「商社ウーマン転職奮闘物語」は、食品専門商社の営業職に転職した20代の女性が取引先や上司、同僚に揉まれながら、一人前の商社ウーマンへと成長していく物語(全17話)です。
前回の第10話は、「初めての喧嘩!私VSお客さん!」でした。
第12話の今回は「お客さんに対する想い!私VS上司!」です。それではどうぞ!
お客さんとのやりとりを上司に説明
私のいつもと違った電話の様子に、上司はただならぬ雰囲気を感じたようで、私が電話を切るとすぐに「どうした?!一体何があった?!」と心配そうに聞いてきました。
私はお客さんとのやり取りを、上司に事細かく説明しました。私の話しを聞いた上司は、しばらく黙って考え込む様子を見せ、「少し考えるから待ってくれ」、そう私に言いました。私は一旦席に戻り、気持ちを落ち着かせるためにも、別の仕事に取り掛かりました。頭に血が上った状態だと冷静な判断も出来ないし、余計お客さんとの関係が拗れる気がしたので、ひとまず別のことに没頭することにしたのです。
しばらくして上司が私に仕事を止めて、自分のところに来るよう言いました。私は黙って上司の元に駆け寄り、何て言われるかジッと待ちました。すると上司の口から出た言葉は、
「今回の件、うちで払っても良いぞ。お客さんに恩を売るじゃないけれども、困った時に助けてあげれば、お客さんのお前に対する態度も変わるかもしれないし。」
こういう内容でした。きっと私の立場を配慮して言ってくれたのだと思います。しかし、私の予想していた考えと丸で逆の答えだったため、私はなかなか「はい」と返事をすることが出来ませんでした。そんな私の様子を見て、上司が「返事はどうした?」と言って来ました。私はしばらく沈黙した後、上司に自分の想いをぶつけてみたのです。
「今回の件、私はうちで支払うのではなく、お客さんの方に支払って貰いたいと思っています。」
上司は驚いた表情をしていました。下っ端の私がまさか自分と真逆の意見を言ってくると思っていなかったのでしょう。デメキン並みに目をギョロッと見開いていました。(笑)私の言葉にイラッと来たのか、
「お客さんはかなり怒っているんだろう!?お前の話しだと、もううちとは取引しなくて良いとまで言われているんだぞ!お客さんに支払って貰いたいとしつこくお願いをしたところで、余計怒りを仰ぐことになる。取引が無くなってしまったら元もこうも無い。お前だけの責任では済まなくなるんだぞ!」
上司は怒鳴りながら私に言いました。
確かに上司の言う通りだと思います。取引が無くなってしまったら取り返しの付かないことになるし、上の人の立場からするとこう考えるのは当然のことだと思いました。けど、今回ばかりは私もこうしたい!という想いがあったため、私は怒られるのを覚悟で再度上司に想いをぶつけてみたのです。
「全く非が無い中で弊社がやります!というのは違う気がしますし、何でもかんでも商社のうちがやります!とやっていると、そっちの方がお客さんの態度も悪化して行く気がします。間違っていることまでハイハイと言う事を聞いてしまうと、“この小娘には何言ってもいい”、とずっと思われ続ける気がするので、ここはしっかりと無理なことは無理と分かって貰いたいです!」
「私はお客さんと深く付き合って行きたいので、間違っていると思ったことは例え喧嘩になったとしてもちゃんと伝えて、腹を割って付き合いたいと思っています!なので、今回の件、私はお客さんの方で支払いをして貰いたいと思います。」
社内が静まり返りました。こいつ俺の言う事に反抗してきた!生意気な女だな!と思われたのかも・・・。私、終わったな・・・。そう思いました。でも、自分が言ったことに後悔は無かったので、「言ってしまった!」という想いと、「言っちゃった・・・。」という想いがごちゃ混ぜになっていたような感じでした。
上司は一言、「分かった。席に戻れ。」と、私に言いました。この反応を見て「私首だな!(笑)明日会社来たら席無いかも!(笑)」そう心の中で思いました。
お客さんから上司のところに電話が掛かってくるかもしれない。そしたらきっと頭を下げに行って、担当替えするのでという話しになるのかな。まだ担当して2年ちょっとしか経っていないのに、私はもう担当から外されるのか・・・。言った事に後悔していないとはいえ、担当を外されるかもしれないと考えたら、凄く悔しくてたまらなくなりました。
お客さんと上司VS私の出来事から数日。特にお客さんから私宛に連絡が入ることはありませんでした。むしろ何もアクションが無かったので、お客さんから本当に切られたのかもしれないと思いました。
このままでは流石にまずいと思い、上司に「お客さんから何か連絡はありましたか?」と聞きに行ったのですが、全く連絡は入っていないとのことでした。こちらから連絡した方が良いのかなと思い、私は上司に「お客さんに連絡入れてみますね」と言いました。すると、「連絡は入れなくて良い。しばらく様子を見る。」そう私に指示を出したのです。そして、
―――何かあったら俺が責任取る。お前がやりたいようにやってみろ。―――
こう言ってくれたのです!!
ほんっとーーに嬉しかったです。あまりに嬉しくて「ありがとうございます!!!」と大きな声でお礼を言ってしまったくらいでした。「相変わらず騒がしい奴だなーお前は!(笑)」上司はそう笑いながら私に言いました。
こんなワガママで頑固な部下で本当にすいません・・・。手のかかる部下で本当にごめんなさい・・・。でも、本当にありがとうございます!心からそう思いました。
色々と不満はあるけれども(それはお互い様か・・・)、やっぱり上司の存在は偉大!私達部下にとってなくてはならない存在だと改めて実感したのでした。