転職グッド編集部では、仕事柄、すぐ転職に成功した人、すぐ退職してしまった人、面接に受かりやすい人、不採用になってばかりの人、会社を何回も辞めている人など、さまざまな状態にある人へ定期的にアンケートや調査をおこない、転職動向データを蓄積しています。
それらを分析していて、気になるのが、不採用になりがちな人や転職回数が多い人の傾向として、給与や休日などの条件ばかりに気を取られすぎて、仕事に対する意識や意欲が見えにくいという点です。
今回は採用側、求職側両方の立場から、採用される人の傾向について考えてみたいと思います。
「条件ばかり気にしている人」は不採用になりやすい
不採用になりがちな人、転職回数が多い人の傾向として、給与や休日などの雇用条件ばかりを気にしている点が見受けられます。
たしかに給与や労働時間、休日などは仕事においてもっとも重要で、世の中には雇用条件をあいまいにする企業も多いので、キチッと確認すべきなのですが、仕事を探すにあたって、業界は何でもいいから、「事務職」で給与●万円以上、年間休日●日以上、勤務地●周辺のような絞り込みで、立て続けに企業をピックアップする人がいます。
近年景気は上向いているので、これでも条件を満たした企業は見つかるかもしれません。でも恐らくこの考えで通用するのは地元のアルバイトやパートや、正規雇用であっても、慢性的な人手不足で悲鳴をあげている会社、雇用条件だけで人材を釣るブラック企業的な会社くらいではないでしょうか。
事業規模の大小にかかわらず、安定した利益を出していて、長く働くことが出来る会社、いわゆる良い会社というのは、このような人をあまり採用したりしません。
給料のことばかり考えて働いている人は、もっと給料の良い会社が見つかればすぐに辞めてしまいます。休日のことばかり考えて働いている人は仕事やチームよりも自分や自分の生活を優先させてしまいます。だから大事な仕事を依頼しにくいのです。
婚活マッチングサイトを例に考えてみる
少し極端な例ですが、婚活マッチングサイトを例に考えてみましょう。転職活動、就職活動も採用側と求職者側のマッチングのようなものです。給与や仕事内容などお互いが求める諸条件が合致して、さらに両者の相性が良さそうな時にのみ成立するのです。
もしあなたが女性参加者だとして、男性からエントリーがあったので喜んで話してみると、どうやら自分のプロフィールの中の「年収」「住所」「年齢」だけしか見ていないらしく、その他に自分が一生懸命書いた「結婚への気持ち」や「希望する男性」をほとんど読んでいない男性だったらどうでしょうか。たぶんお断りするはずです。
なぜなら「条件ばかりに興味を持って、自分の気持ちや考えをわかっていない相手」だからです。
企業の採用担当者も同じです。数百人の応募者がいて、書類選考後に「入社したい」という数十人の面接をした時に、その業界の成り立ちや自社の立ち位置、商品開発の経緯などをほとんど理解しておらず、「給与」「休日」の質問ばかりして来る人を採用するでしょうか。恐らく採用しないでしょう。
仕事にはしっかりとした職業意識が求められる
仕事は1日24時間のうち8時間、1ヶ月720時間のうち160時間を費やす、人生でも重要なものです。この仕事を嫌々または渋々やっているのと、前向きに嬉々としてやっているのでは、自分の生活に大きな違いが出ます。
たしかに仕事より家族との生活や趣味、余暇の方が楽しいものですし、充実度も高いでしょう。でも大半の人は仕事をしていかないと生活ができません。それであれば「仕事が楽しい自分」へと変えていった方が、生きていく上で楽なのです。
人は、自分の価値を認めてくれると嬉しくなります。また自分の取った行動で他人が喜んでくれると嬉しいものです。そこに損得勘定や金銭的な計算は存在しないはずです。
同じように会社員として働くにあたってしっかりとした「職業意識」が求められます。
働こうとしている職業の存在意義、やりがい、考えられる困難、将来の展望などを勉強して、「どうしてもこの会社で働きたい」「この職業を一生の仕事にしたい」と思えるものを見つけ出す必要があります。
明確な「職業意識」を持った人は、入社後に降りかかってくる様々な困難や不条理に対して、容易にめげることなく、解決しようと頑張ります。そして会社の「理念」を前向きに理解し、会社の重要なスタッフとして活躍することが想像できるのです。
企業が採用したいのは、このように明確な職業意識や就労意欲を持った前向きな人であり、給与や休日・残業の条件ばかり気にしている人ではありません。
とはいっても、雇用条件は大事なことです。
面接での質問の順番は
1.理念や事業内容など企業全体のこと
2.個人の仕事内容や自分の能力、技術
3.給与、休日などの諸条件確認
4.その他どうしても聞いておきたいこと
といった感じで、大きい枠のものから小さな枠のものへと、展開していく方がスムーズで、相手(面接官)にとっても、違和感がありません。
こちらの「「職業意識」とは?どのように答えれば良いのか」に詳しく書いてあります。
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