共働きの家庭が増え、保育園に預けたいというニーズがあるにもかかわらず対応が出来ない「待機児童」の問題は一家庭の問題のみならず、人口減社会を迎える日本経済において労働力不足となって影響を与えます。
この調査は、日本保育協会が平成24年に全国の保育所の10分の1にあたる2,308ヶ所に調査票を配布し、全国の「保育所長」を中心に回答1,320件(有効数1,313名)から得られた回答をまとめたものです。(出典:「平成24年度保育所運営の実態とあり方に関する調査研究」)
今回は、(保育所長が考える)「保育士が働き続けるために大切だと思われることは?」について解説いたします。
保育士が働き続けるために大切だと思われることは?
以前、現在保育士として働いている人が回答した「現在の職場に対して改善してほしいと思っている事」の調査結果を紹介いたしました。今回紹介するマネージメント側である保育所長の回答と、現場で働く保育士の回答・希望では当然のことながら不満やニーズに若干の相違があります。双方を読んだ上で、現在の保育所が抱える課題、そして良い保育所とはどのような保育所なのかを、読み取っていただければと幸いです。
もっとも多かったのは「人間関係の良い職場であること」で77.4%
保育所に対して「保育士が働き続けるために大切なことは何だと思われますか」を質問したところ、もっとも多かった答えが「人間関係の良い職場であること」で77.4%(1,016人)、10人中7人以上が大切だと思うと答えました。子どもの保育は一人でおこなうものではなく、同僚の先生や保育長、チーフなどとの連携を密にして、協力しあいながら進めていく必要があります。相互チェック機能を設けることで事故を未然に防ぐ意味もあります。それらの職場を実現するためには、はやり「人間関係の良い職場であること」が重要となってくるのです。
2番目に多かったのは「やりがいのある仕事だと本人が思うこと」で、76.1% とこちらも7割を超えました。(複数回答なので合計で100%以上になります)1位と2位の回答から働きやすい職場環境や仕事へのモチベーションが大切であるとの意見が多く上がりました。
保育士が働き続けるために大切だと思われること | ||
回答(複数) | % | |
1位 | 人間関係の良い職場であること | 77.4% |
2位 | やりがいのある仕事だと本人が思うこと | 76.1% |
3位 | 給料の改善 | 39.9% |
4位 | 休暇(有給休暇、育児・介護休暇)が取りやすい | 39.0% |
5位 | 意見や要望が言いやすい環境 | 19.0% |
6位 | 人員配置の改善(加配) | 18.2% |
7位 | 働き方が選べる | 7.2% |
8位 | その他 | 1.3% |
3番目は「給料の改善」
3位には「給料の改善」で39.9%、524人の人が大切であると回答しました。
実はこの「給料の改善」は、現職の保育士に聞いた別の調査では「職場に改善してほしいと思うこと」の1位になっています。
主に経営者側の調査では「給料の改善」は3番目ですが、現場の保育士にとってはもっとも重要なことなのです。多少のギャップがあることがわかります。
以降、4番目は「休暇(有給休暇、育児・介護休暇)が取りやすい」、5番目が1位の「人間関係」にも通じる「意見や要望が言いやすい環境」、6番目が保育士の負担を減らす「人員配置の改善(加配)」、7番目が保育士の家庭状況に対応する「働き方が選べる」、8番目が「その他」となっています。
この調査は
この調査は前述いたしましたが、日本保育協会が全国の保育所2,308ヶ所に調査票を配布し、全国の「保育所長」を中心に回答1,320件(有効数1,313名)から得られた回答をまとめたものです。ぜひ、現場の保育士に聞いた「現在の職場に改善してほしいと思うこと調査」もご覧下さい。マネージメント側と雇用される側の意識の違いが多少なりとも把握出来るのではないでしょうか。