災害や事故が起きた時に損害を補償してくれる「損害保険」。先の東日本大震災では保険の保障によって多くの事業者が早期の復興が出来たと言われています。「損害保険業」は、「生命保険」と同様に私たちの人生に何かあった時に支えてくれる存在なのです。その「損害保険業界」も近年では金融再編の流れによって、グループが大きく集約されつつあります。ここでは業界の特徴と現況、「損害保険業界」へ転職を考えている人へのアドバイスをまとめてみました。
「損害保険業界」の特徴と成り立ち
まず、損害保険は実に様々な種類があります。よく耳にするのは自動車保険、火災保険、地震保険、海外旅行保険、傷害保険などがあげられると思います。その他にも船で運搬する貨物にかける海上保険、ゴルフでホールインワンを取った時のホールインワン保険(ホールインワンを取った際、ゴルフ場への寄付やメンバーへのおもてなしが必須となり、費用がかさむため。)天候不良で農作物が不作となった場合に必要となる農業保険など、たくさんの種類があります。
元々、損害保険は古代ギリシャ時代、海上運送の際に海賊に襲われたり、天候や荒波の被害を受けたりして、損害が多発、14世紀に海上保険というかたちで誕生したのがはじまりです。もちろん、日本の損害保険も海上保険から始まったと言われています。
1960年頃までは、海上保険と火災保険が主でしたが、自動車の保有台数が増えるとともに、自動車保険のニーズが増え、現在では自動車保険が主力商品となっています。次に火災保険、傷害保険の順で、海上保険は全体の3~4パーセントにおさまっています。
現在の「損害保険業界」
損害保険業界のイメージと言えば、『よく合併をしている』というイメージではないでしょうか。まさにその通りで、近年は落ち着きを見せていますが、多くの損害保険会社が再編されました。
以前は東京海上日動が業界大手、その後に損保ジャパン、三井住友海上と続いており、さらにその後にあいおいやニッセイ同和などが続いていました。
しかし平成22年、三井住友海上グループとあいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険が経営統合し、MS&インシュアランスグループホールディングスとなり、同年、損保ジャパンと日本興亜損害保険が統合、NKSJホールディングスとなりました。この2社と東京海上ホールディングスの3社がメガ損保と言われています。その下にソニーフィナンシャルHD、共栄火災などが続いています。
また、目立った現況として、ネット保険もシェアを高めています。これは通販ダイレクト専門会社を作る新戦略として、三井住友グループは三井ダイレクト、東京海上はイーデザイン損保などを設立し、こちらも加入率がどんどん増え新しい可能性を見出しています。
2011年の東日本大震災を契機に地震保険が広く認知され、加入者もどんどん増えている今。他にも様々なリスクはなくなることはなく、需要が減るということはあまり心配されていません。
「損害保険業界」へ転職を考えている人へ
まず、損保業界を受験する際は、必ず大手メガ3社の成り立ちや、特徴を調べておきましょう。前述したとおり、損保業界は複雑で、競争も激しいです。必ず『なぜ自社なのか』という質問をされます。
また、損害保険会社は多岐にわたる商品を展開しています。部署も自動車保険、火災、地震保険、海上保険と分かれており、(海上保険はほぼ本社のみ)部署異動になった際は自分の専門外の保険の勉強が必要になります。約款を読むこともありますので、活字に強い方やコツコツ勉強するのことが好きな方に向いています。
また、職種は大きく分けて営業部門、損害サービス部門の2種類があります。営業は代理店をまとめたり、法人とやり取りしたりすることが多く、代理店に課せられた販売ノルマを一緒に達成するための営業がほとんどです。また、損害サービス部門では実際に事故や火災などの損害が起きた際に、契約者とやり取りし、支払保険金の決定をします。どちらが良いかは採用面接の際、ほとんどが希望を聞かれます。(希望通りにいくかはわかりませんが…)どちらが自分に合っているか、よく考えておきましょう。
あとは、ごくまれに海上保険、法人専門の部署や、約款を作る部署など専門性の高い部署に配属されることがあります。海上保険は海外企業と契約することも多く、約款が英語なので、英語が得意な方に向いています。
給料に関しては、ボーナスは他業界より多少高い傾向にあります。ですが、大きな損害のあった年(大規模地震や台風など)はそれに比例して少し金額が減るのも、この業界の特徴です。
転勤については総合職の場合、3~5年で全国転勤があります。特に、この業界は主要都市だけでなく、地方都市にも支店を多く持っているため、全国各地に行く可能性があります。様々な場所に住んでみるのも面白いですし、この業界ならではですね。