前の会社にて転職を決意した理由(退職理由)と、新しい会社に入社できた(採用された)と思う理由を聞くコーナーです。今回は大手建設業の契約社員から正社員登用が無理なことがわかり、同業の正社員に転職した神奈川県の女性(27歳)に話していただきました。
正社員になれないことが明らかになって転職を決意
大手建設業の契約社員として3年間勤務して、転職をしました。
当時の会社には正社員への転換制度はあったものの、実態としてはほとんど機能していない状態ということを、入社してから知りました。契約社員から正社員へのステップアップを想定していた自分にとってはショックでした。更に、2013年に労働契約法が変わり、5年以上の有期契約を結んでいる社員は無期契約にしなければならないという5年ルールができましたが、それがかえって悪い方に作用しました。会社は、私のいたポジションは最長で5年の契約とし、それ以降の契約はしないと決めました。自分なりに仕事ぶりは評価されていると思っていましたが、こればっかりは上長に相談しても、歯切れが悪く、「会社の方針だから」と言われるばかりでした。まだ残り2年ほどは契約社員として在籍することが可能でしたが、正社員になれないのに待遇が良くないとあって、このタイミングでの転職を決意しました。
前職の経験、スキルを生かして同業他社に転職成功
転職した先の企業は、前職と同じ建設業の中小企業に正社員として採用されました。同じ業種で同じ職種での転職を希望していましたし、私の職種が珍しい職種であったことから、比較的採用がされやすい条件だったのではないかと思います。
面接では、前職の仕事内容が嫌いで転職をしたい訳ではなかったので、今までの仕事で培った経験を活かしつつ、こちらの企業でスキルアップしていきたいという前向きな気持ちを伝えた事が良かったと思います。当然、面接の中で前職の退職理由を聞かれましたが、それは前の会社の都合で正社員になれないという理由でしたので、先方も納得してくださり、ネガティブな印象を与えなかった点も良かったと思います。前任者の女性が出産で退職されるということでの中途採用でしたので、これから長く働いてもらえる若い人材を探していたという点が、先方の希望とマッチしたことも採用につながった理由だと思います。
結果的に、正社員としての転職ができ、給与アップもできたので、この転職は成功でした。
「転職グッド」編集部からのコメント
この方の場合は安心して働き続けることができるようにするための労働契約法改正が逆になってしまった皮肉なケースです。契約社員から正社員登用に関する問題は実に複雑です。働く側、企業側双方の言い分が正しいケースも多く、一概にどちらが良くないと言えないことも多々あります。
この方の場合は、同業他社への転職に成功し、運良くこれまでのスキルや経験を生かすことができましたが、世の中にはそうではない人も多くいます。
人間にとって働き盛りの期間というのはそれほど長いものではありません。仮に「どんな仕事でもいいので正社員で安定して50歳60歳まで働く」ということが自分の第一優先である場合、契約社員の立場で仕事を始める時に「もし5年経っても正社員になれなくてもこの会社に入社するのか」をしっかり自問自答してみる必要があります。
その結果、どうしても疑念が消えないようでしたら、その転職は踏みとどまった方が良いかもしれませんね。