「パルプ・紙・紙加工品製造業」に転職を考えている人へ – 業界概要と特徴 [業界研究]

「パルプ・紙・紙加工品製造業」に転職を考えている人へ – 業界概要と特徴 [業界研究]

「パルプ・紙・紙加工品製造業」の特徴

紙や紙を加工してできた製品は、日常生活に深く浸透して必要不可欠なものとなっていますが、その事を実感しながら毎日生活している方は少ないのではないでしょうか。でも、トイレに入ってトイレットペーパーがなかったらかなり困りますし、葉書や封筒も必要です。引っ越しに段ボールの箱がないととても不便です。他にも新聞や雑誌、本やノートなど、私たちの生活に紙がないという事態は考えられません。
「日本は世界で最も多くティッシュペーパーを使う国」という統計もありますが、日常生活で紙や紙製品を当たり前のように使えるのは製紙工場が存在するおかげです。

 日本には複数の製紙メーカーがあり、メーカーが運営する製紙工場では紙の原料である木材や植物から製紙パルプが製造されています。製紙工場の周囲では独特の匂いが発生していることがありますが、それはパルプを漂白するための「次亜塩素酸ナトリウム」など、原料に薬品を混入させる工程で発生し、加熱処理によって煙突から周囲に拡がるからです。この匂いは地域の公害問題として度々取り上げられてきましたが、現在は各市町村や製紙メーカー側の努力もあって改善の傾向にあります。

 製紙工場の求人案件は全体的に見ると少なめですが、機械のオペレーターや浄化槽の管理、配送トラックのドライバーなどで社員の募集がある他、紙ロールの巻付けやカット作業、完成品の梱包といった製造過程の作業をアルバイトで募集する企業もあります。また、製造業に精通した人材派遣会社でも募集が実施されることがあります。

「パルプ・紙・紙加工品製造業」の現況

 日本で生産される紙や紙製品は、非常に高品質なことで以前から世界的に知られています。海外に行かれた事がある方なら、例えば同じアジアでも国外で日常的に使われている紙の品質が、日本製とは異なることに気付いた経験があるのではないでしょうか。
製造技術では世界のトップに属する日本の製紙産業ですが、国内の消費量は少しずつ減っているのが現状です。人口が減少傾向にある事と、インターネットの普及で本や雑誌など紙媒体の流通量が低迷している事が主な原因となっています。そのため、日本製の紙や紙製品は国外への輸出に活路を見出しています。現在は東南アジア諸国を中心に、印刷用紙などの輸出が拡大していますが、輸出には当然経費がかかるので今後は国外への供給とコストのバランスがテーマとなりそうです。

国内の製紙メーカーは、王子製紙、丸紅紙パルプ販売、日本製紙、レンゴーといった大手から、各地域の中小企業や下請工場も合わせると全国に分布していますが、これらの企業に携わる従業員数は全国で18~19万人となっており、各製造業の中では少ない部類に入ります。国内の需要で考えると、この先従業員数が飛躍的に増加するとは考えにくいため、やはり海外輸出がこの産業を支える鍵といえるでしょう。

 また、生産コストのスリム化としては古紙の再利用があり、現在の製紙原料を割合にすると木材や植物が約4割、古紙が約6割とリサイクル効果が表れています。古紙の再利用は森林伐採に対する環境問題にも貢献しています。

「パルプ・紙・紙加工品製造業」に転職を考えている人へ

 製紙工場の求人は、全国的に見てもあまり多くありません。それだけに、この業界へ転職を希望する方は自発的な就職活動をお勧めします。ハローワークの求人や総合転職サイトを閲覧されている方は多いと思いますが、製造業に特化した転職サイトにも目を向けてみたり、製造業の対応をしている人材派遣会社や人材紹介会社に登録して情報を集めるのも効果的な方法といえます。働いてみたい会社がある場合は、定期的に企業HPの求人欄をチェックしておくと良いでしょう。
繁忙期などの求人では期間限定となっているケースもありますが、業界の経験がない方ならご自身の適性を確認する上でも就業してみてはいかがでしょうか。適性があり、周囲の評価も得られれば長期就業の可能性が開ける場合もあります。

 製紙工場における職務は、製造部署であればマシンオペレーター、浄化槽管理、梱包や出荷、衛生作業など幅広くあります。入社後、初めのうちはこのような作業系の業務に従事することが多いですが、経験や知識、技術の習得に応じて生産管理や品質管理、商品開発といった役割を担うようになります。
優遇される資格としてはフォークリフトの免許が挙げられます。実務としての操作経験があれば大きなアピールポイントになります。

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