もあります。
例えば、受付電話を鳴らしたところから面接室に通されるまでに、オフィスの様子がうかがえるかも知れません。面接場所がオフィスと隔たれた打ち合わせスペースであっても、パーテーションの向こう側に、仕事の打ち合わせの様子を感じることができるかも知れません。たったそれだけでも、男女の割合や、席の配置による女性の役職者の有無を確認できる場合があります。
また、面接開始前に、資料やお茶を提供してくれた方が男性であれば、『女性を小間使いにしていない』ひとつの目安になりますね。
更に、トイレや給湯室、休憩スペースを見るチャンスがあれば、さりげなくチェックしましょう。女性の意見が取り入れられている企業は、就業以外のスペースが心地よい環境となっている場合が多いものです。
こんなところもチェック
お目当ての企業が探し出せない場合は、以下のような探し方もあります。
【くるみんマーク】
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/
『子育てサポート企業』として、厚生労働省の認定を受けた企業が使用できるマークです。
次世代育成支援対策推進法に基づき、一定の基準を満たした企業でなければ認定されないため、現在子育て中の方や、今後、結婚・出産などで仕事と家庭の両立を目指す方にとっては、就業しやすい企業の目安のひとつとなります。平成28年6月末時点で、2750社が認定を受けています。
【なでしこ銘柄】
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/nadeshiko.html
経済産業省が東京証券取引所と共同で、一定基準のもと、女性活躍推進に優れた上場企業を選定・発表しています。
【ダイバーシティ経営企業100選】
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/
経済産業省が『多様な人材を活かし、その能力を最大限発揮できる機会を提供することでイノベーションを生み出し価値創造につなげている』企業を、ダイバーシティ経営企業として表彰し、受賞のポイントも紹介しています。また、同時に公開されている『ベストプラクティス集』は、経営者や部下を持つ方々に読んでいただきたい工夫が公開されています。今後仕事をしていく上で、役立つ知識となりそうですよ。
【女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業46社】
http://jobgood.jp/4364
採用における女性の競争倍率、女性の平均継続勤務年数、労働時間等の働き方、女性管理職の割合、多様なキャリアコースにおいて、一定の基準を満たしていることなど「女性活躍推進法」の一定の基準を満たし、女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業46社です。認定を受けた企業は、認定マーク(愛称「えるぼし」)を商品や広告、名刺、求人票などに使用しています。
選定されている企業数を見て、まだまだ少ない…と思われるかも知れませんが、上場される企業や100選に選ばれるような企業であれば、子会社や関連会社も存在します。
また、企業とは、常に業界のライバル社を意識して先手先手を打つものです。それは商品開発だけでなく、優秀な人材を確保するための社内整備も同じことが言えるため、選定されている企業の確認は、再就職活動や転職活動にも役立ちます。
最後に
以上、女性が働きやすい企業について考えてみました。
女性が働きやすい社会と言えるには時間がかかるかも知れませんが、今、政府は『一億総活躍社会の実現』という経済政策のもと、女性の活躍を大規模にバックアップする体制を整えようとしており、企業も同様に整備を進め、その情報を公開できるよう動いています。
今回ご紹介した目安を参考に、貴方が働きやすいと思える企業を探してみてくださいね。
「女性の転職ノウハウ」コーナーは、女性ならではの結婚、出産後の悩みや課題からライフスタイルに合わせた会社の探し方、面接の乗り越え方まで詳しく解説いたします。女性の方はぜひご覧下さい。