「左官工事業(建設業)」に転職を考えている人へ – 業界概要と特徴 [業界研究]

「左官工事業界」に転職を考えている人へ – 業界概要と特徴 [業界研究]

「左官工事業界」の特徴

 「左官工事業」は、「建設業」の専門工事(職別工事業)として認識されている、いわゆる「職人」の仕事です。壁にモルタルなどを塗付している職人の姿を連想される方は多いのではないでしょうか。
左官工事には長い歴史がありますが、代表的な作業例としてはコンクリートのブロック積み上げや、打設した基礎コンクリートの均し作業などがあります。特に、打設したコンクリートの均し作業には「床仕上げ専門職」と呼ばれる職人がいるほど、高度な技術を要する工事となります。

 「左官工事業」には、一般住宅や寺社の建築(増改築も含む)を対象にしたものと、商業ビルやマンションなどの大型建設工事を対象とするものに大別されます。先述した「床仕上げ専門職」は主に後者で活躍している職人ですが、一般住宅等の施工にも当然熟練の左官工が携わっています。

 左官工事は簡潔に言うと、補修などを含めた床面や壁面の仕上げ塗付作業の全般を指します。塗付するコンクリートやモルタル、セメントなどは乾くと固まってしまうので手早い作業が求められます。

 現場環境としては建設物の壁など、高所での作業を伴う場合があります。大概の建設現場では壁に沿って足場が設けられていますが、現場によっては安全帯を使用するケースもあります。高所作業に抵抗を感じない、もしくは慣れていける事は一つの条件といえるでしょう。

「左官工事業界」の現況

 日本の左官職人は、昭和30~40年代のいわゆる「高度成長期」をピークに近年まで減少し続けてきました。鉄筋コンクリート構造物の建設は、その効率化を図るために「プレキャストコンクリート工法」が浸透・増加していき、左官工事の機会が減少したためです。
また、一般住宅の壁材もモルタルからサイディングへと主流が移行したため、左官職人が活躍する場は限られていきました。

 しかし近年では、漆喰や珪藻土などを代表とする天然素材を塗付した壁が注目を集めるようになりました。店舗や商業施設で和の演出効果が取り入れられる中で天然素材を使った施工が見直され、徐々に広まったという経緯があります。
職人の技術による仕上げの美しさや味わいは「和モダン」という呼称で支持されています。「和モダン」は、天然素材による日本らしさの表現と欧米スタイルが融合した建築施工として認識され、左官工事の機会増加や技術力のある左官職人を生み出すという効果を発揮しています。

 左官職人を育成する職業訓練は全国各地で行われています。職業能力開発校の左官科や建築関係の認定職業訓練施設などがあり、現役の左官工や左官職人を目指す転職希望者が利用しています。左官の知識や技術を段階的に学びたい方は、このような訓練施設を利用すると良いでしょう。

「左官工事業界」に転職を考えている人へアドバイス

転職して左官職人になる上で、特別に必要な資格や経験はありません。左官職人の国家技能検定には「左官技能士(1級・2級)」という資格がありますが、この資格を受験するにあたって一定の実務経験が必要ですので、未経験者が左官工として転職する場合はもちろんのこと、実務経験者であってもそれを証明できなければ資格を取得することはできません。

 左官職人として認められるには、資格よりも先にまず技術力となります。技術の習得には下積みからの地道な経験が肝要であり、苦労を積み重ねてスキルを身に付けるという意味では、正に職人の世界を生きるという覚悟が必要です。
新人のうちに施工を任されることはまずありませんが、垂直な壁に対しモルタルを平らに塗付するだけでも想像以上に難しい作業です。様々な現場を経験して、少しずつ技術が身に付いていくので焦りは禁物です。
経験値が上がると従来の左官工事だけでなく、レンガ積みやタイル貼りといった作業を行う機会も訪れ、次第に幅広い技術が身に付いていきます。

 そういった経験が身に付いたところで資格の取得を目指すのであれば、非常に有効な手段となり得ます。「和モダン」の台頭などで、近年は高度な左官技術を持つ職人が大手の建設会社や建築設計事務所などから求められています。そのような取引先へのアピールとして、経験に裏打ちされた資格は役に立つはずです。

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