商社ウーマン転職奮闘物語〈第2話〉 中途採用者が1人だけという孤独

商社ウーマン転職奮闘物語〈第2話〉 中途採用者が1人だけという孤独

「商社ウーマン転職奮闘物語」は、食品専門商社の営業職に転職した20代の女性が取引先や上司、同僚に揉まれながら、一人前の商社ウーマンへと成長していく物語(全17話)です。

前回の第1話では転職活動から面接を経て、未経験の業界に飛び込むまでが描かれました。
第2話の今回は「同期入社がいなかった私。中途採用者が1人だけという孤独」です。それではどうぞ!

同期入社がいなかった私

第2話のはじまりです。
こうして補欠合格者ではあるものの、私は無事に入社することが出来ました。4月1日になりいよいよ初出社の日!

「同じ営業職の人で同期はいないだろうけど、他部署の人で同期入社の人はいるだろうからきっと大丈夫!」

そう思いつつ私は待機室へと向かったのでした。いざ扉を開けて部屋に入ってみると、私の他に誰もいませんでした。もう少しすれば誰か来るかもしれない!ギリギリまで待ってはみたものの、結局私以外誰も待機室に入ってくることはありませんでした・・・。

―――私には同期がいない―――

そう分かった瞬間急に淋しい気持ちになりました。私はしんみりとした気持ちの中で、新人の挨拶の場に出向いて行ったのでした。

入社後すぐに業務がスタート

中途採用者の挨拶はとても簡単なものでした。パッパと自己紹介を終わらせて、すぐに業務へと入って行きました。挨拶が終わると私はそのまま営業部へと連れて行かれ、直属の上司から「早速仕事を覚えて貰う」と言われたのです。必死に上司の話すことを聞き、上司の後をついて行き、その日は慌ただしく1日が終了。あまりに展開が早過ぎて、家に帰って親に「どうだった?」と聞かれても「とりあえず忙しかった」としか答えられませんでした。

新卒入社の際はもっとゆっくりと業務を覚えていって、何事においても計画的に指導を受けていくようなイメージでしたが、中途入社の場合は180度違いました。

“入社したらすぐに即戦力として働いて貰う”

それが中途採用者に会社側が求めていることなのだと、実際に入社をしてみて改めて実感させられたのです。

これまで2度の転職をしてきた私は、今まで中途採用の意味を真剣に考えたことが無かったので、スタート時点で不勉強のツケが露わになって行きました・・・。会社側が私に求めていた“即戦力”を、私は全くと言っていい程持ち合わせていなかったのです。1日1日と過ぎていくたびに、今自分が持っている能力なんて、会社から見たら埃レベルだということが分かりました。

中途と新卒の違い

今回の転職は、まるで偏差値が中ぐらいの人が偏差値上位の学校に推薦入試で、しかもエスカレーター式の所にポンと入ってしまったようなものでした。周りは皆知り合い同士で和気藹々と話している中、同期入社もいない私は1人でポツンと、ただただ周りの様子を見ている。同期入社の人達で「次の同期会だけど~」と、楽しそうに話しをしているのを横目で見ている。自分と同い年の人達もいるようだけれども、会社は年齢では無く社歴の世界。学生時代のように「え?!まじ~!同い年じゃーん!」なんて、馴れ馴れしく話し掛けることも出来ない。例え同い年の人がいたとしても「私も同期会の仲間に入れてよー!」なんて、下っ端の自分からは言えない。周りの人達が何を話しているのか自分だけ分からない上、同期入社のいない私は相談出来る相手もいない。1人で中途入社をすると色々な面で孤独を感じるんだと、この会社に転職をして実感したのです。

新卒入社の際は他にも一緒に入った仲間が沢山いて、同期会もしょっちゅうやっていました。仕事は分からないことだらけだったけれども、同じ立場の仲間がいたからとても心強かったです。同期のいた時代がどれだけ恵まれていたのかを、1人で中途入社をして初めて思い知ったのでした・・・。

自分の現状レベルに対して、うんと高いレベルを持っていないと入れないような環境へと、1人で足を踏み入れてしまった私。即戦力も持っていない中、中途入社は私1人・・・。新卒で入った私と同い年の社員と、中途で入った自分。同い年なので会社からの扱いは同じだろうと思っていましたが、現実は全く異なりました。働いていく中で新卒入社と中途入社の違いを、私は日々実感していくことになるのでした・・・。

次回の第3話「分からないことが分からない。専門用語に囲まれる日々。」に続きます。

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