「コールセンター業界」の話 – 転職希望者へのアドバイス [業界研究]

「コールセンター業界」の話 - 転職希望者への具体的なアドバイス

「コールセンター業界」の話 – 転職希望者への具体的なアドバイス

「コールセンター業」は電話等により顧客サポート、苦情対応などの顧客対応の窓口業務を専門的におこなう業種です。総務省の職業分類に登場したのが2013年とまだ新しい業界ですが、多くの人員を必要とすることや、クライアント企業の近くに所在する必要はない業種であることから、産業の少ない地方での雇用創出に有望視されており、積極的に誘致している地方自治体もあります。さて「コールセンター業界」とはどのような業界で、どのような仕事をするのでしょうか。ここではコールセンター業界に詳しいNさんに特徴と近況、転職希望者へのアドバイスをまとめてもらいました。

コールセンター業界の特徴

 日本でコールセンター事業がスタートしたのは昭和50年代前半で、当時の「電話代行」や「電話秘書サービス」と呼ばれる職種が起源といわれています。全国の電話通信事業を電電公社が統括していた頃で、メーカー各社が開発した転送電話装置の対応を引き受けるサービスが発端となっています。昭和60年に電電公社が民営化してNTTとなり、転送でんわサービスを始めてからは、この電話代行・秘書サービスを営む法人、個人が飛躍的に増加し、競争力を高めていきました。そして利便性の向上やニーズの多様化といった世間の追い風を受けて、「アウトソーシングサービス」としての現在のコールセンター事業が形成、確立されてきました。

 大手企業を中心に、今や外部からの電話受付は概ねコールセンター事業会社に委託しています。その範囲は、総合案内から商品の注文窓口、製品の技術サポート、お客様相談窓口など多岐に渡ります。「クレーム対応係」などという職務もコールセンター事業と密接に結び付いています。
 一方、コールセンターでは受電業務(インバウンド)だけでなく、電話を発信する業務(アウトバウンド)もあります。「テレマーケティング」とも呼ばれる発信業務は、主にセールスや勧誘、各種調査といった役割を果たしています。

コールセンター業界の近況

 今や業種を問わず多くの企業が外部委託、または自社の一部署として設置をしているコールセンターですが、ここではコールセンター事業会社の現状を説明していきます。コールセンター事業会社とは、主に顧客が必要とする電話対応業務を受託してサービスを代行する事業を行う企業の事を指します。
 コールセンター事業は昭和60年代から平成初期にかけて急成長を遂げ、リーマンショックなどの煽りを受けた時期もあったものの、以降も概ね順調に成長し続けています。市場のシェアは、アウトソーシング事業の大手数社による寡占化が進んでいますが、中堅以下でも地域に根差してサービスを展開する企業や、個人として特定の顧客から委託しているフリーな立場の事業家も存在します。
 受託するサービスは多岐に渡り、大手は複数の顧客から様々なサービスを受託しているため、たくさんの部署を設けて対応しています。その中には専門性の高い分野を対象とした部署もあり、対応できるスタッフは通常よりも厚待遇で就業しています。
 この事業が抱える目下の課題は、高い離職率による人員の不足とサービスの品質改善にあります。就業するスタッフの多くが非正規雇用であるという実態があり、正社員のような帰属意識に欠けること、それに伴う業務意欲の低下や待遇面への不満が根底にあるといわれています。

転職者への具体的なアドバイス

 コールセンターでの業務は基本的に内勤が前提で、肉体作業的な要素も殆どないためスタッフの構成は女性の比率が高くなっています。きめ細かいサービスが求められる傾向にあるため、「女性向きの職場」といえるでしょう。ただし営業的要素の強いサービス部署やIT関連の技術サポートなど、男性が多く在籍している部署もあります。
 相手の姿は見えず、声だけでサービスを提供する仕事なので難しい側面もあります。自分にその気がなくても誤解が生じてしまい、電話の相手が気を悪くしてしまうといったケースもあります。
 また、委託元の企業情報や顧客の個人情報などの保護にも十分気を付ける必要があります。特に「個人情報保護法」が施行されてからは多くのコールセンターで情報保護に関する規約の設定や模擬テストなどの試験が行われています。
 何かとストレスに感じる事象の多い職場環境ではあるので、コールセンターへの転職を希望する方にはストレスへの耐性を持つことをお勧めします。あまり小さな事に気を取られず、ミスを起こしても引きずらないように自分のメンタルを調整できるバランス感覚を持って臨むべきです。
 また、先述したように自分の声が唯一のコミュニケーションツールとなるので、風邪を引いて声が出ない、などといったことがないよう体調管理を怠らないことも大切です。
 大抵の部署でサービスマニュアルが用意されているので、応対の内容は事前に把握できますが、会話の動向は相手による部分もあるためサービスを提供する側としては簡潔でわかりやすい説明が求められます。こういった要素はプライベートな会話で養うこともできますので、普段から意識してみると良いでしょう。

●こちらでも「コールセンター業」について、他の人が記事を書いています。合わせてご覧下さい。

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