自分が入社したいと思う会社での面接はとても緊張するものです。特に面接官は自分より年上で、役職付きのケースがほとんどですから、いっそうプレッシャーがかかります。 普段から年上の人と話し慣れている人や、もともと人当たりが良いと言われる人なら、その場でうまく自分をアピールできますが、普通の転職希望者はなかなかそうはいきません。うまく話せないうちに終わってしまう事も多いのです。
今回は、面接での自己アピールの考え方、自分の強みを把握しておくことの重要性について、転職グッド編集部独自の視点で解説いたします。
面接でのアピールは、相手の求めているものに近づけること
転職活動(就職活動)とはお見合いのようなもので、採用企業側の求めているものと、求職者側の求めているものが合致して、お互いに良い雰囲気になった時に成立します。どちらか一方のニーズが満たされないと「内定辞退」や「残念ながら不採用」となってしまうわけです。(ここでは過去の実績や学歴は趣旨と異なるので考えないことにします)
雇用契約とは本来、厳密に言えばイーブン、五分五分の対等契約であるべきですが、実際のところは、法人対個人、給料を支払う側ともらう側、選抜する側とされる側など、どうしても求職者の方が弱くなりがちです。
そのような形成の中でおこなう自己アピールは、相手(採用企業側)の求めているものに近づけていかなければなりません。たとえば「頭脳派人材」を求めている企業に、「体力のすごさ」をアピールしても、的外れなのです。
企業が20代30代の転職者に求めていることは?
では企業は、20代、30代の若手転職者に何を求めているのでしょうか。
厚労省の「若年者雇用実態調査」(平成25年)によると、企業が20代、30代の正社員の採用選考にあたり重視した点で、最も多かったのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」なのだそうです。74.7%、10社中7社の企業が重要視していることがわかります。
でも「職業意識」「勤労意欲」「チャレンジ精神」とは何なのでしょうか。説得力ある答えにするのはかなか難しいものです。20代ならではのアピール、30代ならではのアピール、男性、女性ならではのアピール、さらに事務職、営業職、技術職志望ならではのアピールをすること。そのためには、徹底的に自己を分析して、自分という存在(強み)を企業側の求めていることに、ぐいぐいと近づけていく努力がとても重要なのです。
自己アピールが苦手な日本人
上記のように一生懸命に自己分析をして来た人と、何も準備せず口だけでなんとか乗り切ろうと考えている人。これまでに何百人、何千人と面接をしてきた面接官や経営者からみると、両者は滑稽なほどすぐに見分けがつきます。言葉の一つ一つにしっかりとしたものを感じる前者と、どこか浮ついていて口先だけで受かろうとする後者では全く違うのです。
日本人は欧米人と異なり、自分のアピールをするのがうまくありません。民族性もありますが、子どもの頃からの学校教育で発表することやみんなの前で話すこと慣れていないからです。
だから「社交的で前向きだと言われます」とか「コツコツと諦めずにやります」とか、みんな同じようなアピールになってしまうのです。友人同士の会話であればそれでも良いのかもしれませんが、一生に何度もない転職を決める場ではもっとさまざまな角度から、論理的に自己を分析していかなければ説得力に欠けてしまいます。
無料の自己診断サービスを活用
自己診断や自己分析をおこなうにはコーチングの会社でサービスを受ける、自己診断に関する書籍を読む、有料の企業診断サービスを受ける方法などがありますが、まずは民間の人材関連会社が無料で提供している自己診断サービスにチャレンジしてみましょう。以前、キャリア転職サイト[@type]の「市場価値診断テスト」を紹介しましたが、今回はリクルートキャリア社の「グッドポイント診断(無料)」を使って、自分の強みやアピールポイントを把握する方法を説明いたします。
この診断テストを強く推す理由は、なんといっても転職業界最大手のリクルート社がこれまでのノウハウを注ぎ込んで作ってある点です。新卒者であればリクナビ、転職者であればリクナビNEXTは、多くの人が利用しているサービスで、リクルート社には会員の属性や傾向、さらにどのような人が採用されやすいか、不採用になりやすいか、企業が求める人材などの膨大なデータが蓄積されているので、他社が真似しようと思っても、一朝一夕にできるものではありません。
