「商社ウーマン転職奮闘物語」は、食品専門商社の営業職に転職した20代の女性が取引先や上司、同僚に揉まれながら、一人前の商社ウーマンへと成長していく物語(全17話)です。
前回の第12話は、「お客さんに対する想い!私 VS 上司!」でした。
第13話の今回は「これからもよろしく!仲直りの時」です。それではどうぞ!
それぞれの気持ちはさて置き、納品日がやって来ました。商品の出荷を止められなかったため、1度お客さんのところで物を引き取って貰う形になっています。
その間こちらでは仕入業者に、商品代は無しにして貰えないか?運賃元払いにて返品させて貰えないか交渉を続けました。仕入業者も初めは怒っていたため商品代も貰います!と言っていましたが、何度か謝罪を重ねお願いをしていくうちに、末端さんとは初めての付き合いだけど、御社とは長い付き合いだからね。分かったよ。じゃあ今回は運賃元払いだけで良いよ。本当今回だけだからね!と言ってくれたのです。
仕入業者の優しさによって、私もお客さんも救われたのでした。
―――納品翌日―――
お客さんから朝一で私に電話が掛かってきました。
ようやく電話が掛かって来た・・・。
この時の私は好きな人からの連絡をずっと待っていた乙女(?)のような心情でした。お客さんから連絡が来てホッとした自分がいました。どんな結果であろうとも、まずはお客さんの話しをきちんと聞こう。そう思い恐る恐る電話に出てみると、
「この前はすまなかったね・・・。◯◯さん(私)に甘え過ぎていたよ。麦味噌の件、こっちでちゃんと処分するから。どうしたら良いか指示貰えるかな?」
とのことでした。
え~~~~~~~~―――っ!!?
予想外の展開に私はビックリしました!
あんなにうちとの取引を考えるってご立腹だったのに!一体どうなっているの?何が起きているの?!この時は本当に驚きを隠せませんでした。私はそのままお客さんに、仕入業者へ交渉を続けた結果商品代は要らないと言って貰えたことを伝え、運賃元払いという形で商品を返品して欲しいとお願いをしました。
するとお客さんは、分かった。ありがとう。本当に悪かったね・・・。そう私に言い電話を切りました。
こうして何とか大事にならず決着が付いたのでした。私はすぐさま上司のところへ行き、お客さんとの電話の内容を報告しました。上司は「そうか!良かったな!これで一安心だな!」と言い、その後のフォローもしっかりやるよう私に指示を出しました。
しばらくしてお客さんから無事に返品が完了したと報告が入り、は~これで一安心!と思ってホッと一息つきました。その時突然お客さんが
「今日か明日時間あるかい?もし難しかったら少しだけでも良いからさ。色々嫌な思いもさせちゃったし、ちゃんと会って話そうじゃないか。」
と言って来たのです。私は自分もお話したいと思っていたことを伝え、今日の◯時位はいかがでしょうか?御社に伺いますのでと返し、会う約束を取り付けました。お客さんと喧嘩してから初めて会うこともあり、いつもよりかは少し緊張しました。しかし、実際に会ってみると、お客さんは今まで通りの雰囲気で、私に話し掛けてくれました。しばらく雑談を交わした後、お客さんの方から
「今回の件は本当にすまなかったね。俺も含めこの会社の人間は頑固親父の集まりなんだよ!ほら、昔の親父って皆頑固だろう?!(笑)面倒な親父どもだけど、君のお父さんと会話しているとでも思って付き合ってくれな。これからもよろしく頼むよ!」
と言って貰えたのです!これからもお客さんと仕事が出来るんだ!私が担当のままでいいんだ!小娘の分際で生意気なことを言ってしまったのに、こうして私を受け入れて貰ったことがとても嬉しかったです。
喧嘩をしたことで前よりお客さんとの距離が近付いたので、自分の想いを頑張って伝えてみて本当に良かったと思いました。ただ何でも言うことを聞くだけの、ヘコヘコ営業ウーマンはもう卒業だ!これを機にそう決意したのでした。