長時間・過重労働に関する相談が47.7%-無料相談ダイヤルの相談結果

無料相談ダイヤルの相談結果を公表

厚労省は2016年11月6日に実施した「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果を発表しました。
この相談ダイヤルは、国が進める「過重労働解消キャンペーン」の一環として、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組みのひとつで、フリーダイヤルによる全国一斉の相談室を設置、都道府県労働局の担当官が、相談に対する指導・助言をおこなったものです。

もっとも多かったのは「長時間労働・過重労働」で47.7%

「過重労働解消相談ダイヤル」の主な相談内容

それによると、もっとも多かったのは「長時間労働・過重労働」に関する相談で340件で47.7%、次いで「賃金不払残業」の相談が305件で42.8%、3番目が「休日・休暇」に関することで53件、7.4%でした。※なお複数相談もあるため、合計が100%にはなりません。
↓ページ下部では、実際の相談内容事例を紹介しています。

「過重労働解消相談ダイヤル」の主な相談内容
  件数 割合
長時間労働・過重労働 340件 47.7%
賃金不払残業 305件 42.8%
休日・休暇 53件 7.4%

相談者の属性は「労働者」が60.7%

相談者の属性は「労働者」が60.7%

また相談者の属性は、労働者が432件で60.7%、労働者の家族が199件で27.9%、その他が81件で11.4%でした。その他には友人や同僚などが主だと思われます。

「過重労働解消相談ダイヤル」の相談者の属性
  件数 割合
労働者 432件 60.7%
労働者の家族 199件 27.9%
その他 81件 11.4%

もっとも多かった業種は「製造業」で103件

もっとも多かった業種は「製造業」
相談者の業種でもっとも多かったのは「製造業」で103件(14.5%)、次いで「保健衛生業」で101件(14.2%)、3番目が「商業」で 89件 (12.5%)でした。

「過重労働解消相談ダイヤル」の主な業種
  件数 割合
製造業 103件 14.5%
保健衛生業 101件 14.2%
商業 89件 12.5%
その他 419件 58.8%

「過重労働解消相談ダイヤル」の相談事例

本当に退職タイミングまた厚労省は、相談事例として悪質なケースも公表していますので紹介いたします。以下は厚労省公表のリリースからの引用です。

これらの相談を受け厚労省では、労働基準関係法令上、問題がある件について、相談者の希望を確認した上で労働基準監督署に情報提供を行い、監督指導を実施するなど、必要な対応をおこなう予定です。

「長時間労働・過重労働」の相談事例

定時前に6時間、定時後に6時間程度の残業をしており、月の残業時間が200時間を超えている。終電がない場合は自腹でホテルに泊まることもある。労働時間は自己申告により管理されているが、36協定で定める時間を超えてしまった場合は、上司が労働時間を書き直している。
不動産会社の営業(金融・広告業)40代

人員不足のため、毎日7時間程度の残業を行っており、月100時間を超える残業を行っている。労働時間は自己申告により管理しており、パソコンに入力していたが、上司が自分のチームの残業削減を業績目標としているため、残業が少なくなるよう改ざんしている。
機械部品製造会社の総務(製造業)50代

普段から1日4時間程度の残業がある。また、休日である土曜日に会議が開催されることもあり、月80時間程度の残業を行っている。しかし、会社は36協定を締結していない。
商社の営業(商業)30代

管理監督者として働いているが、部下の残業時間を36協定の範囲内に収めるため、月160時間を超える残業を行っている。管理監督者なので、基本給以外に管理職手当しか支払われていない。管理監督者になる前はタイムカードで労働時間が管理されていたが、今は何も管理されていない。
金属製品製造会社の管理者(製造業)30代

「賃金不払残業」の相談事例

日給制で働いているが、入社当初から「残業代は出ない」と言われていた。実際に現場で作業したところ、直近では夜中の3時まで残業を行ったが、本当に残業代が支払われなかった。
建設会社の作業員(建設業)40代

普段から残業をしているが残業代が支払われない。休日出勤の振替休日も取得できない。労働時間は管理されておらず、出勤簿に押印するだけである。そもそも、残業の申請方法が周知されておらず、会社がどのような方法で残業を把握して残業代を支払っているか分からない。
教育機関の事務員(教育・研究業)

会社の方針として人件費を抑えることになっており、残業の申請も実際より少なく書くように言われている。繁忙期は定時前の早朝から出勤し、仕事をしているが、誰も残業の申請をしない。休日出勤も同様である。これだけ申請を抑えているにもかかわらず、申請の半分程度の残業代しか支払われない。
商社の総務(商業)50代

入社時に「残業を指示した時間以外は残業代を支払わない」と説明を受けた。実際に勤務したところ、毎日3時間程度の残業があり、時間外に勉強会や会議が設定されるが、残業代は毎月定額で1万円しか支払われない。労働時間はタイムカードで管理することになっているが、仕事が終わっていない人の分も含めて、誰かが定時過ぎに全員分をまとめて打刻している。
医療機関の事務(保健衛生業)20代

「休日・休暇」の相談事例

休日は月8日となっているが、休日出勤も多く、代休がたまっていく。会社全体として、たまった代休の消化ができていない。このような状況のため、有給休暇を申請しても「代休が消化できていないのであれば、有給休暇を与えることはできない。」と取得を拒否される。
印刷会社の営業(製造業)20代

有給休暇は発生してから2年以内であれば取得できるはずだが、就業規則で1年以内(当年)しか取得できないと定められている。また、有給休暇の取得を会社に請求する際には、上司に理由を言って認めてもらう必要がある。
工場の作業員(製造業)50代

フルタイムの非正規労働者として働いている。正社員は法律どおりの有給休暇が発生するが、非正規労働者は年に3日しか発生しないことになっている。社長に抗議した者もいたが、「嫌だったらやめろ。」と言われて取り合ってもらえない。
金属製品製造会社の総務(製造業)40代

いっこうに減らない長時間労働

転職アドバイス先日、東京都でも小池都知事の掛け声のもと、毎日20時に全庁一斉消灯、全職員を退庁させる取り組みが始まりました。
なぜ長時間労働は無くならないのでしょうか。
「日本の長時間労働はなぜ改善されないのか?その理由を考える」でも詳しく解説いたしましたが、長時間労働は、労働の負荷時間を長くするだけではなく、睡眠不足による業務効率の低下、うつ病など労働者の健康への影響、家庭生活・余働(ワーク・ライフ・バランス)の欠如を招きます。
また人口の半数を占める女性の社会進出の妨げにもなっていることから、政府は終業時間から翌日の始業時間まで一定の時間を空けることを義務づける「勤務間インターバル」なども検討しています。

特に20代~30代は、所定外労働(残業や休日出勤などの実労働時間)が多くなる傾向がはっきりと出ています。これは「若いから無理がきく」「年下だから残業を頼みやすい」「独身の人が多いから」「現場に近いから」など、さまざまな理由が想像されますが、効率的に働いてしっかり休むことを意識すべきです。

もし会社から半ば強制されている、そのような雰囲気ではない場合は、労働基準監督署への相談のほか、都道府県労働局が実施する「労働条件相談ほっとライン」で相談をしてみましょう。
■労働条件相談ほっとライン (厚生労働省委託事業)
フリーダイヤル:0120-811-610(無料)
相談対応時間・曜日:月・火・木・金17:00~22:00、土・日10:00~17:00

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