仕事と家庭、介護の両立ができる「限定正社員」という働き方 「女性の転職ノウハウ」

仕事と家庭や介護の両立ができる「限定正社員」という働き方

結婚、出産など女性ならではの仕事の悩みや課題を解説する「女性の転職ノウハウ」コーナーです。
限定正社員今回は新聞やテレビで耳にすることが多くなった「限定正社員」という働き方 についてです。

「家庭との両立をはかるため、残業や転勤は受け入れられない。」
「ライフワークである趣味を続けるために、残業はできない。」
「家族の介護があるため転勤や出張は難しい。」

様々な理由で、正社員を諦めていた方に注目されている『限定正社員』。
正社員とは具体的に何が違うのでしょうか。限定正社員のメリットやデメリットについてご紹介します。

限定正社員とは?

ユニクロ限定正社員とは、勤務地や勤務時間、職種などを限定して雇用される正社員を指します。
このような呼び名が広まる前から、多くの企業が導入していますが、制度として整えられたものとしては、ユニクロを展開するファーストリテイリング社の『転居を伴う異動のない地域限定正社員制度』等が有名でしょう。

これらを後押しするかのように、政府も推進を図りました。厚生労働省では、『多様な正社員』の雇用管理上の留意事項などを公表しています。これも経済政策のひとつという訳です。
厚生労働省ウェブサイト「勤務地などを限定した「多様な正社員」について」でも詳しく解説していますので興味のある人はご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/file/

限定正社員のメリット&デメリット

限定正社員勤務地や勤務時間、職種などを限定して雇用されるのであれば、それを求める方にとってはメリットだらけの限定正社員。ですが、実際には正社員とのバランスや、限定ならではの不安もあるようです。

労働者(雇用される側)

メリット デメリット
正社員同様の安定性(無期雇用、社会保障、厚生年金、福利厚生等)で就業できる
残業や転勤がないことで、育児や介護との両立がはかりやすい
職種を限定することで専門性を高められる
正社員に比べ待遇(給与)が低い場合が多い
勤務地の事業所が閉鎖した場合の就業に不安

事業者(雇用する側)

メリット デメリット
優秀な人材の確保・離職防止
非正規雇用者の受け皿として
労務管理の増大(正社員との待遇調整含む)
事業所閉鎖時の雇用問題

限定正社員例えば、転勤や残業が障害となり、パートや契約社員に甘んじていた場合でも、この制度導入があれば、正社員と同じ安定性で就業できることになりますし、事業者にとっても、有能な人材を引き留めることができます。
また、2013年の労働契約法の改正により、5年を経過したパートや契約社員が希望した場合、事業者は無期雇用契約に切り替える必要が出てきたのですが、勤務地や勤務時間に制限のある人材が多いため、希望者の受け皿としても期待されています。

デメリットと言われる待遇については、正社員給与の9割程度であることが多いようですが、『組織の活性化やノウハウ共有などの目的を持つ、転勤や職種転換について、免除されている分』であると受け止めるのが妥当でしょう。ただし、企業によってある程度の幅もありますし、地域に根差した中小企業であれば、その差もほとんど無いようです。
事業所の統合・閉鎖による解雇や退職の不安については、企業としても、どうしようもない面があります。双方相談の上、今後の就業が難しいのであれば、退職の道もあり得ることは意識が必要です。

限定正社員の求人はどうやって探せばいいの?

ご存知の方も多いとは思いますが、転職サイトであれば、条件検索時に『勤務地限定』『転勤なし』『残業●時間以内』『細かい職種設定』などの項目がおかれています。
詳細を確認して、限定正社員制度導入をしているか不明確であれば、直接質問しても良いでしょう。転職サイトのエージェントサービスに登録しているのであれば、そこから聞いてみるという方法もあります。
また、限定正社員をうたっていなくても、その地域のみの中小企業や、地域密着型の企業であれば、転居を伴う転勤の可能性は少なくなります。
職種の限定に関しても、制度を導入している大企業を探す方法もありますし、各職種の人数が限られてくる中小企業であれば、職種転換の可能性も少なくなります。
『探そう!女性が働きやすい企業』でも紹介したダイバーシティ経営企業100選なども参考にできます。
●ダイバーシティ経営企業100選
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity

実は女性だけではなく、男性も注目!

限定正社員限定正社員に注目しているのは、女性だけではありません。
住宅購入により、現在の居住地を離れたくないとする男性や、女性の社会進出、家事・育児の分担意識が高まる傾向から、就業時間や残業に制限を求める男性、現職種の専門知識をより高めていきたいために、職種転換を受け入れたくないという男性も多いことが、厚生労働省アンケートで分かっています。限定正社員は、社会全体のニーズであると考えられますね。
限定正社員のみならず、多様性を受け入れ対応していくことが、今後の企業の課題のひとつと言えるでしょう。

『女性の活躍しやすい社会の実現』の可能性を秘めた、限定正社員制度。
この制度が形骸化しないためには、社会全体の意識改革も必要です。
企業だけではなく、就業する側の私達も、様々な働き方(ここでは多様性の意)を受け入れ、相互理解を深めていくよう努めていきたいですね。

「女性の転職ノウハウ」コーナーは、女性ならではの結婚、出産後の悩みや課題からライフスタイルに合わせた会社の探し方、面接の乗り越え方まで詳しく解説いたします。女性の方はぜひご覧下さい。

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