診断テストの所要時間は約20~30分、全8,568通りの結果から自分の強みを知ることができます。もちろん無料です。
この診断で分かること
この診断では、18種類の資質、傾向の中から、自分の好きな5つの診断をおこなうことができます。
「親密性」「冷静沈着」「受容力」「決断力」「悠然」「柔軟性」「現実思考」「自己信頼」「バランス」「社交性」「高揚性」「自立」「慎重性」「俊敏性」「継続力」「挑戦心」「感受性」「独創性」の18種類です。見ているだけで面白そうですね。
ただどれか5つを選択する際に、つい占いの感覚で自分の好きなものを選んでしまいがちですが、今回の診断は大事な転職のためにおこなうものなので、前述したように、採用側の企業が今回の面接で求めている「資質や強み」に役立つものにしましょう。
おすすめ項目は、「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」をアピールするために、受け身では無く、仕事上の課題を自ら見つけて働くための力である「自立」、新しいこと前例のないことに果敢にチャレンジする力の「挑戦心」の2つは、全員なるべく選択した方がいいと思います。
さらに残りの3つは希望する職業によって異なります。
あなたが「事務職」志望なら
企業の裏方業務を着実に進めていく「継続力」、さまざまな実務を同時進行させる「バランス」、同僚とのチームワークを想定した「柔軟性」などの「強みチェック」を選択するのがおすすめです。
あとは事務職は会社によって業務がさまざまなので上記の18項目の中から、会社に好まれそうな強みを適宜選んでください。
あなたが「販売職・営業職」志望なら
取引先のさまざまな課題に応える「受容力」、お客との関係性を重要視する「親密性」、顧客の課題解決のためのオリジナリティある提案能力の「独創性」、まず良いと思ったことは試してみる「俊敏性」が良いと思います。「社交性」なども良いですね。
あなたが「技術職」志望なら
失敗にめげずに開発を続けていく「継続力」、世の中に無いものを作り出そうとする「独創性」、消費者のニーズを技術に取り入れる「感受性」などが、技術職の特徴を表しています。
さらに良いのは、診断結果を応募時に添付できること
さらにこの診断テストの良いことは、診断結果をリクナビNEXTでの応募時に添付できることです。この手法は意外に使っている人が多く、リクナビでは添付している人が80%以上もいるようです。受け取る企業側も求人業界ナンバーワンのリクルート社経由の診断書類なので、書類選考でも参考資料として使ってくれるのだと想像できます。これは効果的です。
診断テストの開始方法
診断テストの開始方法です。まずこちらの「グッドポイント診断」登録画面から進んでください。
最初にメールアドレスを登録すると、自動返信で認証メールが届きますので、クリックをして進みます。会員情報入力画面にて、パスワード、名前、生年月日、性別を登録します。以上で準備は完了。そのまま「グッドポイント診断」を受けることができます。
最初に情報を入力する必要があるのですが、無料でこれだけの診断テストが受けられるので、その点は我慢してください。
最後に編集部からアドバイス
中途採用の場合、そのほとんどは1回、2回の面接で決まるといっても過言ではありません。新卒採用とは違って、予算も時間も限られた中での採用なので仕方ないのです。
つまり、いくら履歴書上の経歴が良くても、職務経歴書の実績が抜群でも、1回のわずか1時間程度の面接で駄目になってしまうこともあるわけです。(その意味ではセンター試験と同じですね)
このわずかの時間で成果を残すためには、事前の準備が本当に重要になってきます。よく成功には段取り八分といいますが、本当にその通りだと思います。
面接官や経営者が面接でチェックしているのは、「この人は自社で活躍してくれそうかどうか」「社内のみんなと協調性を持って仕事を進めてくれるかどうか」「中途ならではの新しい息吹を吹き込んでくれそうか」、そして一番大事なのが「この人と一緒に働きたいと思うかどうか」です。
そのためには、会社の求めていることをきちんと理解した上で、会社の要望と自分の強みや得意な点と結びつけて、アピールが出来るかどうかです。今回の診断テストで出た結果をもとに、自分を分析して、3パターン~5パターンの話が出来るようにしておきましょう。転職の成功を祈っております。