転職活動が始まったらすぐに必要になるのが履歴書や自己紹介分などの選考書類です。履歴書はありのままの経歴を書くだけなのであまり工夫のしようがありませんが、「自己紹介文」はあなたの転職に関する熱意が表れます。今回、転職を希望する人の参考になればと思い、あらためて書き方をまとめてみました。拙い文章ですが、転職を経験した一人のアドバイスとしてぜひ読んでください。
自己紹介文を提出する意味
自己紹介文、自己PR文は「志望動機」と合わせて超重要な書類です。
「自分はこんな人間です」「こういうことに対してこのような考えをもっています」ということを、直接話すのではなく文章で伝えなければなりません。波瀾万丈でエピソードに事欠かない人生を送ってきた人であればネタには困らないでしょうが、多くの人はたぶんそうではないはず。というより自分の強みや他人から見た魅力を客観的に考えたことがないので、どのように書けばいいのか悩んでしまうのだと思います。
採用担当者は、自己紹介文を通してあなたがどのような人物で、会社にとってマッチした人なのかを把握しようとするのと同時に文章作成能力やプレゼン能力、資料作成能力なども見ています。中途採用の場合は、事前見学やインターンなどもありませんので、ワンチャンスに等しい書類選考を通過しないことには前に進まないのです。いかに「おっ!この人良いね」と思われる書類を作れるかにかかっています。
最初は企業とその業界の調査
まず最初は応募する企業とその業界の調査を徹底的におこないましょう。本当は付け焼刃ではなく、常日頃から新聞の経済面やニュース、「週刊ダイヤモンド」「東洋経済」などの経済誌を読んで、「世の中の経済のおおまかな流れ」を把握している方がいいのですが、そこまでは無理の場合でも、インターネットなどをフルに活用して細かい情報収集をしましょう。
・その会社がここ数年発表した商品やサービス
・その会社の企業情報、人事情報(社長交代、合併、提携)
・その業界の動向、ライバル社の動向(●●業協会など業界の公式サイトで調べる)
・欲をいえば日経や朝日などの有料会員になって過去の記事をすべてリサーチ
これらをピックアップして、紙やワードにどんどん書き込んでいきます。
調べていくうちに知らない業界や会社だったとしても、その会社の強みや業界における位置がわかってくるはずです。
次に志望動機を明確にする
上記の企業・業界リサーチを徹底的におこなうとその会社の輪郭が見えてきます。これらをもとに「自分はなぜその企業に入りたいのか」を明確にしましょう。「志望動機は超大事だよ!」にも書きましたので詳しくは触れませんが、「志望動機」は面接に進んでもほぼ100%の確率で質問されます。どこの会社でも使えそうな表層だけの動機、よく見かけるありきたりの動機では採用されないことを肝に銘じておきましょう。
出来上がったら、友人や家族などに様々な角度から「なぜこの会社なのか」を突っ込んでもらって「志望動機がぶれないか」をチェックすると良いかもしれません。
自分の経験や魅力をピックアップ
次に自分の中身、外見、考え方などをざっくりと分けて自分の取り柄や特徴、人によく言われるプラスの部分(良い部分)、そして前職での経験をどんどん書き出してみましょう。その言葉同志をつなげて文章を作り、自分の強みを精査していくのです。
例えば
「明朗快活」であれば、
「高校、大学、社会人では多くの友達や先輩、知人が出来た」「いつも(ほぼ100%の確率で)●●さんは明るく、ポジティブなので一緒にいてパワーをもらえると言われる」「いつの間にかグループの中心にいることが多かった」「前職の営業職では同期の中で3番目にグループリーダーに抜擢されました」「新規事業の開発プロジェクトチームに選ばれて●●の業務をおこないました」
「フットワークのよさ」であれば、
「小さな頃から運動とは切っても切り外せない生活を送ってきたので、多少の残業にもへこたれない体力もあります」「以前の会社では営業として外回りを担当し1日に50社訪問していました」
ただ上記に挙げたようなキーワードは無難と言いますか、多くの人が挙げるポイントなので、やはり自分ならではの武器(特徴)を持ちたいところです。
調査内容と志望動機と自分の経験・魅力を結びつける
これまで調べてきた企業や業界の調査内容と明確な志望動機と自分の経験や魅力を結びつけて、文章にします。そして入社したらどのようなことが出来るか、やりたいかで締めくくります。
この作業がもっとも重要なところです。企業調査、志望動機、自分の経験の洗い出しがおろそかになっていると、説得力のない文章になってしまいますので注意してください。
注目されるポイントを作る
何度も書類選考で落ちていると、つい「またどうせ落ちるから」と考えがちですが、書類で落とされるなんてことを思って自己紹介文を書いてはいけません。面接、最終面接、採用と先のことを想像して作成しましょう。面接まで進むと、自己紹介文や提出した書類を元に質問が飛んできます。面接では「ここを聞いてほしい!」「絶対に直接面接官に言いたい!」という所を敢えてぼかして書いたり、理由を書かないでおいたりしておくのも手です。
例えば、「私は小さなころから大学生のころまで大変内気で友達も少なかったです。読書や図鑑を読んだり静かに過ごすことが好きで、現在も変わりませんが、社会人になって大きく変わったことは、友人も多く社交的になったことです。前職では名刺を1日に100枚集めたこともあります。」
と紹介文に書いてあったら、面接官はその変化に興味を持ってくれて、
「どうして少し内気だった性格が社交的に180度変わったのですか。なにか大きな出来事がありましたか」と質問してくれるかもしれません。このように何かひとつでもいいので、他人が興味を持ってくれそうなポイントを作っておくのもいいでしょう。
自由記述の場合は書類に工夫も
文章が出来上がったら書類作成に入ります。一般的な企業であれば文章のみというパターンがほとんどですが、自由記述の場合は自分の腕の見せ所です。特に出版社や広告代理店などクリエイティブな面が求められる仕事の場合は、イラストレーターやCADなど自分が得意なソフトを使って、イラストやデザインを入れながら、面白みのある自己紹介文を作ってみるのもいいでしょう。4コママンガ風の挿絵を書いて文章と一緒に並べるのもインパクトがあっていいと思います。
でも文章にしてもイラストやデザインにしても共通して言えるのはきちんとした構成が必要です。
また初歩的なことですが、句読点、適宜の改行、誤字脱字などの最低マナーだけは必ず守るようにしましょう。
字に自信がある方、それが自己紹介のPRのひとつとなるのであれば、手書きで書くのも奥ゆかしくていいと思います。文字は心の現れともいいますし、ほとんどの応募者がパソコンでの提出の中、大変きれいな字があったら目を引きます。
ぜひ素敵な自己紹介文を完成させてください。
記事:転職に成功した Yさん(女性)
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