「家具・装備品製造業」の特徴
たんすや食卓、机、キャビネットなどといった、家庭やオフィスで使われる木製・金属製の和洋家具、仏壇や神棚などの宗教用具、障子や雨戸、ふすまなどの建具類、さらには間仕切りのパーテーションや屏風、すだれ、額縁などの製造が「家具・装備品」に分類される。オーダーメイドと呼ばれる個人注文による家具・建具製造は、これとは別の「卸売業、小売業」に、家具の改造や修理を行う事業所は「サービス業(他に分類されないもの)」に区別される。
「家具・装備品製造業」の現況
経済産業省による工業統計調査速報によると、家具・装備品業界の事業所数は増加しており、これは業界の先行きを読む上で明るい話である。就労者数を見ると約4万8千人となっているが、これは従業員4~29人の、業界的には中規模クラスの事業所を対象とした数値であり、3人以下の職人で成り立っている小規模経営も多い実情を考えるとより多くの就労数があると思われる(以上、同省 工業統計表「産業編」より)。
家具や装備品を製造するインテリア業界は、住宅新築や転居時の需要が最も多いといわれ、新設住宅着工数の落ち込みや景気低迷に引きずられる形でしばらくは縮小傾向にあった。ニトリや良品計画などに代表される比較的低価格でシンプルな商品と、家具専門店が生み出す素材やデザインにこだわった高価格商品の二極化が進み、消費者の購買志向が前者に偏りつつあったことも市場縮小の一因となっていた。それが東日本大震災後に潮目が変わり、大型家具から細々としたインテリアアイテムに至るまで「高品質なものを長く大切に使う」という本物志向が、高齢者だけでなく20~30代の若年層にも広がりを見せるようになる。国産材を使った上質な家具や、味わいのある伝統的な民芸家具などの価値が見直され、業界が活発化。暮らしのクオリティやデザインに興味のある若者が増えたこともあり、インテリア関連業は今や憧れの職業となっている。
実際の給与面を見ると、月平均現金給与額は34万5116円(平成25年 厚生労働省「産業、事業所規模、性、給与内訳別1人平均月間現金給与額」より)。これは調査産業全体平均の35万7972円にほぼ並ぶ額である。デザイナーのような仕事に興味のある人や、技をじっくりと身に着けた熟練職人を志す人は積極的にチェックしてみるべき業界といえるだろう。
「家具・装備品製造業」に転職を考えている人へ
インテリア界にはファッションと同じくトレンドがあり、現在は前述した「本物志向」の時代にある。ヴィンテージ調や、鉄やアルミなどを家具に使ったインダストリアル(工業系)スタイルも20~40代を中心に注目を集めており、こうした流行分析を行ってから採用面接などには臨むようにしたい。ベッド製造では介護分野への進出で業績を伸ばしている事業所もあり、市場ニーズを敏感にキャッチする情報力も今後はますます必要となるだろう。