「アパレルショップ業界」の特徴
「衣食住」という言葉があるように、着る物と食べる物、住む所は人間が生活するための根幹を成す要素です。その中で、着る物を販売する業界にはデザイナーズファッションやスポーツファッション、ビジネススタイル、カジュアルファッション、学生服や呉服など実に多彩な領域があります。
衣服でも特に既製品全般のことを「アパレル」と呼称しますが、実態としては「アパレル」という言葉と「ファッション」という言葉に大きな差はありません。「アパレルショップ」とは呼んでも「ファッションショップ」とは呼ばないとか、「ファッションセンス」とは呼んでも「アパレルセンス」とは呼ばない、といった具合で使い方に違いがある、という程度に留まっています。
現在では「アパレルショップ」という呼び名が一般的になった衣服の小売業ですが、近年の特徴としては何といってもファストファッションの進出です。国内ではユニクロやしまむらが有名ですが、米GAPやスペインのZALA、スウェーデンのH&Mなど海外から進出してきたファストファッションのブランドも目立っています。
もう1つの特徴としては、量販店として事業展開する企業と専門店を展開する企業でそれぞれ働く場所やその内容が異なることです。量販店は全般で見ると、それほど有名ではなくても個性や機能性に優れた商品を出しているブランドを複数扱っています。専門店は単独のブランド商品を専門で扱うので、ブランドのネームバリューも必要となります。その意味では、単独のブランドで勝負できるアパレルショップは外資系やユニクロなどの大手に絞られてきています。
躍進する海外から進出してきたファッションブランド
先述したファストファッションの存在から、アパレルショップ業界の現状は全体として上向き傾向が見られるものの、ファストファッション以外の業態では横ばいか、むしろ下降傾向にあるとされています。最も苦戦しているのは百貨店で、特にリーマンショック以降は著しい低迷を続けていました。ようやく最近になって回復の兆しを見せていますが、好調時には程遠い状況となっています。
路面店も厳しい状態が続いています。もともとアパレルショップには、売上が天候に左右されやすいという難点があり、ファッションビルやショッピングモールなどのテナント以上に路面店がその煽りを受けています。
天候に左右されない販売チャネルとして、ネット通販が順調に成長を続けています。アパレルのECサイトとしてはZOZOタウンが代表格ですが、総合ECサイトである楽天やAmazon.jp、海外のECサイトであるBUYMA、海外Amazon、タオバオなども勢力を伸ばしています。
そしてファストファッションのブランドですが、飛躍的な伸びは一段落したものの、現在も堅調な推移となっています。国内メーカーの売上順位ではユニクロを擁するファーストリテイリングが群を抜いてトップを飾っていますが、そのユニクロにおいて各店舗の売り上げ順位を見ると上位5店舗中3店舗が海外となっており、インターナショナルな事業展開をも成功させています。
「アパレルショップ業界」に転職したい人は
アパレルショップで販売の仕事をするには、一定以上の適性が必要となってきます。服やファッションが好きであることは前提条件として、店頭には流行のアイテムが並び、季節やイベントなどに合わせてディスプレイも変化していきますから、そういった流行や時節に敏感であることが適性の1つといえます。この適性を磨くには、日ごろからの観察力を養うと良いでしょう。
市街地に出ると様々なものを観察できます。通りを歩く人々の服装、立ち並んでいるお店のウィンドウ、ネオンや看板からの情報など、常に意識する習慣をつけておきましょう。
販売員としては接客も必ず発生します。人と会話するのが好き、人の話しを聞き出すのが得意、人の役に立つことで充実感を得られる。そういった考え方やテクニックも適性といえます。相手がお客様だからといって緊張しすぎず、ご自身の個性も大切にして、誠意をもって接すれば、ファンになってくれるお客様も現れます。
納品した服を検品して、たたんだりハンガーに掛けたりして品出しを行い、慣れてくればディスプレイも任されるようになります。チーフや店長といった店舗を任される立場になれば、それまでとは違った面白さも見出せます。ぜひ役職者を目指してみましょう。業態などにもよりますが、早い方では20代前半で店長、同後半でエリアマネージャーの任務に就くケースもあります。エリアマネージャーの役割はマーケティングを中心に調査や分析などを行う、店長の上司にあたる役職です。本社と店舗のつなぎ役となる重要な存在で、数字の管理能力が必要になります。