転職を本格的に考えるようになった「きっかけ」は人によってさまざまで一概にいえるものではありません。例えば長時間残業を例にとっても、仕事にやりがいを感じて目的達成のために自ら深夜まで頑張っているケースもあれば、上司からの命令でで仕方が無く泣きながら残業をしているケースもあります。前者はむしろ充実した仕事環境でしょうし、後者は嫌で嫌で転職を考えるきっかけになりえます。
今回のテーマは「転職を考える時?こんな状態が続くなら転職するタイミングかも」です。上述のように人によって耐えられる、耐えられないの感じ方はさまざまですが、当サイト運営で多くの転職経験者から話しを聞いている編集部が、「さすがにこれは転職を考えたほうが良い」と感じたものをピックアップいたしました。
給料の遅配が起きている
もちろん賃金不払いは法律違反です。自分自身は転職したくないのに、会社がこのような状況になってしまうのが、もっとも深刻で辛いケースです。働いている会社や同僚が好きで、かつ自身に金銭の余裕がある場合には、遅配に関して会社からの説明を詳しく聞いた上で、受け入れる、受け入れないの判断をしましょう。
もし、遅延発生した時点で勤務先としてアウトだと思っている場合、遅延の説明に納得がいかず怒りを感じる場合は、どのような手段を取るかは別として、まずは労働基準監督署に相談に行った方がいいと思います。もちろん行くことを会社の誰かに言う必要はありません。場合によっては法的手段にともなう証拠も必要になりますので事前に準備しておきます。
残業代が支払われない、低く計上するように言われた
残業代が支払われない、低く計上するように言われた、などのケースも巷でよく言うブラック企業にありがちな状態です。もちろん法的に完全にアウトですし、会社として組織ぐるみでそのような違法行為をやっていたら大問題です。ただこの件が一概に言えないのは、冒頭で説明したように、やりがいを感じている人が、残業代は一切いらないと考えて、自ら残って仕事をしているがよくあるのです。
ただし「低く計上するように言われた」については、もともと(正当な権利として)残業代として計上していたものに対して、強制的に減らせといっているので、信頼のおける先輩や同僚に相談した上で、場合によっては労働基準監督署に行くべきだと思います。
社内に罵詈雑言が飛び交っている
月末になると足りない数字の追求で怒声が飛び交うオフィス。誰かが失敗すると徹底的に吊るし上げをくらう営業所。社内に高圧的な態度で暴言を浴びせる上司や経営者が、我が物顔でさばっている会社は空気が澱んでいます。それは本人は言いたいことを言っているのだから気持ちがいいでしょう。でもそれによって社内のほとんどの人が萎縮していたり、怯えていたりする会社は、あまり将来が明るいように思えません。
もし自分に気概があるようなら、社員の代表として、上司や社長に進言することで解決するケースもありますが、実にリスキーで一か八かの手段です。
業績向上より人事昇進ばかり熱心
会社が存在する意義は、顧客が求める商品やサービスを提供し、喜んでもらうことです。その対価としてお金をいただき、社員の給料や材料費を払い、残りが利益となるわけです。これらの循環が事業活動なのですが、業績をあげることや顧客満足度を高めることよりも、社内の人事・昇進や派閥抗争にばかり熱心な人も多いのです。この人達も入社時は前向きに仕事に取り組んでいたはずなのですが、いつしか本来の目的を忘れて心が荒んでしまったのです。
もしこのような人たちが組織の主流にいて、雰囲気が変わる見込みの無い会社、定年まで大きな移動が無さそうな会社は、自分自身が後ろ向きな色に染まってしまう前に、もっと良い会社を探した方が無難かもしれません。
嫉妬や誹謗、足を引っ張る人が多い
会社というのは人の集合体なので、どうしても人間関係を避けることができません。お互いの役職や立場、感情に配慮して、円滑に進めていく努力が必要です。
会社の雰囲気が、頑張っている人や成績を伸ばした人を祝福する前向きの社風であればいいのですが、その真逆で、嫉妬や誹謗中傷、足の引っ張り合いばかりやっている会社もあります。とても仕事がまともにできる状態ではありませんね。このような会社にしてしまった諸悪の根源は、現場の良くない風土を把握して、改善しようとしない現場責任者や経営者にあります。本来であればそのような悪い芽が次々に出て来たときに、すぐに摘まなければいけなかったのです。
退職理由としてもっとも多いのもこのような会社です。上記同様、人事異動や配置転換がほとんどない中小企業の場合は、長く続けるのは無理かもしれませんね。
会社が衰退しているのに手を打てない
経営者が高齢になればなるほど、新しい取り組みや社内改革がおっくうになる上に、投資意欲の低下やリスク回避性向が高まると言われています。また新しい技術についていけなくなり「手を打てない」ケースもあります。
こういった会社はまるで何も手を打てなかったタイタニックのように少しずつ沈んでいきます。もちろん衰退傾向にある会社は昇給やボーナスも期待できません。友人や同僚、両親、恩師などに相談をした上で、自分が25歳~35歳くらいなのであれば、心機一転新しい会社を探すのも一つの判断です。あなたが40歳以上であればいまの世の中の再就職は厳しい時代なので、会社の中で率先して意識改革をおこなっていく方が賢明ではないでしょうか。それでも変わる見込みが無いなら、初めて考えれば良いと思います。
もっと良い会社から誘いがあった
もし現在の会社に満足をしていない人なら、すぐにでも行動を起こしたくなりますね。でも少し冷静になって考えてみましょう。その会社はあなたに何を期待しているのでしょうか、そしてそのことは新しい会社で十分に発揮できることなのでしょうか。今の会社のブランドがあるから出来ているということはありませんか。
実際にその会社で働いている人の意見やインターネットでの評判などを調べた上で、現在より良い条件で良い会社であることが、はっきりしたのであれば、転職を前向きに考えても良いと思います。
最後に
今回は「さすがにこれは転職を考えたほうが良い」と思う会社を挙げてみました。冒頭でも述べたように、転職の最終的なきっかけというのは、本当に人それぞれです。忍耐力のある人、無い人、世の中をうまく渡っていける人、不器用な人など、その人の性格によっても陥る状況は大きく異なります。だから当事者にしかわからないことが多いのです。
でもだからと言って、自分一人で決めてしまうのはおすすめできません。特に20代~30代前半の人は、社会経験も決して豊富ではありませんし、何より若さ故の感情的になってしまう面も多々あります。
信頼できる先輩や会社の上司、社会経験豊かな両親などに相談をして、アドバイスをもらった方が良いと思います。その上で、最後に自分で決断すればいいのです。
※なお次回は、今回とは逆に「こんな中小企業は何としても転職した方がいい」をお届けいたします。お楽しみに。
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