「予備校業界」はどんな仕事なの?概要と特徴、転職のアドバイス [業界研究]

「予備校業界」はどんな仕事なの?概要と特徴、転職ポイント [業界研究]

「予備校業界」はどんな仕事なの?概要と特徴、転職ポイント [業界研究]

大学受験において多くの人が利用する「予備校」。10年ほど前から減少に転じた少子化問題を見越して、「予備校業界」では合併や閉鎖などの動きが活発になっています。「予備校業界」に転職を考えている人はどういった点に留意して、転職活動をおこなえばいいのでしょうか。ここでは予備校業界に詳しいXさんにまとめてもらいました。

「予備校業界」の歴史と特徴

 予備校は我が国でメジャーな民間教育施設の一つです。資格試験予備校、公務員試験予備校など様々な種類のものがありますが、「予備校」といって一般に想起されるのは大学受験予備校でしょう。
 日本における予備校の歴史は明治時代にまで遡りますが、今日知られている大手予備校の多くは1950年代に誕生したものです。高度経済成長に伴う大学受験の大衆化に続いて、1970年代からの「受験バブル」の時代にあっては浪人して大学に進学することも一般化し、こうした時代の流れの中で駿台予備学校、河合塾、代々木ゼミナールといった大手予備校が急成長を果たしました。
 中でも、大学受験市場における一大転機となったのは、1979年から始まった大学共通1次試験(後のセンター試験の前身)です。試験対策もさることながら、大規模な模擬試験の実施とそれによる偏差値の算出、合格ラインの判定といった予備校の役割はこの時に確立しました。第一次ベビーブームによる受験世代人口の増加、バブル経済による教育費の高額化、私立大学の滑り止め受験の一般化などの要素が相まって、各大学の合格難易度は軒並み上がり、それと比例するように予備校業界は隆盛を極めたのです。

「予備校業界」の現況 – 台頭するネット通信教育サービス

 少子化が進む昨今、教育業界は斜陽化の一途を辿るとの指摘は根強くあります。しかし、一部の難関大学は依然として高い倍率を誇っており、予備校の需要が世の中から尽きることはないでしょう。2005年から2014年の10年間で、10~14歳の人口は5.3%、15~19歳の人口は8.9%減少していますが、予備校業界の市場規模は最も落ち込んだ2009年からの5年間で3.3%のプラス成長を見せており、少子化の波にも負けず奮闘しているといえます。
 もっとも、リクルート社の「受験サプリ」に代表されるネット通信教育が大きな脅威となり、従来型の予備校・学習塾業界に撤退や業界再編の動きがあるのは事実です。2014年、三大予備校の一角として知られた代々木ゼミナールが校舎の7割を閉鎖したのは記憶に新しいですし、2015年には「Z会」を運営する増進会出版社が「栄光ゼミナール」の栄光ホールディングスを完全子会社化したことで話題になりました。センター試験の廃止に象徴されるように、大学受験市場がこれから大きな変革の時期を迎える中、それぞれの予備校が生き残りを懸けて争う優勝劣敗の時代は今後も続くと思われます。

「予備校業界」へ転職を考えている人へ

 予備校業界への転職には大きく二つの道があります。一つは講師として教壇に立つこと、もう一つは事務・管理系のスタッフとなって予備校の運営を支えることです。
 予備校講師は学校教員のように免許や資格がある訳ではなく、就業方法もケースバイケースです。報酬は時給やコマ給制の場合が多く、契約形態も雇用でなく業務委託になることが一般的ですが、中には月給制の社員として雇用契約を結ぶ予備校もあります。大抵の講師は英語なら英語、日本史なら日本史と専門分野を決めて活動していますが、一人で数学と物理と生物を全て教えられるといった講師も存在します。どの教科を教えるにしても、単に教科知識だけではなく、大学ごとの試験問題の傾向や受験業界の趨勢について最新知識を常に把握しておく必要があります。
 講師の採用は、スカウトや紹介による場合と、一般公募による場合があります。駿台や河合塾といった大手の講師募集に応募するのも良いですが、学歴や経験にそれほど自信のない方は、まずは小規模な予備校からキャリアをスタートさせるのも得策でしょう。指導力に自信があるなら医学部進学系の予備校が狙い目です。医進系の予備校は、開業医の子を主なターゲットとしており、普通の予備校とは比べ物にならないほど高額な授業料を設定しています。その分、講師の待遇も高いことが多いのです。
 一方、事務・管理系のスタッフには、高度な教科知識が求められることはありませんが、大学受験や受験業界に関する通り一遍の知識は押さえておく必要があります。学習塾と異なり、予備校では講師が生徒の進路相談やメンタルケアにまで関わることは稀で、管理スタッフが「担任」となって各生徒の面倒を見ているケースが多くみられます。そうした役目を理解し、生徒の進路を支えるという強い熱意を持っている人が面接でも有利になるでしょう。

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