商社ウーマン転職奮闘物語〈第10話〉 「女性上司の存在が私を変えるキッカケに」

商社ウーマン転職奮闘物語〈第10話〉 「女性上司の存在が私を変えるキッカケに」

「商社ウーマン転職奮闘物語」は、食品専門商社の営業職に転職した20代の女性が取引先や上司、同僚に揉まれながら、一人前の商社ウーマンへと成長していく物語(全17話)です。

前回の第9話は、社内の立場がどんどん悪くなってしまい「社会人経験が◯年もあるはずなのに使えない」と言われてしまったお話でした。
第10話の今回は自分から相手の懐に飛び込む努力を始めます。「女性上司の存在が私を変えるキッカケに」です。それではどうぞ!

女性上司との関係に悩む

飲み会での出来事があってから、私と女性上司の関係は益々悪化して行きました。誰が見ても犬猿の仲でした。私も日を追うごとに、皆が楽しく過ごす飲み会という場で、あんなことを言わなくても!と、思うようになって行って。段々と苛立ちを覚えていったのです。

以来私は女性上司のことを“お局”と心の中で呼ぶようになりました。「あーいうことは2人きりの時に言ってくれれば良いのに!」いくら私が悪いとは言え、皆が楽しむ飲みの場で言われたことが納得行かなくて、私はしばらくずっと腹を立てていました。

でも、よく良く考えてみたら、その女性上司もよっぽど我慢出来なかったのでしょう。きっと彼女的には今まで抑えていたのかもしれません。もう無理!と思って爆発したのだと思います。

“お局”との関係に悩みすぎて、私は信頼していた上司にどうしたら良いのか相談することにしました。実際に相談してみると、色々な意見を貰いました。あれは女性上司が子供過ぎたという意見。働いていればソリの合わない相手はゴロゴロいるものだ、気にすることないという意見。相談した人の殆どは私を傷付けないよう配慮した意見が多かったです。しかし、1人だけ全く異なる視点でアドバイスをくれた人がいました。そのアドバイスとは、

「苦手という感情は、自分が持っているものを相手が持っていないから発生すると思うの。自分は出来ているのに、どうして相手は出来ないの?そういう苛立ちがいつしか苦手という気持ちになっていくのだと私は思っているんだ。」

「苦しいかもしれないけれども、自分に辛く当たってくる相手が、どうして辛く当たってくるのか?それを考えて行動してみると、自分にとってプラスになる部分も出てくると思うわよ。」

という内容のものでした。

なるほど!と思いました。

学生時代の時は苦手だと思った人とは、一緒にいないようにすればそれで済んだので、何で苦手になるとか深く考えたことがありませんでした。社会人になってからも会社を転職していたので、特に考えたことも無かったのです。逃げられない、避けられない環境になってみて、私は初めて苦手な相手について深く考えさせられたのでした。

自分から上司の懐に飛び込む努力

先輩のアドバイスをキッカケに、私は“お局”に対する考え方を改めました。相手を憎むよりも、どうしたら“お局”と上手くやって行けるのか?どうしたら認めて貰えるのか?そっちの方を考えるようになりました。

私は“お局”が周りの人に言っていたという悪口を、もう1度思い返してみることに。浮かび上がったキーワードは“気遣いが足りていない”、“仕事が出来ない”、“常識が無い”でした。他にもあるかもしれませんが、特にこの3つが出来ていないから、“お局”は私に辛く当たるのかもしれない。だったら、この3つを克服すれば、今までより少しは態度も柔らかくなるかもしれない!そういう結論に至ったのです。

私がまず目を向けたのは“気遣い”と“常識”の面でした。本を買って勉強してみたり、身内や親しい先輩等に教えて貰ったりして、“気遣い”や“常識”に付いて学ぶ努力を始めました。しかし、ただ読んだり聞いたりしているだけでは足りないので、私は実際に“お局”に聞いて教えて貰うことにしたのです!

―――Fastチャンス!それは飲み会の時!―――

私はとにかく“お局”の気配りや行動を見ていました。どういうタイミングでお酒を頼むのか?お酌の仕方や上司に対する話し方等、ずっとチェックしていました。親を見て子は育つじゃないですが、見様見真似で自分もやってみたのです。見様見真似だけだと本当に自分がしていることは正しいのか分からないので、私は思い切って“お局”にお酒の注ぎ方や入れ方について聞いてみたのです!

どうして自分で考えようとしないの!って怒られると思っていたのですが、返事はまさかのYesでした。というより、“お局”も驚いた表情をしていました。(笑)いきなり私から教えて下さい!と言われてビックリしたのだと思います。それはそれは目をまん丸にしていました。

こうして私が教えて欲しいと伝えてから、飲み会の場では色々と指導してくれるようになりました。私は自分が楽しんで飲むということより、飲み会に参加したら“お局”に付いて、とにかくマナーや気遣い等を学ぶことに専念しました。

―――secondチャンス!それは仕事中に“お局”から突っかかって来られた時!―――

“お局”は今まで私に怒りをぶつけてくる際、「◯◯しないでね!」というように、しないで欲しい理由だけを話して来ました。私としてはどうしてして欲しくないのか?考えて分かる時と、それでも分からない時がありました。どうしても分からない時は、少し時間を置いてから“お局”のところへ行き、

「さっきの件自分で考えてみたのですが、どうして駄目だったのか分かりませんでした。次からはしないようにしたいので、すいませんが理由を教えて貰えませんか?」

と、自分から聞いて確認するようにしました。この行動に対しても初めは“お局”も驚いていましたが、徐々に馴れて来たのか私が聞かなくても、“お局”から自然と教えてくれるようになりました。

だんだんと師弟のような関係に

入社して2年位経つ頃には、何かと“お局”は私の指導をしたがるようになったのです。私が間違ったことをしそうになっていたら、「それは◯◯しないと駄目!そうしないと◯◯出来なくなるから気を付けて!」と、きちんと理由も付け加えて指導してくれるようになったのでした。

必死に親に付いて行こうとする子供と、危なっかしい子供の面倒を見ようとする親。私達は気付いたら“親子”のような関係になって行ったのです。

こうなってみて、あの時自分から思い切って行動してみて良かった!意地を張らないで教えて下さい!と言って本当に良かったと思いました。いつの間にか“お局”は私の中で“お母さん”に変わっていったのでした。

“お母さん”のお陰で自分に足りていなかった部分も分かり、欠点を克服しようと努力するようになった私。“お母さん”の存在があったからこそ、こうして良い方向に向かって行けたのです。そういった意味でも初めは苦手だった“お母さん”の存在は、私にとって自分を変える大きなキッカケとなったのでした。

次回は第11話の「初めての喧嘩!私VSお客さん!」に続きます。

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